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Ⅳ
⑫
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「どうだった?私の躍り。」
「とても素晴らしかったよ。と、言いたいところだけど。」
俺はさっき返された上着を、またアリアに羽織らせる。
「やっぱり、そんな衣装を着て、あんな大勢の男の前で、踊ってほしくない。」
「ははは!」
アリアは、大きな口を開けて笑った。
宮殿では、女性は大きな口を開けて、笑うものじゃないと、いろんな女の子が、怒られていたけれど。
アリアは、それすらもチャーミングに見えた。
「ジャラール、妬いているのね。観客に。」
「そうかもしれない。」
「可愛い!」
アリアは、俺の頬にキスをくれた。
ちょっと、複雑な気持ちになる。
「この後、夕食をみんなで食べるんだけど、ジャラールも来ない?」
「いいの?行って。俺、邪魔にならない?」
「邪魔になるんだったら、最初から誘わないでしょ。」
アリアは、俺が行くって言っていないのに、手を引いてテントへと向かう。
「この前、ジャラールが私に会いに来たでしょう?それからね。みんな、ジャラールに会いたいって、言ってたのよ。」
そんなに皆が言うんだったら、行ってもいいかなって、ふと思った。
「さあ、着いたわよ。」
テント村の中央には、広場があって、そこに薪を燃やす場所があった。
その時俺はなぜか、ハーキムと時々行く、野宿生活を思い浮かべた。
「まだ火が炊かれていないのね。皆は厨房かしら。」
アリアはキョロキョロと、辺りを見回す。
「おい、アリア。」
背の低い男が、近くにやってきた。
「火を着けるから、少し離れていろ。って、誰だ?その男。」
アリアは、軽く咳をした。
「みんなが会いたがっていた、ジャラールよ。」
「おお!おまえがか!」
おまえって、君も挨拶に来たのに、俺の事覚えてないんだな。
背の低い男は、薪を燃えた跡に置いた。
「アリアの男にしては、いい男だな。服もいいモノを着ているし、金持ちか?」
俺は目をパチクリさせる。
この舞踏団の人達は、同じ事を聞いてくるのか?
「……まあ、そこそこ。」
「そうかそうか。」
背の低い男は、嬉しそうに薪を組み始めた。
「ボルーボ。私は少し厨房に行ってくるわ。ジャラールをお願いね。」
「分かった、アリア。」
そしてアリアは俺を置いて、どこかへと走って行ってしまった。
ここで何もせずに、アリアを待つ訳にも行かない。
「手伝います。」
「えっ?できるのか?ジャラール坊っちゃん。」
なんだその、坊っちゃんって。
そう思いながら、近くに落ちている薪を拾った。
「少しだけなら、教わった事があるので。」
「へえ、そうかい。」
ボルーボさんが置いた薪の上に、拾った薪を組む。
そして辺りに落ちていた、葉っぱや小枝を、一番下の空洞の部分に入れた。
「火をお願いします。」
「ああ、そうだな。」
ボルーボさんが、小枝に火を着けると、上手い具合に火は燃え上がった。
「とても素晴らしかったよ。と、言いたいところだけど。」
俺はさっき返された上着を、またアリアに羽織らせる。
「やっぱり、そんな衣装を着て、あんな大勢の男の前で、踊ってほしくない。」
「ははは!」
アリアは、大きな口を開けて笑った。
宮殿では、女性は大きな口を開けて、笑うものじゃないと、いろんな女の子が、怒られていたけれど。
アリアは、それすらもチャーミングに見えた。
「ジャラール、妬いているのね。観客に。」
「そうかもしれない。」
「可愛い!」
アリアは、俺の頬にキスをくれた。
ちょっと、複雑な気持ちになる。
「この後、夕食をみんなで食べるんだけど、ジャラールも来ない?」
「いいの?行って。俺、邪魔にならない?」
「邪魔になるんだったら、最初から誘わないでしょ。」
アリアは、俺が行くって言っていないのに、手を引いてテントへと向かう。
「この前、ジャラールが私に会いに来たでしょう?それからね。みんな、ジャラールに会いたいって、言ってたのよ。」
そんなに皆が言うんだったら、行ってもいいかなって、ふと思った。
「さあ、着いたわよ。」
テント村の中央には、広場があって、そこに薪を燃やす場所があった。
その時俺はなぜか、ハーキムと時々行く、野宿生活を思い浮かべた。
「まだ火が炊かれていないのね。皆は厨房かしら。」
アリアはキョロキョロと、辺りを見回す。
「おい、アリア。」
背の低い男が、近くにやってきた。
「火を着けるから、少し離れていろ。って、誰だ?その男。」
アリアは、軽く咳をした。
「みんなが会いたがっていた、ジャラールよ。」
「おお!おまえがか!」
おまえって、君も挨拶に来たのに、俺の事覚えてないんだな。
背の低い男は、薪を燃えた跡に置いた。
「アリアの男にしては、いい男だな。服もいいモノを着ているし、金持ちか?」
俺は目をパチクリさせる。
この舞踏団の人達は、同じ事を聞いてくるのか?
「……まあ、そこそこ。」
「そうかそうか。」
背の低い男は、嬉しそうに薪を組み始めた。
「ボルーボ。私は少し厨房に行ってくるわ。ジャラールをお願いね。」
「分かった、アリア。」
そしてアリアは俺を置いて、どこかへと走って行ってしまった。
ここで何もせずに、アリアを待つ訳にも行かない。
「手伝います。」
「えっ?できるのか?ジャラール坊っちゃん。」
なんだその、坊っちゃんって。
そう思いながら、近くに落ちている薪を拾った。
「少しだけなら、教わった事があるので。」
「へえ、そうかい。」
ボルーボさんが置いた薪の上に、拾った薪を組む。
そして辺りに落ちていた、葉っぱや小枝を、一番下の空洞の部分に入れた。
「火をお願いします。」
「ああ、そうだな。」
ボルーボさんが、小枝に火を着けると、上手い具合に火は燃え上がった。
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