143 / 152
第六章-朔日-
第6章 第142話
少し前。ドルマ及び雪風と分かれて『迎賓館』方向に向かったラモチュンは、無事にペーター少尉達と合流する事が出来ていた。『住居棟』での一件をかいつまんで説明し、ラモチュンはペマとダワに『寺院』――『迎賓館』からは回廊沿いに反時計回りに隣の区画――へ向かうように指示する。
曲がりなりにも全体の事情を把握している同胞団員は自分達三人のみという事から、寺院に避難した同胞団員をまとめるためだが、同時に、『衛生棟』の様子も確認する必要があるのも間違いない事でもある。
責任感、だけではない想いからラモチュンはその役は自分だと宣言し、有無を言わさずにペーター少尉とオーガストの先に立って『衛生棟』――回廊沿いに時計回りに隣――へ向かう。
流石に『衛生棟』の中を確認する際には『腕に覚えのある』ペーター少尉とオーガストが先に立ったが、上層階も中層階も人気も荒らされた様子もなく、三人は首をひねりながら下層階に向かう。
「その黒い塊達ですが」
螺旋階段を降りながら、オーガストがラモチュンに尋ねる。
「人を襲うわけではないのですね?」
「そう、だと思います」
ラモチュンも、半信半疑ではあったが、そう答える。
「その場に居た私に何かする、という感じはありませんでしたから」
「全部が、同じ方に向かった?」
「そのように見えました」
「フムン……」
オーガストは、ペーター少尉に向いて、言う。
「……呼ばれた、のでしょうか?」
「そう考えるのが一番腑に落ちますが。そうだとして、では、誰に、どのようにして?」
「さて……」
螺旋階段の終わりが見えたところで、オーガストが言う。
「その呼び出し主がこの先に居るかも知れません。用心しましょう」
言って、オーガストは拳銃を抜き、それを見たペーター少尉もストック兼用のホルスターからモーゼルC96を引き出す。
引き出して、
「……まあ、気休めですね」
「ですね」
言い合って、ペーター少尉とオーガストは互いに苦笑した。
『衛生棟』下層階の螺旋階段を降りたところで、仮にも軍人と、軍人ではないが一応の訓練を受けた二人が銃口を下げ、警戒を解く。
「……誰も、居ない……?」
ペーター少尉とオーガストに続いて螺旋階段を降りて『衛生棟』の下層階に至ったラモチュンは、人気の無いその室内を見まわし、呟いた。
「何事かあったのは間違いないようですが……」
オーガストが、押しのけられ、散乱したテーブルその他を見ながら、言う。
「……ここから、下に行ったようですね」
押し破られた大型リフトの格子戸を確認したペーター少尉が、戻って来ながら告げる。
「その、大量の黒い塊達は」
「……モーセス師範は……」
ラモチュンは、本来なら一つ上の中層階に居たはずのモーセス・グースを探して、視線をあちこちに彷徨わせる。
「ユモさんも、いらっしゃいませんね」
ユモがモーセスと一緒に残ったと聞いているオーガストが、呟く。
「ドルマさんとユキさんもです。ここに向かったはずでは……」
ペーター少尉も、聞いている情報を確認する。
「まさか……」
「いや、彼女たちに限って、そんな事は」
ペーター少尉の言わんとする事を先回りして、オーガストは否定する。
ドルマはともかく、オーガストにとっては、ユモと雪風はそれほどまでに、神格化されていると言ってもよいほどに、強く、気高い存在になっている。
それが、黒い塊ごときに――ショゴスのなんたるかはよく知らないが――後れをとるとは、オーガストには到底思えなかった。
とはいえ。
居るはずのこの場に居ない、その事実が、オーガストの胸中にじわりと、肺と心臓を一緒くたに握られたような不安感が湧き出してくる。
その時。
「……そぉい!」
どこからか、妙にくぐもった、それでいて聞き覚えのある声がした。
そして、声がしたとほぼ同時に、大音響とともに、石壁の一部が吹き飛ぶ。
「……あら」
きっちりと長方形に空いた石壁の穴から、右の横蹴り――スピードでなく、パワー重視の足裏蹴り――の姿勢で綺麗に停まったまま、獣魔女が三人を見ていた。
「あらやだ」
外套を肩に羽織り、大人びた雪風の顔の獣魔女は、足を下ろし、セーラー服の袖に通した雪風の両手でスカートの裾を捌いて愛想笑いし、小型リフトから出てくる。
