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Ⅲ
⑦
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「そうか……では、その者達の為に、“王子”は続けなければならないな。」
「ジャラール様……」
「これからも、頼むぞ。ハーキム。」
「は、はい!」
王子として資質が、俺にあるかは分からない。
けれど、“王子”として望んでくれる人がいるのであれば、それに応えたいと、思ったんだ。
そして、自分の部屋に戻る為の、長い廊下に出た。
「ん?」
遠くにたくさんの、人達を見つけた。
「ハーキム。あれは何だ?」
「ああ!」
ハーキムは、ワクワクしている。
「とうとう始まったんですね、ハーレムが。」
「ハーレム?」
俺は首を傾げた。
そんな事、聞いた覚えがない。
「アラブの男は、好みの女を何人でも、周りに囲えるのです。」
「囲える?周りに座らせて、それが楽しいのか?」
益々、分からなくなる。
「あー!そうじゃなくて!」
するとハーキムは、俺の耳元で、何やら囁き始めた。
「ですから……要するに……」
「えっ?」
何を言っているか分からずに、ハーキムに耳を近づける。
「ですから!好みの女を、夜の寝室に招いて!一晩中イチャイチャできるのです!」
「ええー!!!」
俺は廊下の途中にある、柱の影に隠れた。
「もしかして……あれは……」
「そうです!今夜のジャラール様の、夜の相手を望む女達ですよ!」
「げっ!」
よく見ると、薄い衣を纏った女達が、濃い化粧をしながら、俺が通るのを待ち望んでいる。
ネシャートとは、全く違う人種だ。
「ハーキム……」
「はい!」
「別な道は、ないか?」
「ありません!」
「あそこは、通りたくない!」
通ったら、あの女達に何をされるか、分かったものではない。
「怖じ気づくのですか?それでも、アラブの男ですか!」
ハーキムは俺の腕を掴むと、ズルズルと廊下を進む。
「待て!待ってくれ!ハーキム!」
「通るだけです!」
いよいよ、女達の前に差し掛かった。
「きゃああああ!!」
女達の、黄色い声が耳に響く。
「ひぃいいい!」
白い腕が、俺の腕に絡み付く。
まるでゴーストに、誘い込まれているようだ。
「王子様!」
「私をお選び下さい!」
「いやあ!私よぉぉぉ!!」
女達の叫び声が聞きながら、廊下を曲がると、ハーキムは俺の腕を放した。
「如何ですか?」
「凄まじかった。」
「はははっ!皆、王子の子が欲しいと、思っていますからね。」
それを聞くと、俺は何もしていないのに、顔がやつれてきた気がした。
「ハーキム。」
「何でしょう。」
「王子、辞めたい……」
「ダメです!何を言ってるんですか!?これしきの事で!!」
体つきのいい女達を見て、鼻の下を伸ばしている、ハーキムとは違う!
そんな事を思いながら、一人自分の部屋にこもり、やっぱりネシャートに会いたくなる、俺だった。
「ジャラール様……」
「これからも、頼むぞ。ハーキム。」
「は、はい!」
王子として資質が、俺にあるかは分からない。
けれど、“王子”として望んでくれる人がいるのであれば、それに応えたいと、思ったんだ。
そして、自分の部屋に戻る為の、長い廊下に出た。
「ん?」
遠くにたくさんの、人達を見つけた。
「ハーキム。あれは何だ?」
「ああ!」
ハーキムは、ワクワクしている。
「とうとう始まったんですね、ハーレムが。」
「ハーレム?」
俺は首を傾げた。
そんな事、聞いた覚えがない。
「アラブの男は、好みの女を何人でも、周りに囲えるのです。」
「囲える?周りに座らせて、それが楽しいのか?」
益々、分からなくなる。
「あー!そうじゃなくて!」
するとハーキムは、俺の耳元で、何やら囁き始めた。
「ですから……要するに……」
「えっ?」
何を言っているか分からずに、ハーキムに耳を近づける。
「ですから!好みの女を、夜の寝室に招いて!一晩中イチャイチャできるのです!」
「ええー!!!」
俺は廊下の途中にある、柱の影に隠れた。
「もしかして……あれは……」
「そうです!今夜のジャラール様の、夜の相手を望む女達ですよ!」
「げっ!」
よく見ると、薄い衣を纏った女達が、濃い化粧をしながら、俺が通るのを待ち望んでいる。
ネシャートとは、全く違う人種だ。
「ハーキム……」
「はい!」
「別な道は、ないか?」
「ありません!」
「あそこは、通りたくない!」
通ったら、あの女達に何をされるか、分かったものではない。
「怖じ気づくのですか?それでも、アラブの男ですか!」
ハーキムは俺の腕を掴むと、ズルズルと廊下を進む。
「待て!待ってくれ!ハーキム!」
「通るだけです!」
いよいよ、女達の前に差し掛かった。
「きゃああああ!!」
女達の、黄色い声が耳に響く。
「ひぃいいい!」
白い腕が、俺の腕に絡み付く。
まるでゴーストに、誘い込まれているようだ。
「王子様!」
「私をお選び下さい!」
「いやあ!私よぉぉぉ!!」
女達の叫び声が聞きながら、廊下を曲がると、ハーキムは俺の腕を放した。
「如何ですか?」
「凄まじかった。」
「はははっ!皆、王子の子が欲しいと、思っていますからね。」
それを聞くと、俺は何もしていないのに、顔がやつれてきた気がした。
「ハーキム。」
「何でしょう。」
「王子、辞めたい……」
「ダメです!何を言ってるんですか!?これしきの事で!!」
体つきのいい女達を見て、鼻の下を伸ばしている、ハーキムとは違う!
そんな事を思いながら、一人自分の部屋にこもり、やっぱりネシャートに会いたくなる、俺だった。
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