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第8部 嫉妬と再来する影
④
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その夜。
「彼女の要求に応えるのが男でしょ。」
そう言って、隼人さんはTシャツを頭から引き抜いた。
浮かび上がる引き締まった胸元に、私は思わず息を飲む。
「……本気で、するの?」
「紗英がそう言ったんだろ?拒否する理由ある?」
優しい声。だけどその奥にある熱を、私は確かに感じていた。
目を逸らすと、隼人さんが私の頬にそっと手を添えた。
「ねえ、こっち向いて。無理に脱がせたりしないよ。……でも、紗英の肌、触れたら絶対愛しくなる。だから、覚悟して?」
その一言に、心臓が跳ねた。
私は震える指で服のボタンに手をかけ、そっと脱いでいく。
恥ずかしい。けれど、隼人さんの瞳があまりにも真剣で、怖くない。
「綺麗だよ……ずっと我慢してたんだ。君に触れたくて、でも大事にしたくて……」
そっとキスされた鎖骨から、熱がじわじわと身体の奥に落ちていく。
ベッドのシーツの感触より、彼の手の温度の方がずっと確かだった。
「もっと……触れて。隼人さん……」
小さく呟いた私に、隼人さんは驚いたような、でも嬉しそうな顔をした。
「もう、我慢しない。たっぷり愛してあげる。」
ゆっくりと身体を重ねてくる彼。
ひとつひとつの動きが丁寧で、まるで私の全てを知ろうとするみたいだった。
「紗英、気持ちいい?」
「……うん。すごく……」
「嬉しい。もっと感じて……君を感じたい、もっと……深く……」
熱く、濃密に満たされる。
指先から背中、脚の先まで、彼の愛に包まれている。
欲しかったのは、こういう愛し方だった。
ただ抱かれるだけじゃない、心まで重なる夜。
「紗英……俺、本気で君が欲しい。これからも、ずっと……」
「私も……隼人さんが欲しい。何度も、何度でも……」
絡み合う視線、離れない肌、囁かれる言葉。
その夜、私は何度も、愛された。
月曜日の午後。
机の上にある請求書をめくりながら、ふと頬がゆるむ。
「ふふ……」
何でもない数字の羅列に、思い出が重なるなんて、おかしい。
——隼人さんと過ごした週末。
久しぶりだったせいか、いつも以上に求められた。
ベッドの上で、何度も何度も。
まるで、溜め込んでいた想いを全部ぶつけるみたいに。
「……コンドーム、全部使い切っちゃった……」
囁かれた「また買ってくる」の言葉と、あのしゅんとした表情が可愛くて、ひとりでまた笑いそうになる。
「篠原さん?」
ビクッと肩が跳ねた。給湯室で、お湯を注いでいた美羽さんがこちらを見ていた。
「えっ、な、なんですか?」
「いやぁ~、なんかニヤけてましたよ?いいことでもあったのかと思って。」
「そ、そんなこと……」
「ふぅん?」
美羽さんは湯呑みを揺らしながら、にやりと笑う。
「彼女の要求に応えるのが男でしょ。」
そう言って、隼人さんはTシャツを頭から引き抜いた。
浮かび上がる引き締まった胸元に、私は思わず息を飲む。
「……本気で、するの?」
「紗英がそう言ったんだろ?拒否する理由ある?」
優しい声。だけどその奥にある熱を、私は確かに感じていた。
目を逸らすと、隼人さんが私の頬にそっと手を添えた。
「ねえ、こっち向いて。無理に脱がせたりしないよ。……でも、紗英の肌、触れたら絶対愛しくなる。だから、覚悟して?」
その一言に、心臓が跳ねた。
私は震える指で服のボタンに手をかけ、そっと脱いでいく。
恥ずかしい。けれど、隼人さんの瞳があまりにも真剣で、怖くない。
「綺麗だよ……ずっと我慢してたんだ。君に触れたくて、でも大事にしたくて……」
そっとキスされた鎖骨から、熱がじわじわと身体の奥に落ちていく。
ベッドのシーツの感触より、彼の手の温度の方がずっと確かだった。
「もっと……触れて。隼人さん……」
小さく呟いた私に、隼人さんは驚いたような、でも嬉しそうな顔をした。
「もう、我慢しない。たっぷり愛してあげる。」
ゆっくりと身体を重ねてくる彼。
ひとつひとつの動きが丁寧で、まるで私の全てを知ろうとするみたいだった。
「紗英、気持ちいい?」
「……うん。すごく……」
「嬉しい。もっと感じて……君を感じたい、もっと……深く……」
熱く、濃密に満たされる。
指先から背中、脚の先まで、彼の愛に包まれている。
欲しかったのは、こういう愛し方だった。
ただ抱かれるだけじゃない、心まで重なる夜。
「紗英……俺、本気で君が欲しい。これからも、ずっと……」
「私も……隼人さんが欲しい。何度も、何度でも……」
絡み合う視線、離れない肌、囁かれる言葉。
その夜、私は何度も、愛された。
月曜日の午後。
机の上にある請求書をめくりながら、ふと頬がゆるむ。
「ふふ……」
何でもない数字の羅列に、思い出が重なるなんて、おかしい。
——隼人さんと過ごした週末。
久しぶりだったせいか、いつも以上に求められた。
ベッドの上で、何度も何度も。
まるで、溜め込んでいた想いを全部ぶつけるみたいに。
「……コンドーム、全部使い切っちゃった……」
囁かれた「また買ってくる」の言葉と、あのしゅんとした表情が可愛くて、ひとりでまた笑いそうになる。
「篠原さん?」
ビクッと肩が跳ねた。給湯室で、お湯を注いでいた美羽さんがこちらを見ていた。
「えっ、な、なんですか?」
「いやぁ~、なんかニヤけてましたよ?いいことでもあったのかと思って。」
「そ、そんなこと……」
「ふぅん?」
美羽さんは湯呑みを揺らしながら、にやりと笑う。
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