「何が半人前……百人力じゃないですか……あ、ペーター様!」
獣魔女に続いて出てきたドルマが、ペーター少尉を見つけ、声をかける。
「……あ、ドルマさん」
吹き飛ばされた石壁――何故か、反対側の壁にぶち当たって停まったそれはリフトの扉に変わっていた――の行方を呆けた顔で見ていたペーター少尉とオーガストがぎこちなく視線を小型リフトに戻し、ドルマを認めたペーター少尉が答える。
「……ドルマ……と……」
床に尻餅をついていたラモチュンが、ドルマから獣魔女に視線を移動させ、言う。
「……えっと」
「……ああ」
気付いた獣魔女が、答える。
「どう呼ぶか、迷いますよね」
――ユモでもユキでも、どっちでも良いんだけど――
「そうも行かないでしょ」
獣魔女の中から聞こえる声なきユモの声に、苦笑しながら雪風が答える。
「とはいえ、呼びづらいのは確かよね」
――獣――
「え?」
――ジェヴォーダンの獣って知ってる?――
「聞いたことは」
――なら話は早いわ。前から考えてたんだけど、ピッタリじゃない?あっちこっちでもめ事に巻き込まれてるあたし達に――
「正体不明の、神に背いた悪魔の獣、か……」
獣魔女は、垂れ目を細めて、にたりと嗤う。
「……悪かぁないわ」
――『福音の少女』どころか『破滅をもたらす魔女と使い魔』だもの――
「魔女見習いでしょ?」
――うさい――
くすくすと、獣魔女は笑う。
「あんた、ホント、素直じゃないわね」
笑い含みのユモの声が、答える。
――お互い様でしょ?――
「というわけで、この姿の時は獣魔女でよろしく」
「え、ええ……」
ラモチュンは、よくわからない。
いかに国外の情報に通じているとはいえ、18世紀半ばのフランスの片田舎で起きたバケモノ騒ぎなど、チベットの民に知る由もない。
――てゆーかニーマント、あんた、色々黙ってたわよね?――
「何の事ですか?」
「アイツが消えた事、ラモチュンさん達が来てた事、ニーマントさん、知ってたんでしょ?」
「ああ、その事ですか。はい、もちろん気付いていました」
全く悪びれず、ニーマントは言う。
「ですが、私にとっては、お二人の変容の方がはるかに重要でしたので」
――あんたね……――
「ほんっとに、ニーマントさんはマイペースなんだから……」
――……で?――
ユモの真剣な声が、ニーマントに聞く。
――モーセスさんは、どこに行ったの?――
「下に向かったようです」
「下?」
雪風の声で呟いて、獣魔女は振り向き、破壊された大型リフトの格子戸を見る。
「モーセス師範?」
「話が見えませんが……まさか?」
疑問と、言い知れぬ不安に眉根を寄せて首を傾げたラモチュンの言葉を補足するようにオーガストが言い、獣魔女から大型リフトに視線を移す。
「その、まさか、です」
ニーマントが、冷静に言う。
「ミスタ・グースは、黒い塊と共に階下に向かいました」
「……おっけ」
獣魔女が、言う。
「行く?」
――もちろん。替わって――
「ん」
ふっと、獣魔女の顔が変わる、大人びた雪風似の顔から、大人びたユモ似の顔に。
中の腕が消えたセーラー服の袖がふわりと垂れ、外套の袖の中にユモの両腕が通る。
そのユモの右手が、左腰の銃剣を抜く。
「かりそめの大地よ!」
獣魔女は、その外套に包まれた右腕を、右手に握る銃剣を振るい、言霊を吐く。
淡く光る法円が、籠が抜け落ちている大型リフトの垂直昇降路に浮かび上がる。
「行くって、ちょっと!」
ラモチュンが、一歩踏み込み、引き留めるように手を伸ばす。
「行ってどうするの!」
「モーセス師範をお救いするのよ」
そのラモチュンの横を通りながら、ドルマが微笑んで答える。
「あの獣魔女なら、出来る。あたしも、微力ながらお手伝いしたいし」
「……そういう事であれば」
ため息を一つついて、オーガストも歩み出す。
「私も、御一緒いたします」
「私も行きましょう」
ペーター少尉も、歩き出す。
「足手まといにならないように気を付けないとですが」
「……」
ラモチュンは、逡巡する。
あれだけ得体の知れないものを見続けて、何故、さらにその渦中に飛び込もうと思えるのか。
獣魔女は、わかる。ドルマも、そうだ。言い方は悪いが、『ただの人』では無い。しかし、『ただの人』でしかないオーガストさんとペーターさんは?
