欲望のシーツに沈む夜~50のベッドの記憶~

日下奈緒

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1、雨宿りの夜、シャツの奥に咲いた熱

シャツの奥、熱に溺れて

静かなホテルの一室。

カーテン越しの灯りが淡く揺れていて、ベッドの上に落ちる影が、まるで心の奥を映しているようだった。

「先にシャワー、どうぞ。」

高瀬さんはそう言って、私にバスタオルを手渡してくれた。

気遣う声も手の温度も、どこまでも優しかった。

シャワーを浴び終えると、彼は私の濡れたシャツまでドライヤーで乾かしてくれていた。

「これで風邪ひかなくてよかったですね」

そう言って笑う高瀬さんに、私はそっと頷いた。けれど――。

「でも……なんだか、熱っぽいです。」

シャツを受け取りながらそう呟いた私に、高瀬さんが顔を近づける。

「紗良さん……?」

見つめ合う視線の中に、何かが灯るのを感じた。

私はもう、躊躇えなかった。ゆっくりと、彼の唇に自分の唇を重ねた。

静かで、でも確かに熱を孕んだキス。

唇が離れたあと、高瀬さんが言った。

「……熱っぽいね。やっぱり。」

「高瀬さんのせいです。」

私がそう答えると、彼の目が驚きと嬉しさに揺れた。

「俺……?」

「もうこの病、高瀬さんしか治せそうにありません。」

囁くように言うと、彼は微笑んで、私をそっと抱き寄せた――。

彼の腕に抱かれると、体の奥がじわりと熱を帯びた。

ゆっくりと唇を重ね、舌先が触れ合った瞬間、背筋を電流が走るように震えが駆け抜ける。

「触れても、いいですか……?」

低く響く声に頷くと、彼の指が私の髪を撫で、頬をそっとなぞった。

濡れたシャツのボタンをひとつひとつ外されるたびに、肌が空気に触れて、胸の奥がきゅうと疼いた。

「……きれいだ。」

囁くような声と共に、唇が鎖骨をなぞり、指先が胸元をゆっくり撫でてくる。

快感と羞恥が入り混じって、私は思わずシーツを握りしめた。

彼の動きは優しく、でも確かに求めていて――

身体を重ねた瞬間、私はすべてを委ねるように、彼の名をかすかに呼んだ。

「高瀬さん……」

彼の腰が静かに沈み込んでくると、思わず甘い声が漏れた。

ぬるりと内側を押し広げる熱に、全身が震える。

唇を重ねながら、彼は何度も深く、ゆっくりと動いた。

繋がった場所がじんじんと熱く、奥まで満たされるたび、快感が波のように押し寄せてくる。

「可愛すぎて……我慢できない。」

囁かれ、私は彼にしがみついた。もう、離れられない――。

シーツに包まれながら、私は高瀬さんの胸にそっと顔を寄せた。

肌と肌の間に残る熱が、まだじんわりと続いていて、心地よい倦怠感が身体を包んでいた。

「……眠たそうですね。」

彼の指が、私の髪をゆっくり撫でる。

まるで壊れ物を扱うような優しい動きに、胸がまたきゅっとなった。

「うん……でも、もう少しこうしてたいです。」

そう言うと、彼は笑って私を抱き寄せた。

「じゃあ、朝までずっと一緒にいましょう。」

低く響くその声に、私の胸は静かに震える。

“恋人”でも“付き合ってる”でもないのに、彼の腕の中はとても安心できた。

こんな風に、人に触れられることが、こんなにも心を満たすなんて――。

雨の夜の偶然が、こんな優しい時間をくれるなんて思わなかった。

私はそっと目を閉じて、彼のぬくもりの中に、深く身を委ねた。

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