私を溺愛してくれたのは同期の御曹司でした

日下奈緒

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結婚活動開始!

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「ああ……池崎さん……」

彼の首に手を回す。

「私、初めてのデートでこんな事……」

「出会った時間なんて関係ないよ。お互いが求めてるんだから。」

池崎さんの言葉は、いつも私を大人の余裕で包んでくれる。

私、この人が欲しい。

「来て!思い切り来て!」

私の言葉に池崎さんも激しくなる。

「ああっ、恭香っ!」

私が彼をぎゅっと抱きしめると、彼は動きを止めた。

「あれ?」

そう言って池崎さんが、また動き始める。

「出なかったんですか?」

「今度は出るよ。恭香の中に……っ!」

そしてまた池崎さんは激しく動いて、腰を止めたけれど、苦しそうな顔をしている。

「……私の体、気持ちよくない?」

「気持ちいいよ。ただ……」

「ただ?」

「俺が途中でダメになっちゃって。」

それって……萎えたって事?

「あー、もうダメだ。ごめん。」

池崎さんは、私から離れベッドにダウンしてしまった。

なに、それ。初めての経験なんですけど。

「恭香。満足させられなくて、ごめん。」

池崎さんは、私の体に抱き着いてくる。

「……いえ、疲れてるんですよ。」

「優しいなぁ、恭香は。」

そう言って眠りに着く池崎さん。


反対に悶々とした気持ちを抱えながら、眠れないでいる私。

何がダメだったのだろう。

スタイル?そう言えば、最近崩れてきたような。


「恭香?」

池崎さんが、眠そうに目をこすった。

「ごめん。男も歳をとると体力無くなって、最後までできないんだよ。」

「そうなんですか。」

「恭香が悪いんじゃないから。」

そう言って池崎さんはまた眠りの世界へ。

池崎さんの優しさが、逆に悲しかった。

分かる。もう池崎さん50歳だし。夜が弱くなるのは分かる。

でも、私まだ38歳だよ?これでいいの?

私はその夜、眠れない夜を過ごした。


翌日は、やっぱり寝不足だった。

隣の結城は、昨夜のデートを知っているから、何も言って来ない。

ただ眠い。ひたすら眠い。

仕事に集中したいのに。昨夜の事を忘れたいのに。


「浅見。もう今日は帰れ。」

「えっ?」

結城が私の肩を叩いた。

「顔、真っ青だぞ。帰って休め。」

「大丈夫。ただ眠いだけだから。」

すると結城は、私を片手で立たせた。

「無理するな。」

そして私のバッグとジャケットを持つ。

「行くぞ。」

そして腕を掴み、私を連れて行く。

「……結城、皆見てる。」

「見せておけ。」

結城の後ろ姿が、大きく見える。

ねえ、結城。どこまで私はあなたの世話になっていいの。

その時、足元から崩れ落ちた。

「ごめん、結城。ちょっと休ませて。」

もう立てない。力が入らない。

「浅見、俺の首元にぶら下がって。」

「えっ?」

「いいから早く。」

言われた通りにすると、結城は私を抱きかかえてくれた。

周りからうひゃーと言う声が上がる。

「大丈夫だ。俺が傍にいるから。」

私は結城にぎゅっとしがみついた。

こんなの間違っていると思う。

でも、今は結城の優しさに甘えたくて。仕方がない。


駐車場に着き、私は結城の車の助手席に乗せられた。

黒いシート、シックで高級感のある車。

何故だか結城に似合うと思った。

甲斐甲斐しくも、シートまで倒してもらった。
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