「ラモチュンさんも、見に行きませんか?」
そのラモチュンに、ペーター・メークヴーディヒリーベとオーガスト・モーリーがどのようなものであるかをまだ知らないラモチュンに、ペーター少尉が手を差しのべる。
「神秘か、深淵か。いずれにしろ、人智を超えた何か。そのような『真理』を」
はっと、ラモチュンは気付く。
真理を、得る。真理を得て、それを生かす。
自分だけでなく、誰かのために。
この人達は、自ら進んで、それを取りに行く。
待つだけの、待っていただけの、与えられるもので満足していた自分と違って。
「……行きます」
ラモチュンは、頷きつつ、言う。
「私も、連れて行って下さい」
「乗って」
法円の上から、獣魔女が手招きする。
――1名様、ご案内――
光る法円『かりそめの大地』は、5人――正確には、人格で言えば7人――を載せてゆっくりと垂直昇降路を下る。
その速度、秒速0.5メートル程、一般的なエレベーターと同等の速度。もっと速くも出来るが、気圧差で耳が痛くなるので、対応し易い速度に抑えている。
「状況を、整理させてもらえますか?」
オーガストが、言い出す。
「大まかには聞いていますが、ラモチュンさん達がここを離れてから何があったのです?」
「ニーマント」
「はい」
「あなたが説明して。多分、一番客観的だから」
「承知しました。まず、『衛生棟』地下二階の黒い塊のうち、大きな一体はケシュカル少年の体であり、残りは脳無しの只の黒い塊、これは共通認識でよろしいですか?」
――只のて――
「全然只でも何でもないけど」
「そこまでは、伺っています」
「結構。紆余曲折は端折りますが、ミスタ・グースはそれらを地下三階に居た『都のショゴス』に処理させる為、ユモさんの力も借りて全て地下三階に運搬しました」
「『都のショゴス』、というのは?」
「この地下都市の動力源であり各施設の空調その他もまかなう存在、との事です」
「ああ……」
「その『都ショゴス』にケシュカル少年の体であった黒い塊を処理させようとしたところ、返り討ちにあい、へその緒で繋がっている『都ショゴス』の本体まで影響しかねなかったためミスタ・グースがこれを切断」
「なんと」
「その直後にミスタ・グースは黒い塊に取り込まれ」
「え」
「嘘!モーセス師範が!?」
目を丸くしたオーガスト、悲鳴に近い声で聞き返したラモチュンに構わず、ニーマントは続ける。
「ユモさんもユキカゼさんも救出に失敗、そうこうしているうちに大量の小型の黒い塊が殺到し、やむにやまれずリフトの中に退避した、という次第になります」
「なるほど……」
「……」
オーガストは腕を組み、ラモチュンは手で口を抑え、細い目は見開かれている。
その見開いた目で、ラモチュンはドルマを見る。ドルマは、硬い表情のまま、重く頷く。
「そんな……」
「モーセスさんの放射閃は消えてなかった」
獣魔女が、低めのユモの声で――元々ユモの声はアルト寄りだが――言う。
「そもそも、あの人だって『奉仕種族』なんでしょ?簡単に喰われるとも思えないわ」
「そう……でしょうか?」
――……モーセス『奉仕種族』師範、か……――
雪風の声が、不安げなラモチュンの耳にも届く。
――割とイケてる二つ名じゃない?――
「だわね」
にやりと、獣魔女が笑う。
「じゃあ、ちゃっちゃと片付けちゃいましょうか?」
光る法円が、『衛生棟』の直下百メートルの『処置室』に到達する。
大型リフトの『処置室』側の扉は、浅層階の格子戸とは違いそれなりに丈夫な金属の上開き扉であったが、見事に破壊、リフト側から『処置室』ホールに向けて圧壊していた。
当然のように、昇降ワイヤーの切れたリフトの籠もこのフロアに着床し押しつぶされており、それだけでどれほどの重量がこの籠にのしかかり、扉を押し破ってホールに溢れたか想像に難くない。
「……居ないわね」
そのホールを見渡して、ユモの声で獣魔女が呟く。
「あれ、どんくらいの大きさだっけ?」
――ざっくり15トン、直径5メートルの球体――
「そんなモノが、そこら辺に隠れてるわけは無いわよね」
――不定形だから、どこにでも潜り込めるだろうけど、体積はどうにもならないはずよ――
「てー事は、よ」
獣魔女は、ひしゃげ、開け放たれたホールの入り口の扉を見る。
「やっぱ、あそこから出てったって事よね?」
「追いましょう」
オーガストが、歩き始める。
「それほど遠くには行っていないでしょう」
「……どこへ……」
「?」
呟いたペーター少尉に振り向き、オーガストは歩みを止める。
「どこへ、何をしに行くのでしょう?」
「さて……」
オーガストは、肩をすくめる。
「それは、黒い塊に聞いてみないことには」
「……ですね」
苦笑し、ため息をついて、ペーター少尉も歩き出す。
「行きましょう」
くるりと廻した銃剣を左の逆手に持ち替え、Gew71を肩にかけた獣魔女を先頭に、一同は早足で最下層の通廊を進む。
獣魔女の後ろにはオーガストとペーター少尉、ラモチュンがそれに続き、ドルマが殿に就く。
――この道、通ったことない?――
「奇遇ね、あたしも今そう言おうと思った」
「宮殿の、控えの間に続く通廊です」
雪風とユモの呟きに、ラモチュンが答える。
「宮殿に向かっているのかしら?」
「何の為に?」
「さあ……」
ドルマに聞かれて、しかしラモチュンにも分かるはずがない。
――だーいじょうぶ、まーかせて――
雪風の声が、それに答える。
――ふん捕まえてぶちのめしてから、ゆっくり聞いてやるから――
「やけに強気じゃない?」
ユモが、混ぜっ返す。
