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王都学園編
プロローグ
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どうしてこんな事になっているのだろう……過去を振り返ってもよくわからない。昨日は魔王と呼ばれる存在を倒した祝杯パーティーで、1日中飲んだり騒いだりして疲れ切った俺は、個室のベッドで寝ていたはずなのに……目が覚めたらそこは俺が寝ていた個室では無く、教会前の広場で昨日は無かったはずの処刑台の様な場所に居た。動こうにも何故か手足を枷で拘束されていて動くことが出来ない。
そしてその周囲には何故か希望の様な眼差しで俺の事を見上げている人達、その中には、昨日の祝杯パーティーに参加していた人達も居た。
(いったい…何が起きてるんだ?)
突然の事で何が起きているか分からなかった俺はそんな疑問しか出てこなかった。
しかし、そんな疑問の答えがすぐにやってきた。
「皆の者、よく聞け!」
その声は俺の右隣から聞こえてきた。そこには祭服を身に纏った男とその後ろに数人の魔術師が控えていた。
「おぉー!あれは教皇様じゃないか!」
周囲にいる人達の誰かがそんな事を言った。
「我々は今まで、魔族の脅威晒され続けていた!奴等の圧倒的な強さに恐怖し、もはや我らには希望は無いと思い、絶望する日々であった!」
教皇と呼ばれていた男が周囲の人達に聞こえるくらいの声で話し始めた。
「しかし!そんな日も終わり、今日から再び平和な日々が訪れるであろう!それも全て此処に居られる神の使者である勇者様が魔王を倒してくれたお陰である!」
「「「おぉー!」」」
「「「勇者様ぁーー!」」」
教皇が勇者を称賛する様な発言をすると、周囲の人達が次々と歓声を上げる。
「しかし、いつまでも勇者様に頼っていては真の意味で我々の平和は訪れない!これからは我々自身が平和が永遠と続くよう努力しなければならない!何より!勇者様は神の使者であり、平和になった今いつまでも我々の手元に置いておくのは神に対する不敬である!故に神の元へ返さなければならない!―――よってこれより勇者様の帰還の儀式を行う!」
(帰還...そ、そうか!元の世界に帰れるのか!...でも何で手足を拘束する必要があるんだ?……これじゃぁまるで―――)
そんな事を思っていたら後ろに控えていた魔術師達が何らかの詠唱を唱え始めた。すると、自分の足下から魔法陣が浮かび上り、ーーー次の瞬間、
「うわぁぁぁああがぁぁぁあぁぁああ」
今までに感じた事の無いくらいの痛みの衝撃が体全身に走り始めた。
まるで血液が体全体を循環してるかの如くその激痛が体全体を走り続ける。そしてそのあまりの痛みに涙を流し、鼻水は出続け顔が酷く汚れていた。
「がぁぁぁぁあぐぁぁあが、あぁぁあ」
助けを呼ぼうとしてもその痛みに耐える事が出来ず唯叫ぶ事しか許されない。
そこでようやく自分の置かれてる現状を理解し、さっき思った事も確信に変わった。
―――これは間違いなく―――殺される。
(い、嫌だ!だれか!助け―――)
現状を打破すべく、痛みで叫ぶ事しか出来なくても、俺の異変に気づいてると信じ、周囲の人達に目を向けると―――其処には、まるで奇跡を見たかの様に眼を輝かせている人達、中には涙を流している人も居た。俺にはその光景が狂気に見えた。
(なんで?……なんで!なんで!なんで!なんで!どうして!?そんな眼で俺を見てるんだよ!!誰か…気付いてくれ!……気付いて…気付いて…気付いて…気付け気付け気付け気付け気付け気付けよぉぉぉぉおおお!!)
どれだけ泣き叫んでも、彼等は気付かなかった。
それから暫くすると、腰から下の部分―――下半身に痛みをかんじなくなっていた。何故かと思い其処に視線を移すと―――消えていた。
それは、比喩とかでもなく本当に消えていた。光の粒子となって消えていた。
その光景が彼をもうじき死ぬという事を現実付させた。
(い、嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!)
光の粒子はをどんどん浸食し彼の体を消していく。
(消えたくない!消えたくない!消えたくない!消えたくない!消えたくない!消えたくない!消えたくない!)
やがて残ったのは頭だけとなり―――
(死にたくない!死にたくない!死にたくない!死にたくない!死にたくない!死にたくない!死にたくない!)
