御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました【完結】

日下奈緒

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第10章 妊娠発覚

その夜の空気は、どこか熱を含んでいた。

まるで自分の中に灯った炎が、抑えきれずに揺れているようだった。

「律さん……」

ベッドの中で本を読んでいた律さんが、顔を上げて微笑む。

「ん?」

私は迷いながらも、意を決して声を絞り出す。

「……そっちに行ってもいい?」

その瞬間、律さんの手がスッと動いた。

優しく布団をめくる。

「いいよ。おいで。」

たったそれだけの言葉で、胸がドクンと高鳴る。

私はゆっくりベッドサイドに立ち、パジャマのボタンを外して──脱いだ。

律さんの瞳が、一瞬見開かれる。

「……たまらないね。」

静かに言いながら、律さんも身を起こし、自分のTシャツを脱ぐ。

月明かりが、彼の体にうっすらと影を落とす。

その筋肉のラインが、美しくて、眩しい。

私はそっと彼の胸に手を置いた。

「私……今夜は、私から……」

「うん……?」

律さんは、私の手をそっと握って唇を寄せてくる。

重なる吐息、絡まる指先。

静かで、でも確かに熱を帯びた夜が始まった──。

私の気持ちは、理性よりもずっと先に進んでいた。

この胸の奥にある「欲しい」という感情が、全てを支配していく。

どちらからともなく唇が重なった瞬間──

「んん……ぁ……」

とろけるようなキスの余韻に、心も体も溶けていく。

「千尋……」

その低く甘い声に、たまらず私は律さんを押し倒していた。

自分でも驚くほど、積極的に。

「淫らな女は嫌?」

そう囁きながら、自ら律さんの体を受け入れる。

「……ああ、そんな千尋も綺麗だよ。」

律さんはそう言って、私の手を強く握り返した。

指先から心まで、深くつながっていく。

私は腰を打ちつけながら、律さんを強く求める。

「律さん……律さんっ……!」

「激しいって、千尋……」

律さんの顔が、汗で濡れた額から色っぽく崩れていく。

「だって……律さんが、欲しくて……」

私はもう止まらなかった。

律さんのすべてが、愛しくて。

切ない声も、熱っぽい視線も、悶える表情も──

どれ一つ、見逃したくなかった。

「もっと……律さんの全部、見せて……」

そう言った私を見つめる律さんの瞳は、何よりも深く、そして熱い。

「千尋……俺、もう……」

その瞬間、律さんの体がぐっと私の奥へと押し寄せてくる。

まるで、心の一番深い場所にまで触れられたような──そんな感覚だった。

「律さん……だめえっ……!」

声にならない声が、喉の奥から漏れる。

「くっ……」

律さんもまた、抑え切れない熱を全身に漲らせている。

その熱が、私の中を満たしていく。

──熱い。
律さんの全てが、私の中で溶け合っていく。

「千尋……今日、もしかして──」

「……子供、できるかも……」

そう囁くと、律さんの目が潤んだ。
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