――そりゃもう。今のあたし、ミッチミチにやる気に満ちてるわよ――
「そりゃ結構。せいぜい源始力を使わせてもらうわ」
――おうよ、ナンボでも持ってけ泥棒――
「言い方」
悪態をつきあいながら、ユモは思う。
思った以上に、『おまじない』が効いているみたいだ、と。
魔法とは、ただ呪文を唱えればよいものでも、棒や杖を振ればいいものでもない。
正しい鍛錬、正しい詠唱、正しい印、そして、必要にして充分な源始力。
それらがあって初めて成立するものだが、それだけでもない。
もっとも大事な事、それは。
結果をイメージし、気持ちを込める事。
その意味において、母が子に施す『ちちんぷいぷい』の呪いほど強く、純粋なものはまず無い。
ユモは、ユモの顔に似た獣魔女の頬を緩ませ、思う。
ママに、最初に教わった、全ての根源の呪文。究極の、呪い。やっぱり、ママは凄いんだわ……
――……居るわね――
「居ました」
ニーマントよりわずかに早く、雪風がその気配に気付いた。
宮殿直下、階段を降りたホールから入る『控えの間』。その奥の『謁見の間』の、そのさらに奥の『儀式の間』に続く大扉の前。
回廊から階段前ホールに出たあたりでその気配に気付き、獣魔女は早足から小走りになり、同時に肩からGew71を下ろす。
「……大魔法使いマーリーンに連なる我、ユモ・タンカ・ツマンスカヤが精霊に命ずる!」
『控えの間』にすべり込んだ獣魔女は、そこで足を停め、足を踏みしめ、呪文を振動させる。
磨き上げられた石張りの床にまばゆい法円が展開し、大気中のエーテルが煌めく。
しゃきん。外套に通したユモの腕がGew71に銃剣を着剣し、同時に、いつの間にかセーラー服の袖に収まった雪風の腕が外套のポケットから弾丸を取り出す。
ユモの腕でGew71を構えたまま、雪風の腕が槓桿を引き、弾丸を薬室に挿入する。
遊底を閉じた雪風の腕は、そのまま木刀を引き抜き、下段に構える。
体格に優れる獣魔女は、『かりそめの大地』による射撃姿勢の補佐を必要としない。
「疾く疾く現れ出でて、我が想いを成し遂げよ!」
声高に呪文を、聖句を振動させると共に、獣魔女はGew71を持ち上げ、肩付けする。
「光の弾丸よ!」
先台を支える左手の人差し指を、獣魔女は目標を指し示すがごとくに前に伸ばす。
その指先に、周囲のエーテルの煌めきが集中し、光球となる。
「我が示す的を射抜け!」
旗型安全装置を解除し、引き金に指をかける。
左の人差し指の光球が、ふわりと銃剣に移る。
「神鳴る……」
目標に照星と照門を一直線に合わせ、獣魔女は呪文の末節を振動させ、同時に引き金を引く。
撃針が雷管を叩く一瞬前、銃剣の光球は銃口に集束する。
「剛弓《ご-がん》!」
閃光と共に轟音が鳴り響き、濛々たる白煙が銃口から吹き出す。
まばゆいばかりの源始力の輝きを纏った鉛の弾頭が、音より速い速度で『接見の間』の向こうに居る黒い塊へ、地下室の淀んだ大気を切り裂いて突き進んだ。
曲がりなりにも全体の事情を把握している同胞団員は自分達三人のみという事から、寺院に避難した同胞団員をまとめるためだが、同時に、『衛生棟』の様子も確認する必要があるのも間違いない事でもある。
責任感、だけではない想いからラモチュンはその役は自分だと宣言し、有無を言わさずにペーター少尉とオーガストの先に立って『衛生棟』――回廊沿いに時計回りに隣――へ向かう。
流石に『衛生棟』の中を確認する際には『腕に覚えのある』ペーター少尉とオーガストが先に立ったが、上層階も中層階も人気も荒らされた様子もなく、三人は首をひねりながら下層階に向かう。
「その黒い塊達ですが」
螺旋階段を降りながら、オーガストがラモチュンに尋ねる。
「人を襲うわけではないのですね?」
「そう、だと思います」
ラモチュンも、半信半疑ではあったが、そう答える。
「その場に居た私に何かする、という感じはありませんでしたから」
「全部が、同じ方に向かった?」
「そのように見えました」
「フムン……」
オーガストは、ペーター少尉に向いて、言う。
「……呼ばれた、のでしょうか?」
「そう考えるのが一番腑に落ちますが。そうだとして、では、誰に、どのようにして?」
「さて……」
螺旋階段の終わりが見えたところで、オーガストが言う。
「その呼び出し主がこの先に居るかも知れません。用心しましょう」
言って、オーガストは拳銃を抜き、それを見たペーター少尉もストック兼用のホルスターからモーゼルC96を引き出す。
引き出して、
「……まあ、気休めですね」
「ですね」
言い合って、ペーター少尉とオーガストは互いに苦笑した。
『衛生棟』下層階の螺旋階段を降りたところで、仮にも軍人と、軍人ではないが一応の訓練を受けた二人が銃口を下げ、警戒を解く。
「……誰も、居ない……?」
ペーター少尉とオーガストに続いて螺旋階段を降りて『衛生棟』の下層階に至ったラモチュンは、人気の無いその室内を見まわし、呟いた。
「何事かあったのは間違いないようですが……」
オーガストが、押しのけられ、散乱したテーブルその他を見ながら、言う。
「……ここから、下に行ったようですね」
押し破られた大型リフトの格子戸を確認したペーター少尉が、戻って来ながら告げる。
「その、大量の黒い塊達は」
「……モーセス師範は……」
ラモチュンは、本来なら一つ上の中層階に居たはずのモーセス・グースを探して、視線をあちこちに彷徨わせる。
「ユモさんも、いらっしゃいませんね」
ユモがモーセスと一緒に残ったと聞いているオーガストが、呟く。
「ドルマさんとユキさんもです。ここに向かったはずでは……」
