15歳差の御曹司に甘やかされています〜助けたはずがなぜか溺愛対象に〜 【完結】

日下奈緒

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第8章 二人きりの時間が、なによりも幸せで

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そして、私の胸の谷間に顔を埋める。

愛おしい。この人がどうしようもないくらいに、愛おしく感じる。

「もう、もっ……ダメ……」

「ひより……」

やがて玲央さんは、私を快楽の頂へと連れて行く。

「こんなのっ!……初めてっ……」

そして玲央さんの一突きが、私の体を突き抜けた。

「ああああっ……」

その瞬間、玲央さんも私の中に激しく熱情を注ぎ込んだ。

一緒に……私が頂きにいる時に、玲央さんも一緒に頂きに。

私達はそっと、ベッドに横になった。

「玲央さん。」

名前を呼ぶと、私の額にキスを落とした玲央さん。

「今夜は、忘れられない日になったよ。」

お互いの汗ばんだ肌が、火照りを癒す。

「私……玲央さんと一緒に……」

そう言うと玲央さんは、私を抱き寄せた。

「最高に、綺麗だった。」

そんな言葉を玲央さんから貰ったら、私は世界一幸せな女になった。

旅行から帰ったばかりの、少し疲れた身体。でも、心はまだ旅の余韻に包まれていた。

「もう一泊だけ、俺の家に泊まって。」

玲央さんのその言葉に、私はうんと頷いていた。

マンションに着くと、彼はソファに体を沈めて一息ついた。

私はスーツケースを片付け、ふとキッチンに目をやる。

「今夜の夕食、どうしますか?」

そう尋ねると、玲央さんは「うん」と曖昧に答えただけ。

運転疲れが見えていた。

だから私は、そっと言葉を添えた。

「……私、夕食作ってもいいですか?」

すると玲央さんは、ゆっくりと私の方を見て、ふわりと微笑んだ。

「何作ってくれるの?」

キッチンのカウンターにもたれかかる玲央さんは、どこかウキウキした様子だった。

「玲央さんの食べたいモノ、作ります。」

私も自然と笑顔になる。旅の疲れも、どこかへ消えてしまいそう。

「俺、シンプルに……家庭料理とか食べたいな。」

その一言に、胸がふわっと温かくなる。家庭料理。それってきっと、甘えてくれてるってことだよね。

「じゃあ……ハンバーグ、作りますか?」

私が言うと、玲央さんは少し驚いたように目を丸くして、すぐに笑った。

「ハンバーグなんて、いつぶりだろ。……なんかいいね、そういうの。」

子どもみたいに素直な笑顔で、玲央さんがソファから立ち上がる。

「スーパーに買い出しに行く?」

玲央さんのその提案に、私はうんと頷いた。

ふたりで手をつないで歩く帰り道じゃなくて、今は買い出し。

それでも、こんな“普通”がとても嬉しかった。

近くのスーパーに入ると、ちょうどお肉コーナーに「本日特売」の赤いポップが並んでいた。

「ええっと、牛豚ひき肉ですね。」

私は自分の中のレシピを思い浮かべながら、大きめのパックを手に取った。

一人暮らしだとこんなサイズ、なかなか買えない。

でも今は、玲央さんと“ふたり分”。

「あと、玉子と玉ねぎと、パン粉と……」

その言葉に、玲央さんがちょっと驚いた顔をする。

「そんなに入ってるの?ハンバーグって、けっこう手間かかるんだな。」

「手間をかけるのが、美味しさの秘密なんですよ。」

そう言いながら、私は最後にあらびきの黒コショウを手に取った。

「あと、隠し味にこれ。」

瓶を掲げると、玲央さんが目を細めて笑う。

「黒コショウ、隠し味っていうか、けっこう前に出てこない?」

「香りづけなんです。これがあるのとないのとでは、全然違うんですから。」

私が真剣に答えると、玲央さんは素直に頷いた。

「ひよりってさ、料理になるとプロみたいだよね。」

「プロじゃないですけど……玲央さんのために作るなら、頑張れちゃいます。」

「……それ、反則。」

玲央さんが、ちょっと照れくさそうに頭をかいた。

まるで夫婦みたいな、そんなやりとりに胸がくすぐったくなった。
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