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第6部 魔女の一族 ④
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まるで、ずっと前からそう在るべきだったように、自然にそこにある。
私たちは、見つめ合った。
「えっ……レオが王で……」
言葉が喉で詰まる。
「王妃は……エミリア?」
途端に、胸が熱くなって、私は視線を逸らした。
レオに背を向け、震える声でつぶやく。
「レオは、いずれ王になるから……分かるわ。でも、私が王妃なんて……」
――似合わない。
――恐れ多い。
――聖女と呼ばれても、本当はただの私なのに。
そんな不安や自信のなさが、言葉にならないまま胸を塞いだ。
すると、背中からそっとレオの腕が回される。
優しく、でも強く。
「君しかいないんだ。」
「え……?」
「エミリア。君の名前が指輪に刻まれていたのは、偶然じゃない。あの光が選んだんだ。……俺の王妃として、君を。」
耳元で囁かれたその声は、震える心をまっすぐ包み込んだ。
「でも私、王妃なんて……何もできない……」
「君は、もうしてくれてる。俺を救ってくれた。信じてくれた。愛してくれた。」
レオの声が、深く、真っ直ぐ胸に届く。
「――だから、君じゃなきゃダメなんだ。」
その言葉に、私は振り返ってしまう。
レオの目を、まっすぐ見てしまう。
そして彼は、私の左手を取り、そっと指輪を嵌めた。
「君が王妃で、俺が王で、この国を共に――生きていくんだ。」
私はもう、うなずくことしかできなかった。
レオは私をぎゅっと抱きしめた。
その腕はまるで、もう二度と放さないとでも言うように、強くて、温かくて。
「……あのさ。俺、もう我慢できないかも。」
囁く声はかすれていて、どこか切ない。
けれど、確かに熱を帯びていた。
お腹に感じた硬い感触に、私は目を見開いた。
「えっ……な、なにその元気……」
「……愛してる女と、運命だなんて言われたら、当たり前だろ。」
頬を染めた私に、レオは優しく微笑むと、そっと、けれど確かな手つきで私の服を脱がせた。
肌が空気に触れて、ひやりとする。
でもそれ以上に、彼の視線が熱い。
胸元にかかる彼の指先。
谷間に落ちる視線に、私は思わず顔を伏せた。
「恥ずかしい……」
「……綺麗だよ。」
レオも自分の衣を脱ぐ。
肩、胸板、腹筋。鍛えられた身体。
そのすべてが、私を守るためにあるように思えた。
「これはただの欲情じゃない。俺と君が結ばれる、愛の――儀式だ。」
そう囁くレオの目は真剣で、まるでこの瞬間に、世界の意味を込めているようだった。
私は、うなずいた。
「……はい。」
その一言で、すべてが始まった。
レオの唇が、そっと私の額に触れる。
それから頬、首筋、鎖骨へ。
ひとつひとつ、丁寧に刻むように、私という存在を確かめるように。
「エミリア……大好きだ。」
私たちは、見つめ合った。
「えっ……レオが王で……」
言葉が喉で詰まる。
「王妃は……エミリア?」
途端に、胸が熱くなって、私は視線を逸らした。
レオに背を向け、震える声でつぶやく。
「レオは、いずれ王になるから……分かるわ。でも、私が王妃なんて……」
――似合わない。
――恐れ多い。
――聖女と呼ばれても、本当はただの私なのに。
そんな不安や自信のなさが、言葉にならないまま胸を塞いだ。
すると、背中からそっとレオの腕が回される。
優しく、でも強く。
「君しかいないんだ。」
「え……?」
「エミリア。君の名前が指輪に刻まれていたのは、偶然じゃない。あの光が選んだんだ。……俺の王妃として、君を。」
耳元で囁かれたその声は、震える心をまっすぐ包み込んだ。
「でも私、王妃なんて……何もできない……」
「君は、もうしてくれてる。俺を救ってくれた。信じてくれた。愛してくれた。」
レオの声が、深く、真っ直ぐ胸に届く。
「――だから、君じゃなきゃダメなんだ。」
その言葉に、私は振り返ってしまう。
レオの目を、まっすぐ見てしまう。
そして彼は、私の左手を取り、そっと指輪を嵌めた。
「君が王妃で、俺が王で、この国を共に――生きていくんだ。」
私はもう、うなずくことしかできなかった。
レオは私をぎゅっと抱きしめた。
その腕はまるで、もう二度と放さないとでも言うように、強くて、温かくて。
「……あのさ。俺、もう我慢できないかも。」
囁く声はかすれていて、どこか切ない。
けれど、確かに熱を帯びていた。
お腹に感じた硬い感触に、私は目を見開いた。
「えっ……な、なにその元気……」
「……愛してる女と、運命だなんて言われたら、当たり前だろ。」
頬を染めた私に、レオは優しく微笑むと、そっと、けれど確かな手つきで私の服を脱がせた。
肌が空気に触れて、ひやりとする。
でもそれ以上に、彼の視線が熱い。
胸元にかかる彼の指先。
谷間に落ちる視線に、私は思わず顔を伏せた。
「恥ずかしい……」
「……綺麗だよ。」
レオも自分の衣を脱ぐ。
肩、胸板、腹筋。鍛えられた身体。
そのすべてが、私を守るためにあるように思えた。
「これはただの欲情じゃない。俺と君が結ばれる、愛の――儀式だ。」
そう囁くレオの目は真剣で、まるでこの瞬間に、世界の意味を込めているようだった。
私は、うなずいた。
「……はい。」
その一言で、すべてが始まった。
レオの唇が、そっと私の額に触れる。
それから頬、首筋、鎖骨へ。
ひとつひとつ、丁寧に刻むように、私という存在を確かめるように。
「エミリア……大好きだ。」
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