ペーター少尉も、聞いている情報を確認する。
「まさか……」
「いや、彼女たちに限って、そんな事は」
ペーター少尉の言わんとする事を先回りして、オーガストは否定する。
ドルマはともかく、オーガストにとっては、ユモと雪風はそれほどまでに、神格化されていると言ってもよいほどに、強く、気高い存在になっている。
それが、黒い塊ごときに――ショゴスのなんたるかはよく知らないが――後れをとるとは、オーガストには到底思えなかった。
とはいえ。
居るはずのこの場に居ない、その事実が、オーガストの胸中にじわりと、肺と心臓を一緒くたに握られたような不安感が湧き出してくる。
その時。
「……そぉい!」
どこからか、妙にくぐもった、それでいて聞き覚えのある声がした。
そして、声がしたとほぼ同時に、大音響とともに、石壁の一部が吹き飛ぶ。
「……あら」
きっちりと長方形に空いた石壁の穴から、右の横蹴り――スピードでなく、パワー重視の足裏蹴り――の姿勢で綺麗に停まったまま、獣魔女が三人を見ていた。
「あらやだ」
外套を肩に羽織り、大人びた雪風の顔の獣魔女は、足を下ろし、セーラー服の袖に通した雪風の両手でスカートの裾を捌いて愛想笑いし、小型リフトから出てくる。
「何が半人前……百人力じゃないですか……あ、ペーター様!」
獣魔女に続いて出てきたドルマが、ペーター少尉を見つけ、声をかける。
「……あ、ドルマさん」
吹き飛ばされた石壁――何故か、反対側の壁にぶち当たって停まったそれはリフトの扉に変わっていた――の行方を呆けた顔で見ていたペーター少尉とオーガストがぎこちなく視線を小型リフトに戻し、ドルマを認めたペーター少尉が答える。
「……ドルマ……と……」
床に尻餅をついていたラモチュンが、ドルマから獣魔女に視線を移動させ、言う。
「……えっと」
「……ああ」
気付いた獣魔女が、答える。
「どう呼ぶか、迷いますよね」
――ユモでもユキでも、どっちでも良いんだけど――
「そうも行かないでしょ」
獣魔女の中から聞こえる声なきユモの声に、苦笑しながら雪風が答える。
「とはいえ、呼びづらいのは確かよね」
――獣――
「え?」
――ジェヴォーダンの獣って知ってる?――
「聞いたことは」
――なら話は早いわ。前から考えてたんだけど、ピッタリじゃない?あっちこっちでもめ事に巻き込まれてるあたし達に――
「正体不明の、神に背いた悪魔の獣、か……」
獣魔女は、垂れ目を細めて、にたりと嗤う。
「……悪かぁないわ」
――『福音の少女』どころか『破滅をもたらす魔女と使い魔』だもの――
「魔女見習いでしょ?」
――うさい――
くすくすと、獣魔女は笑う。
「あんた、ホント、素直じゃないわね」
笑い含みのユモの声が、答える。
――お互い様でしょ?――
「というわけで、この姿の時は獣魔女でよろしく」
「え、ええ……」
ラモチュンは、よくわからない。
いかに国外の情報に通じているとはいえ、18世紀半ばのフランスの片田舎で起きたバケモノ騒ぎなど、チベットの民に知る由もない。
――てゆーかニーマント、あんた、色々黙ってたわよね?――
「何の事ですか?」
「アイツが消えた事、ラモチュンさん達が来てた事、ニーマントさん、知ってたんでしょ?」
「ああ、その事ですか。はい、もちろん気付いていました」
全く悪びれず、ニーマントは言う。
「ですが、私にとっては、お二人の変容の方がはるかに重要でしたので」
――あんたね……――
「ほんっとに、ニーマントさんはマイペースなんだから……」
――……で?――
ユモの真剣な声が、ニーマントに聞く。
――モーセスさんは、どこに行ったの?――
「下に向かったようです」
「下?」
雪風の声で呟いて、獣魔女は振り向き、破壊された大型リフトの格子戸を見る。
「モーセス師範?」
「話が見えませんが……まさか?」
疑問と、言い知れぬ不安に眉根を寄せて首を傾げたラモチュンの言葉を補足するようにオーガストが言い、獣魔女から大型リフトに視線を移す。
「その、まさか、です」
ニーマントが、冷静に言う。
「ミスタ・グースは、黒い塊と共に階下に向かいました」
「……おっけ」
獣魔女が、言う。
「行く?」
――もちろん。替わって――
「ん」
ふっと、獣魔女の顔が変わる、大人びた雪風似の顔から、大人びたユモ似の顔に。
中の腕が消えたセーラー服の袖がふわりと垂れ、外套の袖の中にユモの両腕が通る。
そのユモの右手が、左腰の銃剣を抜く。
「かりそめの大地よ!」
獣魔女は、その外套に包まれた右腕を、右手に握る銃剣を振るい、言霊を吐く。
淡く光る法円が、籠が抜け落ちている大型リフトの垂直昇降路に浮かび上がる。
「行くって、ちょっと!」
ラモチュンが、一歩踏み込み、引き留めるように手を伸ばす。
「行ってどうするの!」
「モーセス師範をお救いするのよ」
そのラモチュンの横を通りながら、ドルマが微笑んで答える。
「あの獣魔女なら、出来る。あたしも、微力ながらお手伝いしたいし」
「……そういう事であれば」
ため息を一つついて、オーガストも歩み出す。
「私も、御一緒いたします」
「私も行きましょう」
ペーター少尉も、歩き出す。
「足手まといにならないように気を付けないとですが」
「……」
ラモチュンは、逡巡する。
あれだけ得体の知れないものを見続けて、何故、さらにその渦中に飛び込もうと思えるのか。
獣魔女は、わかる。ドルマも、そうだ。言い方は悪いが、『ただの人』では無い。しかし、『ただの人』でしかないオーガストさんとペーターさんは?
