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第7部 本気の夜、ふたりの距離
⑧
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でも、一条さんのこの真っ直ぐな想いも、確かに今、私の胸を打っている。
どうして。
こんなに苦しいんだろう――
「好きだ。」
その瞬間、唇が塞がれた。
驚いて目を見開いた私の背後で、抱えていた書類が床にばらばらと散った。
けれど彼の腕は、私を放そうとはしない。
熱い、真剣なキス。
強引で、でもどこか苦しげなキスだった。
「い、一条さん……やめ……」
放そうとしても、彼の腕は微動だにしない。
「桐生部長のモノになんかなるなよ。」
耳元で囁く声が、熱を帯びている。
その声音に、胸がドクンと鳴った。
「……俺のモノになれよ、紗英。」
切羽詰まったような表情で、私を見つめる一条さん。
まるで、これまで必死に隠してきた想いが、
今にも彼自身を壊してしまいそうな――そんな危うさを孕んでいた。
「ずっと見てた。あんたが、あの男に惹かれていくのを。」
唇が震えた。
声が出せない。
「けど、俺は見てるだけだった。バカみたいに……」
不器用で真っ直ぐな、彼の想いが痛いほど伝わってくる。
私は――
何を選ぶべきなの?
心の奥で、隼人さんの顔が浮かぶ。
でも今、目の前には、一条さんの熱があった。
「紗英、付き合おう。」
一条さんが本気で告白してきた。
「いえ、もう桐生部長と付き合っているので。」
「だから、そんなの遊ぶ為の口実だって!」
「違います!」
すると一条さんは、私のスカートの中に、指を入れて来た。
「俺は、紗英で遊ばない。本気だ。」
「いやあ!」
でも一条さんの指で感じる。
「ああん……」
「可愛い、紗英。俺の指感じて。」
ダメなのに、感じてしまう。
「紗英、俺を感じて。」
そう言って一条さんは、ズボンを脱ぐと私の中に入ってきた。
「ああ……」
「紗英、好きだ。愛してる。」
一条さんは、甘く囁きながら何度も腰を動かした。
「ああ、紗英を抱いている。」
彼の熱が、私を支配する。
「好きな女、抱いてる。俺のモノにしてる。」
一条さんは、熱いキスをすると私の中で果てた。
私は何が起こったのか分からず、その場に崩れ落ちた。
「紗英……」
優しく、でも逃げられないように抱きしめられる。
彼の体温が、直接肌に触れてくるたびに、私は自分を見失っていった。
「いいね……もう俺のモノだからね。」
耳元で囁かれた声に、背筋がゾクリとした。
体が熱いのに、心が冷たい。
「桐生部長と、会わないで。」
その一言が胸を刺した。
どうして。
こんなに苦しいんだろう――
「好きだ。」
その瞬間、唇が塞がれた。
驚いて目を見開いた私の背後で、抱えていた書類が床にばらばらと散った。
けれど彼の腕は、私を放そうとはしない。
熱い、真剣なキス。
強引で、でもどこか苦しげなキスだった。
「い、一条さん……やめ……」
放そうとしても、彼の腕は微動だにしない。
「桐生部長のモノになんかなるなよ。」
耳元で囁く声が、熱を帯びている。
その声音に、胸がドクンと鳴った。
「……俺のモノになれよ、紗英。」
切羽詰まったような表情で、私を見つめる一条さん。
まるで、これまで必死に隠してきた想いが、
今にも彼自身を壊してしまいそうな――そんな危うさを孕んでいた。
「ずっと見てた。あんたが、あの男に惹かれていくのを。」
唇が震えた。
声が出せない。
「けど、俺は見てるだけだった。バカみたいに……」
不器用で真っ直ぐな、彼の想いが痛いほど伝わってくる。
私は――
何を選ぶべきなの?
心の奥で、隼人さんの顔が浮かぶ。
でも今、目の前には、一条さんの熱があった。
「紗英、付き合おう。」
一条さんが本気で告白してきた。
「いえ、もう桐生部長と付き合っているので。」
「だから、そんなの遊ぶ為の口実だって!」
「違います!」
すると一条さんは、私のスカートの中に、指を入れて来た。
「俺は、紗英で遊ばない。本気だ。」
「いやあ!」
でも一条さんの指で感じる。
「ああん……」
「可愛い、紗英。俺の指感じて。」
ダメなのに、感じてしまう。
「紗英、俺を感じて。」
そう言って一条さんは、ズボンを脱ぐと私の中に入ってきた。
「ああ……」
「紗英、好きだ。愛してる。」
一条さんは、甘く囁きながら何度も腰を動かした。
「ああ、紗英を抱いている。」
彼の熱が、私を支配する。
「好きな女、抱いてる。俺のモノにしてる。」
一条さんは、熱いキスをすると私の中で果てた。
私は何が起こったのか分からず、その場に崩れ落ちた。
「紗英……」
優しく、でも逃げられないように抱きしめられる。
彼の体温が、直接肌に触れてくるたびに、私は自分を見失っていった。
「いいね……もう俺のモノだからね。」
耳元で囁かれた声に、背筋がゾクリとした。
体が熱いのに、心が冷たい。
「桐生部長と、会わないで。」
その一言が胸を刺した。
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