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Ⅲ
⑥
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「おおー!なんとお優しい方だ。」
舞踊団から、感嘆の声があがった。
「有り難うございます。王子様。」
テラーテの横にいた、金色の髪をした、女の踊り子からお礼を言われた。
「いや……大した事ではない。」
改めて礼を言われると、それだけでも、嬉しいものだ。
その後、舞踊団は去り、俺はまた部屋に戻ろうとした。
「ジャラール。」
「はい?」
国王に、呼び止められた。
「……訓練はどうだ?厳しくはないか?」
王は、いつも父上として、優しく気遣って下さる。
子供の頃は嬉しかったが、今はその度に、胸が痛くなる。
「はい、そのくらいの方が、実戦で役に立ちます。」
俺は国王の前では、嘘ばかり。
本当は、ここ一週間ばかり、訓練を休んでいた。
「そうか。あの者は私と一緒に、いくつもの戦場を乗り越えてきた男だ。少しばかり、気性が荒い。そなたのような優しい男には、多少付いて行けぬ時もあるだろう。」
「いえ……先生の教えは、大変勉強になります。」
もしかしたら、俺が訓練を休んでいる事、国王の耳にも入っているのではないか。
そんな気がした。
「怪我がないように、励みなさい。」
「はい。」
頭を下げ、王の間を出ようとした。
「ああ、そうだ。」
「はい。」
まだ何か、話す事があるのかと思ったが、国王に呼ばれれば、嫌でも足を止めなければならない。
「今日の振る舞い、王子として最良であった。」
「……有り難うございます。」
また頭を下げて、今度こそ王の間を出た。
王としての振る舞い、王子としての振る舞い、同じように指揮官としての振る舞いが、あるのなら……
その時丁度、廊下で先生を見つけた。
先生は私を見つけると、立ち止まって頭を下げた。
「先生。」
「はい。」
顔を上げた先生は、久しぶりに会うと言うのに、全く表情を変えない。
俺との剣術の訓練が、有ろうが無かろうが、先生には関係ないと言う事だ。
「訓練、また明日から、お願い致します。」
俺は、頭を下げた。
「承知致しました。」
先生も、頭を下げて行ってしまった。
後ろにいるハーキムが、静かに言った。
「……よろしいのですか?」
「ああ。いづれにしても、訓練は必要だ。」
「はい。」
歩き続けると、廊下ですれ違う者、俺を見ると立ち止まって、頭を下げる。
この中の、どれくらいの者達が、俺が本当は王の子ではないと、知っているのだろう。
「ハーキム。」
「はい。」
「私は、王子としての地位を、捨てる事はできるか?」
「……国王に真実を告げ、意義を唱えれば、もしかしたら一般の者になれるかもしれません。」
ハーキムは、声を震わせながら、答えた。
「だがそうなりますと、国王、王妃、ネシャート王女、侍従、女中達とて、悲しみに暮れましょう。もちろん私もです。皆、ジャラール様を王子の位とは関係無しに、お慕いしておりますから。」
舞踊団から、感嘆の声があがった。
「有り難うございます。王子様。」
テラーテの横にいた、金色の髪をした、女の踊り子からお礼を言われた。
「いや……大した事ではない。」
改めて礼を言われると、それだけでも、嬉しいものだ。
その後、舞踊団は去り、俺はまた部屋に戻ろうとした。
「ジャラール。」
「はい?」
国王に、呼び止められた。
「……訓練はどうだ?厳しくはないか?」
王は、いつも父上として、優しく気遣って下さる。
子供の頃は嬉しかったが、今はその度に、胸が痛くなる。
「はい、そのくらいの方が、実戦で役に立ちます。」
俺は国王の前では、嘘ばかり。
本当は、ここ一週間ばかり、訓練を休んでいた。
「そうか。あの者は私と一緒に、いくつもの戦場を乗り越えてきた男だ。少しばかり、気性が荒い。そなたのような優しい男には、多少付いて行けぬ時もあるだろう。」
「いえ……先生の教えは、大変勉強になります。」
もしかしたら、俺が訓練を休んでいる事、国王の耳にも入っているのではないか。
そんな気がした。
「怪我がないように、励みなさい。」
「はい。」
頭を下げ、王の間を出ようとした。
「ああ、そうだ。」
「はい。」
まだ何か、話す事があるのかと思ったが、国王に呼ばれれば、嫌でも足を止めなければならない。
「今日の振る舞い、王子として最良であった。」
「……有り難うございます。」
また頭を下げて、今度こそ王の間を出た。
王としての振る舞い、王子としての振る舞い、同じように指揮官としての振る舞いが、あるのなら……
その時丁度、廊下で先生を見つけた。
先生は私を見つけると、立ち止まって頭を下げた。
「先生。」
「はい。」
顔を上げた先生は、久しぶりに会うと言うのに、全く表情を変えない。
俺との剣術の訓練が、有ろうが無かろうが、先生には関係ないと言う事だ。
「訓練、また明日から、お願い致します。」
俺は、頭を下げた。
「承知致しました。」
先生も、頭を下げて行ってしまった。
後ろにいるハーキムが、静かに言った。
「……よろしいのですか?」
「ああ。いづれにしても、訓練は必要だ。」
「はい。」
歩き続けると、廊下ですれ違う者、俺を見ると立ち止まって、頭を下げる。
この中の、どれくらいの者達が、俺が本当は王の子ではないと、知っているのだろう。
「ハーキム。」
「はい。」
「私は、王子としての地位を、捨てる事はできるか?」
「……国王に真実を告げ、意義を唱えれば、もしかしたら一般の者になれるかもしれません。」
ハーキムは、声を震わせながら、答えた。
「だがそうなりますと、国王、王妃、ネシャート王女、侍従、女中達とて、悲しみに暮れましょう。もちろん私もです。皆、ジャラール様を王子の位とは関係無しに、お慕いしておりますから。」
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