「ラモチュンさんも、見に行きませんか?」
そのラモチュンに、ペーター・メークヴーディヒリーベとオーガスト・モーリーがどのようなものであるかをまだ知らないラモチュンに、ペーター少尉が手を差しのべる。
「神秘か、深淵か。いずれにしろ、人智を超えた何か。そのような『真理』を」
はっと、ラモチュンは気付く。
真理を、得る。真理を得て、それを生かす。
自分だけでなく、誰かのために。
この人達は、自ら進んで、それを取りに行く。
待つだけの、待っていただけの、与えられるもので満足していた自分と違って。
「……行きます」
ラモチュンは、頷きつつ、言う。
「私も、連れて行って下さい」
「乗って」
法円の上から、獣魔女が手招きする。
――1名様、ご案内――
光る法円『かりそめの大地』は、5人――正確には、人格で言えば7人――を載せてゆっくりと垂直昇降路を下る。
その速度、秒速0.5メートル程、一般的なエレベーターと同等の速度。もっと速くも出来るが、気圧差で耳が痛くなるので、対応し易い速度に抑えている。
「状況を、整理させてもらえますか?」
オーガストが、言い出す。
「大まかには聞いていますが、ラモチュンさん達がここを離れてから何があったのです?」
「ニーマント」
「はい」
「あなたが説明して。多分、一番客観的だから」
「承知しました。まず、『衛生棟』地下二階の黒い塊のうち、大きな一体はケシュカル少年の体であり、残りは脳無しの只の黒い塊、これは共通認識でよろしいですか?」
――只のて――
「全然只でも何でもないけど」
「そこまでは、伺っています」
「結構。紆余曲折は端折りますが、ミスタ・グースはそれらを地下三階に居た『都のショゴス』に処理させる為、ユモさんの力も借りて全て地下三階に運搬しました」
「『都のショゴス』、というのは?」
「この地下都市の動力源であり各施設の空調その他もまかなう存在、との事です」
「ああ……」
「その『都ショゴス』にケシュカル少年の体であった黒い塊を処理させようとしたところ、返り討ちにあい、へその緒で繋がっている『都ショゴス』の本体まで影響しかねなかったためミスタ・グースがこれを切断」
「なんと」
「その直後にミスタ・グースは黒い塊に取り込まれ」
「え」
「嘘!モーセス師範が!?」
目を丸くしたオーガスト、悲鳴に近い声で聞き返したラモチュンに構わず、ニーマントは続ける。
「ユモさんもユキカゼさんも救出に失敗、そうこうしているうちに大量の小型の黒い塊が殺到し、やむにやまれずリフトの中に退避した、という次第になります」
「なるほど……」
「……」
オーガストは腕を組み、ラモチュンは手で口を抑え、細い目は見開かれている。
その見開いた目で、ラモチュンはドルマを見る。ドルマは、硬い表情のまま、重く頷く。
「そんな……」
「モーセスさんの放射閃は消えてなかった」
獣魔女が、低めのユモの声で――元々ユモの声はアルト寄りだが――言う。
「そもそも、あの人だって『奉仕種族』なんでしょ?簡単に喰われるとも思えないわ」
「そう……でしょうか?」
――……モーセス『奉仕種族』師範、か……――
雪風の声が、不安げなラモチュンの耳にも届く。
――割とイケてる二つ名じゃない?――
「だわね」
にやりと、獣魔女が笑う。
「じゃあ、ちゃっちゃと片付けちゃいましょうか?」
光る法円が、『衛生棟』の直下百メートルの『処置室』に到達する。
大型リフトの『処置室』側の扉は、浅層階の格子戸とは違いそれなりに丈夫な金属の上開き扉であったが、見事に破壊、リフト側から『処置室』ホールに向けて圧壊していた。
当然のように、昇降ワイヤーの切れたリフトの籠もこのフロアに着床し押しつぶされており、それだけでどれほどの重量がこの籠にのしかかり、扉を押し破ってホールに溢れたか想像に難くない。
「……居ないわね」
そのホールを見渡して、ユモの声で獣魔女が呟く。
「あれ、どんくらいの大きさだっけ?」
――ざっくり15トン、直径5メートルの球体――
「そんなモノが、そこら辺に隠れてるわけは無いわよね」
――不定形だから、どこにでも潜り込めるだろうけど、体積はどうにもならないはずよ――
「てー事は、よ」
獣魔女は、ひしゃげ、開け放たれたホールの入り口の扉を見る。
「やっぱ、あそこから出てったって事よね?」
「追いましょう」
オーガストが、歩き始める。
「それほど遠くには行っていないでしょう」
「……どこへ……」
「?」
呟いたペーター少尉に振り向き、オーガストは歩みを止める。
「どこへ、何をしに行くのでしょう?」
「さて……」
オーガストは、肩をすくめる。
「それは、黒い塊に聞いてみないことには」
「……ですね」
苦笑し、ため息をついて、ペーター少尉も歩き出す。
「行きましょう」
くるりと廻した銃剣を左の逆手に持ち替え、Gew71を肩にかけた獣魔女を先頭に、一同は早足で最下層の通廊を進む。
獣魔女の後ろにはオーガストとペーター少尉、ラモチュンがそれに続き、ドルマが殿に就く。
