御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました【完結】

日下奈緒

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第8章 遅れた新婚旅行

翌日は、ホテルに備え付けのナイトプールで楽しんだ。

「律さん!」

私は日本から持って来たビキニを着て、プールサイドにいる律さんに手を振った。

「えっ⁉」

律さんの視線が、私の胸元に固定される。

「……千尋の胸、こんな大きかった?」

「もうっ!」

私は律さんの腕を叩いた。

実はビキニの中にパットを入れて寄せている。

密かにこれは、効果があったかもしれない。

嬉しくて、私は律さんの腕に絡みついた。

その時だった。

「千尋、俺の背中に隠れて。」

「えっ?」

何かったと思い、彼の背中に隠れた。

「何?何事?」

すると律さんはゴホンと咳ばらいした。

律さんがゴホンと咳払いした先には──視線を向けてきたのは、明らかに地元の若い男の子たち。

「千尋のこと、ジロジロ見てた。」

低く落ち着いた声だけど、内心は嫉妬で燃えているのがわかる。

その証拠に、背中越しに感じる彼の体温がやけに熱い。

「……ま、まあ、水着なんてそんなもんでしょ?」

私が苦笑いを浮かべると、律さんはピクリと口角を上げた。

「……だめ。千尋があんな格好して他の男に見られるの、全然よくない。」

「え、でもここプールだし……」

「だめ。今日は、俺の目だけで満足させて?」

そう言って、律さんは私の腕を取り、スッとナイトプールの端のカバナへと導いた。

まるで「人目を避けるように」──。

「ちょ、律さん⁉ ここ暗いけど……」

私が慌てて律さんを引き留めようとする。

「そう。暗いから、ちょっとくらい……触っても、バレないでしょ?」

「ええっ⁉」

彼の手が、私のウエストに回る。ビキニの上から、そっと胸に触れる指先──

「千尋……本当に、こんな姿で俺を挑発して、どうなるかわかってる?」

「ち、ちがっ……そういうつもりじゃ……」

離そうとしても、律さんが離れてくれない。

「じゃあ、なんでパット入れてるの?」

「えっ⁉」

──ばれた⁉

「可愛すぎて、抱きしめるの我慢してたのに。」

そのまま、カバナの中でそっと抱き寄せられる。遠くで水音が聞こえる中、ふたりの熱だけが静かに高まっていく──

「俺以外に見せるの禁止。今夜は、この罪を……ちゃんと償ってもらうからね。」

囁く声に、心臓がドクンと跳ねた。

ナイトプールは、まだ始まったばかりなのに。

そしてプールの中、私と律さんは手を繋いで水の中に潜ったりして遊んだ。

「プㇵッ!」

水の中から顔を出すと、律さんも顔を出した。

髪が水に濡れて顔にかかる。

それがセクシーでドキッとした。その時だった。

隣で泳いでいた金髪の女性が、律さんに話しかけてきた。

「Where are you from?」「Japan。」

律さんが答えたのが気に入ったのか、彼女はにこっと笑った。

「Is that girl friend next to you?」

そして私をチラッとみる。
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