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第8章 愛の宣言
①
翌日、私はユリウスに手を引かれて王宮へと連れて行かれた。
「どうしたの? ユリウス⁉」
胸がざわめき、不安が募る。
「もう我慢できない。父に直談判する。」
「えっ……!」
私の心臓は跳ね上がった。
運が悪いことに、国王は執務室にいた。
「父上。」
重厚な扉を押し開けると、ユリウスの真剣な声が響く。
「なんだ、急に。」
机から顔を上げた国王の視線が、私に注がれた。
居たたまれず、私はうつむいてしまう。
「お話があります。」
ユリウスはためらうことなく私を抱き寄せた。
「セシリアとの結婚を、今すぐに認めてください。」
「なに……?」
国王の声が低く響き、空気が凍りつく。
「彼女を妃にしたい。誰にも渡さない。俺のすべてを賭けても構いません。」
ユリウスの瞳は決意に満ちていた。
私はただ、彼の腕の中で震えるしかなかった。
──まさか、こんな形で国王に訴えるなんて。
国王はしばし沈黙し、冷静な眼差しで息子を見つめた。
「……ユリウス。おまえは本気で言っているのか。」
「はい。命を賭けても構いません。」
迷いなく答えるユリウス。その声は揺るぎなかった。
国王の視線が、今度は私に向けられる。
「セシリア嬢。これはおまえの望みでもあるのか。」
「わ、私は……」
声が震え、言葉が出ない。
私の答えひとつで、この国の未来さえ変わってしまうのだ。
「愛は尊い。しかし、婚姻は個人の想いだけで決めるものではない。」
国王の声は静かだが、厳しさを含んでいた。
ユリウスは一歩も退かず、私の肩を抱きしめる。
「父上。俺にとって、セシリア以上の相手はいません。」
重苦しい空気が執務室を満たしていく。
──ここから先は、ただの恋では済まされないのだ。
「父上……彼女のお腹の中に、俺の子がいるかもしれないんです。」
ユリウスの言葉に、私は息を呑んだ。
「えっ……⁉」
国王は目を見開き、信じられないというように私と息子を交互に見た。
「それは……確かなことなのか。」
「月のモノが遅れているのです。」
ユリウスの告白に、国王の顔色が変わる。
「……結婚の許しも得ていないのに、夜を共にしたのか!」
低い怒声が執務室に響いた。
「俺は……彼女を愛しているから抱いたんです!」
ユリウスは一歩も退かず、私を庇うように抱き寄せた。
「黙れ!」
国王の体が震え、その手が振り上げられる。
乾いた音が響き、ユリウスの頬が赤く腫れた。
「父上……!」
私は思わず声を上げたが、ユリウスは痛みに顔を歪めながらも真っ直ぐに父を見据えていた。
「俺は後悔していません。彼女を愛し、守り抜く覚悟です。」
国王の瞳には、怒りと苦悩が入り混じっていた。
──愛と責任、その両方が試される時が来たのだ。
「どうしたの? ユリウス⁉」
胸がざわめき、不安が募る。
「もう我慢できない。父に直談判する。」
「えっ……!」
私の心臓は跳ね上がった。
運が悪いことに、国王は執務室にいた。
「父上。」
重厚な扉を押し開けると、ユリウスの真剣な声が響く。
「なんだ、急に。」
机から顔を上げた国王の視線が、私に注がれた。
居たたまれず、私はうつむいてしまう。
「お話があります。」
ユリウスはためらうことなく私を抱き寄せた。
「セシリアとの結婚を、今すぐに認めてください。」
「なに……?」
国王の声が低く響き、空気が凍りつく。
「彼女を妃にしたい。誰にも渡さない。俺のすべてを賭けても構いません。」
ユリウスの瞳は決意に満ちていた。
私はただ、彼の腕の中で震えるしかなかった。
──まさか、こんな形で国王に訴えるなんて。
国王はしばし沈黙し、冷静な眼差しで息子を見つめた。
「……ユリウス。おまえは本気で言っているのか。」
「はい。命を賭けても構いません。」
迷いなく答えるユリウス。その声は揺るぎなかった。
国王の視線が、今度は私に向けられる。
「セシリア嬢。これはおまえの望みでもあるのか。」
「わ、私は……」
声が震え、言葉が出ない。
私の答えひとつで、この国の未来さえ変わってしまうのだ。
「愛は尊い。しかし、婚姻は個人の想いだけで決めるものではない。」
国王の声は静かだが、厳しさを含んでいた。
ユリウスは一歩も退かず、私の肩を抱きしめる。
「父上。俺にとって、セシリア以上の相手はいません。」
重苦しい空気が執務室を満たしていく。
──ここから先は、ただの恋では済まされないのだ。
「父上……彼女のお腹の中に、俺の子がいるかもしれないんです。」
ユリウスの言葉に、私は息を呑んだ。
「えっ……⁉」
国王は目を見開き、信じられないというように私と息子を交互に見た。
「それは……確かなことなのか。」
「月のモノが遅れているのです。」
ユリウスの告白に、国王の顔色が変わる。
「……結婚の許しも得ていないのに、夜を共にしたのか!」
低い怒声が執務室に響いた。
「俺は……彼女を愛しているから抱いたんです!」
ユリウスは一歩も退かず、私を庇うように抱き寄せた。
「黙れ!」
国王の体が震え、その手が振り上げられる。
乾いた音が響き、ユリウスの頬が赤く腫れた。
「父上……!」
私は思わず声を上げたが、ユリウスは痛みに顔を歪めながらも真っ直ぐに父を見据えていた。
「俺は後悔していません。彼女を愛し、守り抜く覚悟です。」
国王の瞳には、怒りと苦悩が入り混じっていた。
──愛と責任、その両方が試される時が来たのだ。
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