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迷宮攻略編
VS 百階層③
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やがて煙が治り視界が晴れると其処に居たのは、身に纏っている漆黒の鎧がボロボロになり、全身の至る所から出血しながらも二本の脚で地面を踏みしめて、それでも立つのがやっとかの様な状態のカオスネグロだった。
これは好機とカオスネグロの間合いに入り攻撃を仕掛けようと《瞬歩》を発動した刹那―――。
「―――ッ!?なんだ!?」
ジュウジュウとまるで肉が焼けた様な音を立てながらカオスネグロから白い煙が発生した。
俺は、即座に《瞬歩》をキャンセルしてその場に留まり、新手の攻撃かと警戒しながら奴の様子をみる。
それから数秒経つとその答えは訪れた。
「……マジかよ……」
身に纏う鎧の至る所がボロボロだったのがまるで新品かの様に修復され、更に欠損部位も再生しており、先程までの満身創痍かの様な状態が今は五体満足であった。
「先の一撃ならば心臓にも深い傷を負ったはずなのだ……なのに傷が修復されるどころか再生までするとは………主人、恐らく核を破壊しない限り奴は倒せないのだ!」
魔物には、心臓という名の生命線の他にも、核と言うものを持っている。核とは、魔物にとってのもう一つの心臓になる。そして魔物には、心臓が破壊されて死ぬ魔物とそうでない魔物の二種類存在する。そして今回は、後者の様でそう行った場合は、核を破壊しない限り倒すことができない。因みに核のある場所は、心臓の右隣と言われていて、その大きさは魔物によって異なり、倒した後に核を回収する事で討伐の証明になる。ただし今回のカオスネグロの様に核を破壊しないと倒せない魔物の場合は、核の回収が難しいらしい。
「再生するとかずるいぞ!卑怯だ!バグだ!」
「最後のはよく分からないが、不老不死の主人がそれを言うななのだ……」
「違うぞリリム。お前は間違っている」
「どこがなのだ?死んでも生き返るなんて充分にずるいと思うのだが?」
「分からないか?自分が良くても相手にされるとムカつくだろ」
「餓鬼か!お前は!?」
「ひど!?――――ってうおぉ!?」
急にカオスネグロが十字の斬撃を放って攻撃してきた。
兜を被っているせいでその表情は伺えないが、兜の隙間から見える鋭い紅い眼光がこちらを睥睨し、それがまるで俺を無視するなと訴えているようで、その怒りの感情を乗せた攻撃が襲いかかってきた。それを俺たちは、それぞれ左右に飛び回避する。すると、ドカーンと何かが爆発したような轟音が鳴り響くと、俺たちが先程まで居た場所の地面はえぐれていた。
「おい!危ないだろ!会話中に攻撃するなよ!」
「魔物相手に何を言っておるのだ……」
「………」
五体満足のカオスネグロを見ていると、まるでここまでの俺たちの攻撃が無意味かのように感じてしまい、思わず溜息が漏れてしまう。
「追い詰めたと思ったのに仕切り直しかよ……」
先程俺が放った《第三階位魔術》【ホーリーブラスト】でカオスネグロの周囲に撒き散らされていた俺の血は、すっかり蒸発してしまい、仕掛けた《空絶》による罠もその光線に巻き込まれて全て無くなってしまった。その状況がまた仕切り直しになってしまったことを物語っている様に感じた。
「これはかなり長期戦になりそうだな……」
これは好機とカオスネグロの間合いに入り攻撃を仕掛けようと《瞬歩》を発動した刹那―――。
「―――ッ!?なんだ!?」
ジュウジュウとまるで肉が焼けた様な音を立てながらカオスネグロから白い煙が発生した。
俺は、即座に《瞬歩》をキャンセルしてその場に留まり、新手の攻撃かと警戒しながら奴の様子をみる。
それから数秒経つとその答えは訪れた。
「……マジかよ……」
身に纏う鎧の至る所がボロボロだったのがまるで新品かの様に修復され、更に欠損部位も再生しており、先程までの満身創痍かの様な状態が今は五体満足であった。
「先の一撃ならば心臓にも深い傷を負ったはずなのだ……なのに傷が修復されるどころか再生までするとは………主人、恐らく核を破壊しない限り奴は倒せないのだ!」
魔物には、心臓という名の生命線の他にも、核と言うものを持っている。核とは、魔物にとってのもう一つの心臓になる。そして魔物には、心臓が破壊されて死ぬ魔物とそうでない魔物の二種類存在する。そして今回は、後者の様でそう行った場合は、核を破壊しない限り倒すことができない。因みに核のある場所は、心臓の右隣と言われていて、その大きさは魔物によって異なり、倒した後に核を回収する事で討伐の証明になる。ただし今回のカオスネグロの様に核を破壊しないと倒せない魔物の場合は、核の回収が難しいらしい。
「再生するとかずるいぞ!卑怯だ!バグだ!」
「最後のはよく分からないが、不老不死の主人がそれを言うななのだ……」
「違うぞリリム。お前は間違っている」
「どこがなのだ?死んでも生き返るなんて充分にずるいと思うのだが?」
「分からないか?自分が良くても相手にされるとムカつくだろ」
「餓鬼か!お前は!?」
「ひど!?――――ってうおぉ!?」
急にカオスネグロが十字の斬撃を放って攻撃してきた。
兜を被っているせいでその表情は伺えないが、兜の隙間から見える鋭い紅い眼光がこちらを睥睨し、それがまるで俺を無視するなと訴えているようで、その怒りの感情を乗せた攻撃が襲いかかってきた。それを俺たちは、それぞれ左右に飛び回避する。すると、ドカーンと何かが爆発したような轟音が鳴り響くと、俺たちが先程まで居た場所の地面はえぐれていた。
「おい!危ないだろ!会話中に攻撃するなよ!」
「魔物相手に何を言っておるのだ……」
「………」
五体満足のカオスネグロを見ていると、まるでここまでの俺たちの攻撃が無意味かのように感じてしまい、思わず溜息が漏れてしまう。
「追い詰めたと思ったのに仕切り直しかよ……」
先程俺が放った《第三階位魔術》【ホーリーブラスト】でカオスネグロの周囲に撒き散らされていた俺の血は、すっかり蒸発してしまい、仕掛けた《空絶》による罠もその光線に巻き込まれて全て無くなってしまった。その状況がまた仕切り直しになってしまったことを物語っている様に感じた。
「これはかなり長期戦になりそうだな……」
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