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第6章 千尋の元カレ
④
「――そんな男、泣くに値しない。」
「えっ……?」
一瞬で、涙が止まった。
律さんの目はまっすぐで、少しだけ怒っているようにも見えた。
「俺だったら……千尋の全部を引き受ける。何も捨てさせない。どれも、おまえの大事なものなんだろ?」
その言葉に、胸がぎゅっと苦しくなる。
「俺なら、全部抱きしめる。千尋の過去も、家族も、想いも――全部、愛したい。」
そう言って、律さんは私の手を取り、そしてそっと唇を重ねた。
やさしく、けれど、確かに想いのこもったキスだった。
「千尋。俺は、千尋の味方だよ。」
その一言が、心にじんわりと染みた。
「律さん……」
「今度、千尋を泣かせるような奴がいたら、俺が言ってやっつけてやる。」
ちょっと真剣な顔で、拳を握るその姿が頼もしすぎて。
まるで童話に出てくるナイトみたいで。
「可笑しい……律さん、面白過ぎ。」
思わず、くすくす笑ってしまった。
あんなに泣いていたのに、今はこんなにも温かくて。
そんな私の笑い声に、律さんも目尻を下げて微笑んだ。
「千尋が笑ってくれるなら、俺、何でもするよ。」
その言葉が、優しく胸に届く。
――ああ、この人を選んでよかった。
涙じゃなくて、今度は笑顔で心が満たされていく。
この人となら、過去の痛みも、すれ違いも、全部、優しさに変えていける気がした。
そして、仕事を終えてオフィスビルを出た瞬間だった。
「千尋。」
その声に、足が止まる。振り返ると、そこには悠太が立っていた。
「なんで、私の職場に……?」
「何でって、よくここに迎えに来てただろ?懐かしいな。」
懐かしい声、懐かしい目。そして、変わらない真剣な表情。
「話があるんだ。」
その目を見て、断ることができなかった。
「一杯だけよ。」
そう言って歩き出すと、彼が選んだのは、近くにある雰囲気のいいレストランだった。
「……こんな高そうなお店、入ったことない。」
「安心して。今日は俺の奢りだから。」
にっこりと笑うその顔が、昔の記憶を掘り起こす。
10年間、何度もこうやって向き合って、笑い合ったこと。
その一つ一つが、胸をくすぐるように蘇ってくる。
でも、私はもう、別の人と未来を歩いている。
そう、律さんと。
なのに――心のどこかで、ざわめきが止まらない。
一杯だけのつもりだったのに、気づけばグラスは何度か空になっていた。
「そろそろ帰らないと。」
お酒のせいか、それとも懐かしさのせいか。時が経つのが早すぎた。
律さんが、家で夕食を作って待っているかもしれない。
そう思って立ち上がろうとした、その時。
「待って、千尋。」
不意に腕を掴まれた。
さっきまで大学の思い出や友人の近況に笑っていた彼が、急に真剣な顔になる。
「今から話すこと、真面目に聞いてほしい。」
私は少し戸惑いながら、ゆっくりとうなずいた。
「えっ……?」
一瞬で、涙が止まった。
律さんの目はまっすぐで、少しだけ怒っているようにも見えた。
「俺だったら……千尋の全部を引き受ける。何も捨てさせない。どれも、おまえの大事なものなんだろ?」
その言葉に、胸がぎゅっと苦しくなる。
「俺なら、全部抱きしめる。千尋の過去も、家族も、想いも――全部、愛したい。」
そう言って、律さんは私の手を取り、そしてそっと唇を重ねた。
やさしく、けれど、確かに想いのこもったキスだった。
「千尋。俺は、千尋の味方だよ。」
その一言が、心にじんわりと染みた。
「律さん……」
「今度、千尋を泣かせるような奴がいたら、俺が言ってやっつけてやる。」
ちょっと真剣な顔で、拳を握るその姿が頼もしすぎて。
まるで童話に出てくるナイトみたいで。
「可笑しい……律さん、面白過ぎ。」
思わず、くすくす笑ってしまった。
あんなに泣いていたのに、今はこんなにも温かくて。
そんな私の笑い声に、律さんも目尻を下げて微笑んだ。
「千尋が笑ってくれるなら、俺、何でもするよ。」
その言葉が、優しく胸に届く。
――ああ、この人を選んでよかった。
涙じゃなくて、今度は笑顔で心が満たされていく。
この人となら、過去の痛みも、すれ違いも、全部、優しさに変えていける気がした。
そして、仕事を終えてオフィスビルを出た瞬間だった。
「千尋。」
その声に、足が止まる。振り返ると、そこには悠太が立っていた。
「なんで、私の職場に……?」
「何でって、よくここに迎えに来てただろ?懐かしいな。」
懐かしい声、懐かしい目。そして、変わらない真剣な表情。
「話があるんだ。」
その目を見て、断ることができなかった。
「一杯だけよ。」
そう言って歩き出すと、彼が選んだのは、近くにある雰囲気のいいレストランだった。
「……こんな高そうなお店、入ったことない。」
「安心して。今日は俺の奢りだから。」
にっこりと笑うその顔が、昔の記憶を掘り起こす。
10年間、何度もこうやって向き合って、笑い合ったこと。
その一つ一つが、胸をくすぐるように蘇ってくる。
でも、私はもう、別の人と未来を歩いている。
そう、律さんと。
なのに――心のどこかで、ざわめきが止まらない。
一杯だけのつもりだったのに、気づけばグラスは何度か空になっていた。
「そろそろ帰らないと。」
お酒のせいか、それとも懐かしさのせいか。時が経つのが早すぎた。
律さんが、家で夕食を作って待っているかもしれない。
そう思って立ち上がろうとした、その時。
「待って、千尋。」
不意に腕を掴まれた。
さっきまで大学の思い出や友人の近況に笑っていた彼が、急に真剣な顔になる。
「今から話すこと、真面目に聞いてほしい。」
私は少し戸惑いながら、ゆっくりとうなずいた。
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