叫ぶ事が出来なくなり、耳が聞こえなくなり、眼が見えなくなり、そして―――
(あ、――――――死んだ。―――)
♦︎
―――――――――――――――――――――――――――――――――――忘れ――で――私は―――――――だから―
そしてその周囲には何故か希望の様な眼差しで俺の事を見上げている人達、その中には、昨日の祝杯パーティーに参加していた人達も居た。
(いったい…何が起きてるんだ?)
突然の事で何が起きているか分からなかった俺はそんな疑問しか出てこなかった。
しかし、そんな疑問の答えがすぐにやってきた。
「皆の者、よく聞け!」
その声は俺の右隣から聞こえてきた。そこには祭服を身に纏った男とその後ろに数人の魔術師が控えていた。
「おぉー!あれは教皇様じゃないか!」
周囲にいる人達の誰かがそんな事を言った。
「我々は今まで、魔族の脅威晒され続けていた!奴等の圧倒的な強さに恐怖し、もはや我らには希望は無いと思い、絶望する日々であった!」
教皇と呼ばれていた男が周囲の人達に聞こえるくらいの声で話し始めた。
「しかし!そんな日も終わり、今日から再び平和な日々が訪れるであろう!それも全て此処に居られる神の使者である勇者様が魔王を倒してくれたお陰である!」
「「「おぉー!」」」
「「「勇者様ぁーー!」」」
教皇が勇者を称賛する様な発言をすると、周囲の人達が次々と歓声を上げる。
「しかし、いつまでも勇者様に頼っていては真の意味で我々の平和は訪れない!これからは我々自身が平和が永遠と続くよう努力しなければならない!何より!勇者様は神の使者であり、平和になった今いつまでも我々の手元に置いておくのは神に対する不敬である!故に神の元へ返さなければならない!―――よってこれより勇者様の帰還の儀式を行う!」
(帰還...そ、そうか!元の世界に帰れるのか!...でも何で手足を拘束する必要があるんだ?……これじゃぁまるで―――)
そんな事を思っていたら後ろに控えていた魔術師達が何らかの詠唱を唱え始めた。すると、自分の足下から魔法陣が浮かび上り、ーーー次の瞬間、
「うわぁぁぁああがぁぁぁあぁぁああ」
今までに感じた事の無いくらいの痛みの衝撃が体全身に走り始めた。
まるで血液が体全体を循環してるかの如くその激痛が体全体を走り続ける。そしてそのあまりの痛みに涙を流し、鼻水は出続け顔が酷く汚れていた。
「がぁぁぁぁあぐぁぁあが、あぁぁあ」
助けを呼ぼうとしてもその痛みに耐える事が出来ず唯叫ぶ事しか許されない。
そこでようやく自分の置かれてる現状を理解し、さっき思った事も確信に変わった。
―――これは間違いなく―――殺される。
(い、嫌だ!だれか!助け―――)
現状を打破すべく、痛みで叫ぶ事しか出来なくても、俺の異変に気づいてると信じ、周囲の人達に目を向けると―――其処には、まるで奇跡を見たかの様に眼を輝かせている人達、中には涙を流している人も居た。俺にはその光景が狂気に見えた。
(なんで?……なんで!なんで!なんで!なんで!どうして!?そんな眼で俺を見てるんだよ!!誰か…気付いてくれ!……気付いて…気付いて…気付いて…気付け気付け気付け気付け気付け気付けよぉぉぉぉおおお!!)
どれだけ泣き叫んでも、彼等は気付かなかった。
それから暫くすると、腰から下の部分―――下半身に痛みをかんじなくなっていた。何故かと思い其処に視線を移すと―――消えていた。
それは、比喩とかでもなく本当に消えていた。光の粒子となって消えていた。
その光景が彼をもうじき死ぬという事を現実付させた。
(い、嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!)
光の粒子はをどんどん浸食し彼の体を消していく。
(消えたくない!消えたくない!消えたくない!消えたくない!消えたくない!消えたくない!消えたくない!)
やがて残ったのは頭だけとなり―――
(死にたくない!死にたくない!死にたくない!死にたくない!死にたくない!死にたくない!死にたくない!)
叫ぶ事が出来なくなり、耳が聞こえなくなり、眼が見えなくなり、そして―――
(あ、――――――死んだ。―――)
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―――――――――――――――――――――――――――――――――――忘れ――で――私は―――――――だから―
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