ハーレムに咲く華達

日下奈緒

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第1章 アマリア

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私にその話がきたのは、まだ彼が皇太子の時でした。

「ハブリエルに、女を教えてやって欲しい。」

「えっ……私が?」

彼の父である皇帝のハーレムに来て、3年が過ぎた私。

皇帝の相手になったのは、数える程しかなかった。

それもそのはず。

齢50を迎える皇帝には、まだ二十歳の私など、若すぎたのかもしれない。

「お願いできるのは、おまえしかいないんだ。アマリア。」


これでも、一度皇帝のハーレムに入ったからには、一生を皇帝に捧げようと思っていた。

なのに、皇太子の相手になれだなんて。

「それは、皇太子のハーレムに入れと言う事ですか?」

一度きりの相手だと言われたのなら、納得したかもしれない。

「そう言う事になるな。」

私は、涙を堪えるので、精一杯だった。

「アマリア。おまえもまだ二十歳だ。17歳の皇太子の方が、似合うだろう。」

それはいつから、思っていた事なのだろう。

「私が断ったのなら?」

「皇帝である私の頼みだ。何が何でも受けてくれ。」


そうなのだ。

最初からこの人に、私への愛情などなかったのだろう。

「分かりました。」

そう言うしか、なかった。


結局私は、新しく作られた皇太子のハーレムの中に、最初に入った。

そして、その日は意外と早くやってきた。

皇太子・ハブリエル様との、最初の閨だ。

華々しく着飾り、私はハブリエル様の寝室に入った。

まだ17歳のハブリエル様は、どこか緊張していらした。

「皇太子殿下。アマリアでございます。」

「ああ。」

うつむく私のベールを取り払ったハブリエル様は、じーっと私を見ていた。

「ハブリエルだ。宜しく頼む。」

「こちらこそ。」

それはそうと、皇太子殿下は夜伽の事をどこまで知っているのだろう。

皇帝は、女を教えてやってと言っていたけれど、一度も女を抱いた事はないのだろうか。


「あの、皇太子殿下。」

「ハブリエルでいい。」

「あっ……ハブリエル様。」

まだ17歳だと言うのに、この威厳。

ハブリエル様は、皇帝になる為に生まれてきたのかもしれない。

「その……女性の身体に触れた事は、ありますか?」

「ない。」

あまりにもあっさりと、告白された。

「一度もですか?」

すると、ハブリエル様は私の手を取り、ベッドの中に誘った。

「ああ。」

こう言っては何だけど、ハブリエル様はやはり皇子様の中でも、綺麗な顔立ちをしている。

きっとお母上に似たのだろう。

そんな美男子が、17歳にもなって、一度も女性の身体に触れた事がないだなんて。

そして、不安が襲って来た。

「初めての相手が、私でいいのでしょうか。」

「いいんだ。」

ハブリエル様は、私を抱き寄せた。

「アマリアがいいんだ。」

そして、ハブリエル様は私に、キスをした。

唇を押し当てるだけの、不器用な口づけ。

密かに、ハブリエル様の体が震えていた。

「怖くはありません。」

私は、自分から閨着を脱いだ。

たわわな胸が、露わになる。

「夜伽は、男と女が愛し合う自然な行為です。」

「愛し合う?」

「そうです。そしてそれは、子孫繫栄にとって必要な物。これから、ハブリエル様の血筋が繋がって行く為の行為です。」

そして私は、ゆっくりとハブリエル様の服を脱がした。

均整の取れた身体。

剣術がお得意と言われる程はある。

「さあ、私の上に膝まづいて。」

ハブリエル様は私の言われるままに、私の上に覆いかぶさった。

「まずは、私の胸を揉んで下さい。優しく。」

「こうか?」

ハブリエル様の手つきは、甘くて私は自然に、吐息が出た。

「次は、乳首にしゃぶりついて下さい。」
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