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5、終電を逃した夜、ベッドの隅で
終電を逃した夜
今日は久しぶりに、幼馴染み同士で集まっての飲み会だった。
駅前の居酒屋の一角には、懐かしい顔ぶれが揃い、その中に——高峰 蓮の姿もあった。
子供の頃、密かに想いを寄せていた彼。
少しだけ大人びたその横顔は、あの頃よりずっとかっこよくなっていて、私は思わず見とれてしまう。
「おまえ、いつものカシオレでいい?」
「……うん。」
笑いながら聞いてくるその声も、変わっていなかった。
——この関係、ずっとこうなんだろうな。
たまに会って、笑って、昔話をして。
でも、“幼馴染”のまま。そこからは一歩も進めない。
「ん?どうした?」
「ううん。……ねえ、蓮ってさ、今彼女いるの?」
ふと気になって、勢いで聞いてしまった。
「いないよ。」
あっさりとした答えに、思わず驚く。
「……うそっ! だって、蓮って……」
——かっこいいのに。
その言葉は、ギリギリで飲み込んだ。
飲み会がお開きになった頃、ふと時計を見て私は顔をしかめた。
——しまった。終電、逃してる。
「タクシー……?」
スマホで検索しながら、財布の中身を確認する。
──ない。こんな時に限って。
「どうした? 美桜。」
気づけば、蓮が隣に立っていた。
「あ、ううん。……いや、ちょっと。終電、逃しちゃって。」
気まずそうに笑った私に、蓮は眉を寄せた。
「タクシー拾う?」
「……持ち合わせなくて。」
言った瞬間、また“ドジだな”って笑われるかと思った。
でも——
「仕方ないさ。」
あっさり返ってきたその言葉に、胸がきゅっとなった。
「俺の家、近いから。寄っていく?」
優しい声。あの頃と同じ、いや、それ以上に優しかった。
一瞬迷ったけれど、他に選択肢もない。
「……うん」
気づけば私は、小さく頷いていた。
蓮の家は、駅から本当にすぐだった。
「入って入って。」
気さくな声に促されて玄関をくぐると、シンプルで片付いた部屋が広がっていた。
無駄な装飾はなく、隅に置かれた大きなベッドだけが、妙に目に入る。
「これ、Tシャツ。着替えに。」
差し出されたのは、彼が普段着ているであろうゆるめの白いTシャツ。
——蓮の匂いがした。柔軟剤と、少しだけ大人の香水のような。
「適当に寝てていいよ。」
そう言ってベッドの方を指差す蓮。私は慌てて首を横に振った。
「えっ、蓮は? ソファで寝るの?」
「うん。まあ、そうなるよね」
笑ってはいたけれど、私はなんとなく心苦しくなる。
「……でもさ。」
蓮がふいにベッドへ近づいてきた。
「女の子をソファで寝せるなんて、俺にはできないよ。」
そう言って、優しい手つきで私をベッドに導いて、そっと横たえた。
——鼓動が、速くなる。
さっきまで飲み会で笑っていた幼馴染が、今、こんなに近くにいる。
駅前の居酒屋の一角には、懐かしい顔ぶれが揃い、その中に——高峰 蓮の姿もあった。
子供の頃、密かに想いを寄せていた彼。
少しだけ大人びたその横顔は、あの頃よりずっとかっこよくなっていて、私は思わず見とれてしまう。
「おまえ、いつものカシオレでいい?」
「……うん。」
笑いながら聞いてくるその声も、変わっていなかった。
——この関係、ずっとこうなんだろうな。
たまに会って、笑って、昔話をして。
でも、“幼馴染”のまま。そこからは一歩も進めない。
「ん?どうした?」
「ううん。……ねえ、蓮ってさ、今彼女いるの?」
ふと気になって、勢いで聞いてしまった。
「いないよ。」
あっさりとした答えに、思わず驚く。
「……うそっ! だって、蓮って……」
——かっこいいのに。
その言葉は、ギリギリで飲み込んだ。
飲み会がお開きになった頃、ふと時計を見て私は顔をしかめた。
——しまった。終電、逃してる。
「タクシー……?」
スマホで検索しながら、財布の中身を確認する。
──ない。こんな時に限って。
「どうした? 美桜。」
気づけば、蓮が隣に立っていた。
「あ、ううん。……いや、ちょっと。終電、逃しちゃって。」
気まずそうに笑った私に、蓮は眉を寄せた。
「タクシー拾う?」
「……持ち合わせなくて。」
言った瞬間、また“ドジだな”って笑われるかと思った。
でも——
「仕方ないさ。」
あっさり返ってきたその言葉に、胸がきゅっとなった。
「俺の家、近いから。寄っていく?」
優しい声。あの頃と同じ、いや、それ以上に優しかった。
一瞬迷ったけれど、他に選択肢もない。
「……うん」
気づけば私は、小さく頷いていた。
蓮の家は、駅から本当にすぐだった。
「入って入って。」
気さくな声に促されて玄関をくぐると、シンプルで片付いた部屋が広がっていた。
無駄な装飾はなく、隅に置かれた大きなベッドだけが、妙に目に入る。
「これ、Tシャツ。着替えに。」
差し出されたのは、彼が普段着ているであろうゆるめの白いTシャツ。
——蓮の匂いがした。柔軟剤と、少しだけ大人の香水のような。
「適当に寝てていいよ。」
そう言ってベッドの方を指差す蓮。私は慌てて首を横に振った。
「えっ、蓮は? ソファで寝るの?」
「うん。まあ、そうなるよね」
笑ってはいたけれど、私はなんとなく心苦しくなる。
「……でもさ。」
蓮がふいにベッドへ近づいてきた。
「女の子をソファで寝せるなんて、俺にはできないよ。」
そう言って、優しい手つきで私をベッドに導いて、そっと横たえた。
——鼓動が、速くなる。
さっきまで飲み会で笑っていた幼馴染が、今、こんなに近くにいる。
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