幼馴染みが皇帝になった件

日下奈緒

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第2章 今まで通り

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私の仕事は、庭師だ。

しかもヴィックが住んでいる、この広大な宮殿の庭の。


「あー、アンヌ。もう少し上だ。」

「はい、おじいちゃん。」

手を押し上げて、上の枝をカットする。

「あと、もう少し上だな。」

「はい。」

これ以上上だと、立ち上がらなきゃいけないかも。

そして私が、立ち上がろうとした時だ。

「アンヌ。無理をするな。」

おじいちゃんが、それを止めた。

その一言で、私はまた脚立に腰を降ろした。

悔しい。


背が低いから、おじいちゃんが届く場所に、私は届かない。

「アンヌ。降りておいで。」

「はい。」

私は脚立を降りた。

「今日もあの時間だ。」


あの時間とは、宮殿に咲いているバラを、ヴィックに届ける事。

私も幼い頃から、時々ヴィックに届けに行っていた。


一緒に遊んだ、あの幼い頃も。

少し大人になって、ヴィックを意識していた頃も。

前皇帝が亡くなって、皇太子になった時も。

そして皇帝になった今も、変らずにヴィックにバラを届けている。


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