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第3章 新居とぎこちない新生活
⑨
「違うでしょ。」
律さんはくるりと椅子を回して、こちらに優しく微笑む。
「夫婦なんだから、こういう時はお互い様。何も遠慮することない。」
その言葉に、胸の奥がふわりと温かくなる。
ああ、やっぱり私はこの人と結婚してよかった。
「お昼、食べられそう?」
「うーん……おかゆなら。」
「よし。ちょっと待ってな。愛情たっぷりの、優しいやつ作るから。」
そう言って立ち上がる律さんの背中を、私はぼんやりと目で追った。
どこまでも、優しい人――。
この人を、もっと大事にしたい。もっと、頼っていいんだ。
そう思えた、微熱の昼下がりだった。
そして30分後、律さんは熱々の玉子おかゆを作ってくれた。
「うーん!美味しい!」
一口食べて、思わず笑顔になる。
前も思ったけれど、律さんって卵の使い方が絶妙に上手い。
固すぎず、柔らか過ぎず、口の中でとろけるちょうどいい食感。
塩気も控えめなのに、しっかりと味がある。
「そんなに美味しそうに食べるんだ。」
向かいから嬉しそうに見つめてくる律さん。
「うん、だって美味しいもん。」
律さんは身を乗り出して、私のおでこに自分のおでこをそっとくっつけた。
「普段作ってるおかゆで、そんなに嬉しくなるんだったら、何度でも作るよ。」
その声がくすぐったくて、私は照れくさく笑った。
おでこが重なる距離、彼の体温がほんのり伝わってくる。
「……熱、下がってきたね。」
そう言って、律さんが真剣な表情でうんうんと頷く。
「千尋が元気じゃないと、俺も心配で仕事にならないからさ。」
「ふふっ。もう、ちょっと大げさ。」
「本気だよ。」
そのまま律さんが私の額に、そっとキスを落とした。
優しいキス。熱も不安も溶かしてくれるような。
「ありがとう、律さん。……私、きっと、すぐ元気になる。」
「うん。元気になったら、次は俺の好物、作ってね。」
「なにそれ、交換条件?」
「うん。夫婦の特権。」
そう言って笑う律さんの笑顔が、今日いちばんの薬になった気がした。
翌朝。すっかり元気になった私は、スーツをビシッと着こなし、リビングを出る。
玄関でネクタイを締めている律さんの姿を見つけて、思わず足が止まった。
「待って、律さん。」
後ろから声をかけると、律さんがふとこちらを見る。
私は背伸びをして、律さんの頬にキスをした。
「えへへ。これ、何気に憧れだったんだよね。行ってらっしゃいのキスってやつ。」
照れながらそう言うと、律さんが優しく笑って、次の瞬間──
彼の唇が、私の唇に重なった。
律さんはくるりと椅子を回して、こちらに優しく微笑む。
「夫婦なんだから、こういう時はお互い様。何も遠慮することない。」
その言葉に、胸の奥がふわりと温かくなる。
ああ、やっぱり私はこの人と結婚してよかった。
「お昼、食べられそう?」
「うーん……おかゆなら。」
「よし。ちょっと待ってな。愛情たっぷりの、優しいやつ作るから。」
そう言って立ち上がる律さんの背中を、私はぼんやりと目で追った。
どこまでも、優しい人――。
この人を、もっと大事にしたい。もっと、頼っていいんだ。
そう思えた、微熱の昼下がりだった。
そして30分後、律さんは熱々の玉子おかゆを作ってくれた。
「うーん!美味しい!」
一口食べて、思わず笑顔になる。
前も思ったけれど、律さんって卵の使い方が絶妙に上手い。
固すぎず、柔らか過ぎず、口の中でとろけるちょうどいい食感。
塩気も控えめなのに、しっかりと味がある。
「そんなに美味しそうに食べるんだ。」
向かいから嬉しそうに見つめてくる律さん。
「うん、だって美味しいもん。」
律さんは身を乗り出して、私のおでこに自分のおでこをそっとくっつけた。
「普段作ってるおかゆで、そんなに嬉しくなるんだったら、何度でも作るよ。」
その声がくすぐったくて、私は照れくさく笑った。
おでこが重なる距離、彼の体温がほんのり伝わってくる。
「……熱、下がってきたね。」
そう言って、律さんが真剣な表情でうんうんと頷く。
「千尋が元気じゃないと、俺も心配で仕事にならないからさ。」
「ふふっ。もう、ちょっと大げさ。」
「本気だよ。」
そのまま律さんが私の額に、そっとキスを落とした。
優しいキス。熱も不安も溶かしてくれるような。
「ありがとう、律さん。……私、きっと、すぐ元気になる。」
「うん。元気になったら、次は俺の好物、作ってね。」
「なにそれ、交換条件?」
「うん。夫婦の特権。」
そう言って笑う律さんの笑顔が、今日いちばんの薬になった気がした。
翌朝。すっかり元気になった私は、スーツをビシッと着こなし、リビングを出る。
玄関でネクタイを締めている律さんの姿を見つけて、思わず足が止まった。
「待って、律さん。」
後ろから声をかけると、律さんがふとこちらを見る。
私は背伸びをして、律さんの頬にキスをした。
「えへへ。これ、何気に憧れだったんだよね。行ってらっしゃいのキスってやつ。」
照れながらそう言うと、律さんが優しく笑って、次の瞬間──
彼の唇が、私の唇に重なった。
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