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第十章 二人で結婚へ ①
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しばらくして、私の屋敷に来たカイルは、いつになく落ち着きがなかった。
「……あれ? カイル?」
ふと視線を向ければ、立ったり座ったり、部屋の中を落ち着きなく歩き回っている。
いつも凛として頼れる彼とは、まるで別人。
「ねえ、どうしたの? そんなにそわそわして……」
声をかけても、「うん」と短く答えるだけで、また数歩うろうろするだけ。
──これは絶対、何かある。
そう思っていると、ノックの音がしてドアが開いた。入って来たのは、私の父。
「どうでした? カイル殿下」
「……あっ、まだですっ」
「えっ⁉」
私の声が裏返る。
二人して、何をこそこそ話していたの⁉
カイルが顔を真っ赤にして、ちらりと私を見た。
「なあに? 二人で何たくらんでるの? 教えてよ」
そう言って腕を組むと、父はおかしそうに笑いながら言った。
「お前の婚約者が、今日こそ“けじめをつけたい”そうでね。ちゃんと自分の口から聞いてやれ、セレナ」
「けじめ……?」
カイルはひとつ深呼吸をして、私の正面に立った。そして、ポケットから小さな箱を取り出すと、まっすぐに私を見つめた。
「セレナ。正式に、君に婚姻を申し込みたい」
「……えっ」
「君を、俺の妃にしたい。これまでは立場もあって、ずっと言えずにいた。でも、もう、迷わない。俺には、君が必要だ」
ぱかっと開かれた箱の中には、小さな指輪が光っていた。
胸の奥が、熱くなる。
「……なんでもっと早く言ってくれなかったの?」
「……緊張して、今にも吐きそうだった。」
それを聞いて、ふっと笑ってしまった。いつも立派で堂々とした皇太子が、私との未来の前では、こんなに不器用なんだ。
「じゃあ、その指輪……もらってあげる。」
私がそう言うと、カイルの顔がぱっと明るくなる。
そして指輪を薬指にはめてくれたその手は、少しだけ震えていた。
「……ありがとう、セレナ。君の未来を、俺にください。」
「うん。ずっと隣にいるって、決めてたから。」
──それは、初めて“妃と皇太子”ではなく、“男と女”として交わされた、未来の約束だった。
そしてその夜、私はティアナにそっと伝えることにした。
ティアナは神殿から戻ったばかりで、少し疲れた様子だったけれど、私の顔を見るとすぐに笑ってくれた。
「こんばんは、セレナ様。今日はいつにも増して……綺麗ですね?」
「えっ、そうかしら?」
どきりとした。まさかもう気づいているのだろうか。
「ちょっとだけ……お話、いいかしら?」
ティアナはこくりと頷き、私たちは静かな廊下の片隅で並んで腰かけた。夜風が涼しくて、頬に心地よい。
「実は……今日、カイル殿下から、正式に婚姻の申し込みを受けたの。」
その瞬間、ティアナの目がぱちりと見開かれた。
「……まあ。」
彼女は手を胸元に添えると、ふっと微笑んだ。
「おめでとうございます、セレナ様。本当に、本当に……素敵なことですね。」
「ありがとう。突然のことで、まだ夢みたいなんだけど……」
するとティアナは、私の手をぎゅっと握ってくれた。
「……あれ? カイル?」
ふと視線を向ければ、立ったり座ったり、部屋の中を落ち着きなく歩き回っている。
いつも凛として頼れる彼とは、まるで別人。
「ねえ、どうしたの? そんなにそわそわして……」
声をかけても、「うん」と短く答えるだけで、また数歩うろうろするだけ。
──これは絶対、何かある。
そう思っていると、ノックの音がしてドアが開いた。入って来たのは、私の父。
「どうでした? カイル殿下」
「……あっ、まだですっ」
「えっ⁉」
私の声が裏返る。
二人して、何をこそこそ話していたの⁉
カイルが顔を真っ赤にして、ちらりと私を見た。
「なあに? 二人で何たくらんでるの? 教えてよ」
そう言って腕を組むと、父はおかしそうに笑いながら言った。
「お前の婚約者が、今日こそ“けじめをつけたい”そうでね。ちゃんと自分の口から聞いてやれ、セレナ」
「けじめ……?」
カイルはひとつ深呼吸をして、私の正面に立った。そして、ポケットから小さな箱を取り出すと、まっすぐに私を見つめた。
「セレナ。正式に、君に婚姻を申し込みたい」
「……えっ」
「君を、俺の妃にしたい。これまでは立場もあって、ずっと言えずにいた。でも、もう、迷わない。俺には、君が必要だ」
ぱかっと開かれた箱の中には、小さな指輪が光っていた。
胸の奥が、熱くなる。
「……なんでもっと早く言ってくれなかったの?」
「……緊張して、今にも吐きそうだった。」
それを聞いて、ふっと笑ってしまった。いつも立派で堂々とした皇太子が、私との未来の前では、こんなに不器用なんだ。
「じゃあ、その指輪……もらってあげる。」
私がそう言うと、カイルの顔がぱっと明るくなる。
そして指輪を薬指にはめてくれたその手は、少しだけ震えていた。
「……ありがとう、セレナ。君の未来を、俺にください。」
「うん。ずっと隣にいるって、決めてたから。」
──それは、初めて“妃と皇太子”ではなく、“男と女”として交わされた、未来の約束だった。
そしてその夜、私はティアナにそっと伝えることにした。
ティアナは神殿から戻ったばかりで、少し疲れた様子だったけれど、私の顔を見るとすぐに笑ってくれた。
「こんばんは、セレナ様。今日はいつにも増して……綺麗ですね?」
「えっ、そうかしら?」
どきりとした。まさかもう気づいているのだろうか。
「ちょっとだけ……お話、いいかしら?」
ティアナはこくりと頷き、私たちは静かな廊下の片隅で並んで腰かけた。夜風が涼しくて、頬に心地よい。
「実は……今日、カイル殿下から、正式に婚姻の申し込みを受けたの。」
その瞬間、ティアナの目がぱちりと見開かれた。
「……まあ。」
彼女は手を胸元に添えると、ふっと微笑んだ。
「おめでとうございます、セレナ様。本当に、本当に……素敵なことですね。」
「ありがとう。突然のことで、まだ夢みたいなんだけど……」
するとティアナは、私の手をぎゅっと握ってくれた。
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