――この道、通ったことない?――
「奇遇ね、あたしも今そう言おうと思った」
「宮殿の、控えの間に続く通廊です」
雪風とユモの呟きに、ラモチュンが答える。
「宮殿に向かっているのかしら?」
「何の為に?」
「さあ……」
ドルマに聞かれて、しかしラモチュンにも分かるはずがない。
――だーいじょうぶ、まーかせて――
雪風の声が、それに答える。
――ふん捕まえてぶちのめしてから、ゆっくり聞いてやるから――
「やけに強気じゃない?」
ユモが、混ぜっ返す。
――そりゃもう。今のあたし、ミッチミチにやる気に満ちてるわよ――
「そりゃ結構。せいぜい源始力を使わせてもらうわ」
――おうよ、ナンボでも持ってけ泥棒――
「言い方」
悪態をつきあいながら、ユモは思う。
思った以上に、『おまじない』が効いているみたいだ、と。
魔法とは、ただ呪文を唱えればよいものでも、棒や杖を振ればいいものでもない。
正しい鍛錬、正しい詠唱、正しい印、そして、必要にして充分な源始力。
それらがあって初めて成立するものだが、それだけでもない。
もっとも大事な事、それは。
結果をイメージし、気持ちを込める事。
その意味において、母が子に施す『ちちんぷいぷい』の呪いほど強く、純粋なものはまず無い。
ユモは、ユモの顔に似た獣魔女の頬を緩ませ、思う。
ママに、最初に教わった、全ての根源の呪文。究極の、呪い。やっぱり、ママは凄いんだわ……
――……居るわね――
「居ました」
ニーマントよりわずかに早く、雪風がその気配に気付いた。
宮殿直下、階段を降りたホールから入る『控えの間』。その奥の『謁見の間』の、そのさらに奥の『儀式の間』に続く大扉の前。
回廊から階段前ホールに出たあたりでその気配に気付き、獣魔女は早足から小走りになり、同時に肩からGew71を下ろす。
「……大魔法使いマーリーンに連なる我、ユモ・タンカ・ツマンスカヤが精霊に命ずる!」
『控えの間』にすべり込んだ獣魔女は、そこで足を停め、足を踏みしめ、呪文を振動させる。
磨き上げられた石張りの床にまばゆい法円が展開し、大気中のエーテルが煌めく。
しゃきん。外套に通したユモの腕がGew71に銃剣を着剣し、同時に、いつの間にかセーラー服の袖に収まった雪風の腕が外套のポケットから弾丸を取り出す。
ユモの腕でGew71を構えたまま、雪風の腕が槓桿を引き、弾丸を薬室に挿入する。
遊底を閉じた雪風の腕は、そのまま木刀を引き抜き、下段に構える。
体格に優れる獣魔女は、『かりそめの大地』による射撃姿勢の補佐を必要としない。
「疾く疾く現れ出でて、我が想いを成し遂げよ!」
声高に呪文を、聖句を振動させると共に、獣魔女はGew71を持ち上げ、肩付けする。
「光の弾丸よ!」
先台を支える左手の人差し指を、獣魔女は目標を指し示すがごとくに前に伸ばす。
その指先に、周囲のエーテルの煌めきが集中し、光球となる。
「我が示す的を射抜け!」
旗型安全装置を解除し、引き金に指をかける。
左の人差し指の光球が、ふわりと銃剣に移る。
「神鳴る……」
目標に照星と照門を一直線に合わせ、獣魔女は呪文の末節を振動させ、同時に引き金を引く。
撃針が雷管を叩く一瞬前、銃剣の光球は銃口に集束する。
「剛弓《ご-がん》!」
閃光と共に轟音が鳴り響き、濛々たる白煙が銃口から吹き出す。
まばゆいばかりの源始力の輝きを纏った鉛の弾頭が、音より速い速度で『接見の間』の向こうに居る黒い塊へ、地下室の淀んだ大気を切り裂いて突き進んだ。
あなたにおすすめの小説
チート魔力のせいで神レベルの連中に狙われましたが、守銭奴なので金稼ぎします
桜桃-サクランボ-
ファンタジー
――自由を手に入れるために、なにがあっても金は稼ぎます――
金さえあれば人生はどうにでもなる――
そう信じている守銭奴、鏡谷知里(28)。
交通事故で死んだはずの彼が目を覚ますと、そこは剣と魔法の異世界。
しかもなぜか、規格外のチート魔力を手に入れていた。
だがその力は、本来存在してはいけないものだった。
知里の魔力は、封印されていた伝説の冒険者の魔力と重なったことで生まれた世界のバランスを崩す力。
その異常な魔力に目を付けたのは、この世界を裏から支配する存在――
「世界を束ねる管理者」
神にも等しい力を持つ彼らは、知里を危険視し始める。
巻き込まれたくない。
戦いたくもない。
知里が望むのはただ一つ。
金を稼いで楽して生きること。
しかし純粋すぎる仲間に振り回され、事件に巻き込まれ、気付けば世界の管理者と敵対する羽目に――。
守銭奴のチート魔力持ち冒険者 VS 世界を支配する管理者。
金のために生きる男が、望まぬまま世界の頂点と戦うことになる
巻き込まれ系異世界ファンタジー。
※小説家になろう・カクヨムでも更新中
※表紙:あニキさん
※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ
※月、水、金、更新予定!
