誰にでも優しいくせに、私だけに本気なんてズルい– 遊び人エリートのくせに、溺愛が止まらない –【完結】

日下奈緒

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第7部 本気の夜、ふたりの距離

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「するだろ。紗英と一緒にいる時、俺、気抜いたらすぐキスしたくなるから。」

「……あの、それ、気抜いてなくてもしてません?」

「ん。してる。」

ふふっと私は吹き出してしまった。

緊張なんて、してたのは私だけじゃなかった。

彼もまた、不器用に、私との距離を測っていたんだ。

私はそっと隣に腰を下ろす。

「上林さんに……子作りしろって言われましたよ。」

苦笑交じりにそう告げると、隼人さんは、ふっと口角を上げた。

「うん。俺もしたい。」

あまりにストレートな言葉に、鼓動が跳ねる。

「……隼人さん、それ、本気で言ってます?」

「本気じゃなかったら、こんな場所に来てない。」

その目は冗談じゃなかった。

あまりに真っ直ぐで、私は言葉を失った。

「結婚が先か、子供ができるのが先か――」

そう言いながら、彼は私の肩を優しく押し、ベッドに背中を預けさせる。

「今夜、次第だね。」

「……あの、ちょっと……楽しんでません?」

「もちろん。紗英と一緒にいると、楽しいよ。」

そう言って、彼は上着を脱ぎ、シャツを外す。

あらわになった体には、派手な筋肉ではなく、しなやかで無駄のない輪郭があった。

まるで、感情を抑えて生きてきた人の、静かな自制を物語るような――そんな体。

私はただ、彼に見惚れていた。

愛おしくて、触れたくなる。

「……紗英。」

名前を呼ばれた瞬間、彼の手がそっと私の頬に触れた。

「今夜こそ、君を本気で抱く。」

ベッドサイドの淡い光の中、見下ろす隼人さんの視線は、熱を帯びていた。

その真剣なまなざしに、私は思わず目を逸らす。

「何度も――何度でも、君の中で果てたい。」

彼の言葉は、まるで深い海の底に引き込まれるように、私の心を揺らす。

「ほんとに……子供、できちゃうかも……」

小さく告げると、隼人さんは微笑んだ。

「それでも、いいよ。」

それは、優しさと覚悟を孕んだ声だった。

触れられる唇に、息が詰まりそうになる。

甘く、深く、何度も交わされる口づけに酔っていく。

「感じて、紗英。俺を、全部。」

「感じてる……もう、十分に。」

「もっとだよ。もっと俺を知って。」

彼は、そっと私の肩に手を伸ばす。

重ねられていく時間の中で、服の重なりが一枚ずつ消えていく。

「紗英……君はなんて、綺麗なんだろう。」

耳元に囁かれるその言葉は、これまで誰にも言われたことのないものだった。
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