掃除婦に追いやられた私、城のゴミ山から古代兵器を次々と発掘して国中、世界中?がざわつく
タマ マコト
ファンタジー
王立工房の魔導測量師見習いリーナは、誰にも測れない“失われた魔力波長”を感じ取れるせいで奇人扱いされ、派閥争いのスケープゴートにされて掃除婦として城のゴミ置き場に追いやられる。
最底辺の仕事に落ちた彼女は、ゴミ山の中から自分にだけ見える微かな光を見つけ、それを磨き上げた結果、朽ちた金属片が古代兵器アークレールとして完全復活し、世界の均衡を揺るがす存在としての第一歩を踏み出す。
氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!
本条蒼依
ファンタジー
氷河期世代の大野将臣(おおのまさおみ)は昭和から令和の時代を細々と生きていた。しかし、工場でいつも一人残業を頑張っていたがとうとう過労死でこの世を去る。
死んだ大野将臣は、真っ白な空間を彷徨い神様と会い、その神様の世界に誘われ色々なチート能力を貰い異世界に降り立つ。
大野将臣は異世界シンアースで将臣の将の字を取りショウと名乗る。そして、その能力の錬金術を使い今度の人生は組織や権力者の言いなりにならず、ある時は権力者に立ち向かい、又ある時は闇ギルド五竜(ウーロン)に立ち向かい、そして、神様が護衛としてつけてくれたホムンクルスを最強の戦士に成長させ、昭和の堅物オジサンが自分の人生を楽しむ物語。
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
スライムからパンを作ろう!〜そのパンは全てポーションだけど、絶品!!〜
櫛田こころ
ファンタジー
僕は、諏方賢斗(すわ けんと)十九歳。
パンの製造員を目指す専門学生……だったんだけど。
車に轢かれそうになった猫ちゃんを助けようとしたら、あっさり事故死。でも、その猫ちゃんが神様の御使と言うことで……復活は出来ないけど、僕を異世界に転生させることは可能だと提案されたので、もちろん承諾。
ただ、ひとつ神様にお願いされたのは……その世界の、回復アイテムを開発してほしいとのこと。パンやお菓子以外だと家庭レベルの調理技術しかない僕で、なんとか出来るのだろうか心配になったが……転生した世界で出会ったスライムのお陰で、それは実現出来ることに!!
相棒のスライムは、パン製造の出来るレアスライム!
けど、出来たパンはすべて回復などを実現出来るポーションだった!!
パン職人が夢だった青年の異世界のんびりスローライフが始まる!!
スーパーのビニール袋で竜を保護した
チー牛Y
ファンタジー
竜は、災害指定生物。
見つけ次第、討伐――のはずだった。
だが俺の前に現れたのは、
震える子竜と、役立たず扱いされたスキル――
「スーパーのビニール袋」。
剣でも炎でもない。
シャカシャカ鳴る、ただの袋。
なのにその袋は、なぜか竜を落ち着かせる。
討伐か、保護か。
世界の常識と、ひとりの男の常識が衝突する。
これは――
ビニール袋から始まる、異世界保護ファンタジー。
ウルティメイド〜クビになった『元』究極メイドは、素材があれば何でも作れるクラフト系スキルで魔物の大陸を生き抜いていく〜
西館亮太
ファンタジー
「お前は今日でクビだ。」
主に突然そう宣告された究極と称されるメイドの『アミナ』。
生まれてこの方、主人の世話しかした事の無かった彼女はクビを言い渡された後、自分を陥れたメイドに魔物の巣食う島に転送されてしまう。
その大陸は、街の外に出れば魔物に襲われる危険性を伴う非常に危険な土地だった。
だがそのまま死ぬ訳にもいかず、彼女は己の必要のないスキルだと思い込んでいた、素材と知識とイメージがあればどんな物でも作れる『究極創造』を使い、『物作り屋』として冒険者や街の住人相手に商売することにした。
しかし街に到着するなり、外の世界を知らない彼女のコミュ障が露呈したり、意外と知らない事もあったりと、悩みながら自身は究極なんかでは無かったと自覚する。
そこから始まる、依頼者達とのいざこざや、素材収集の中で起こる騒動に彼女は次々と巻き込まれていく事になる。
これは、彼女が本当の究極になるまでのお話である。
※かなり冗長です。
説明口調も多いのでそれを加味した上でお楽しみ頂けたら幸いです