第3皇子は妃よりも騎士団長の妹の私を溺愛している 【完結】

日下奈緒

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第5部 夜の呼び出し ②

廊下を抜け、重たい扉の前で一度深呼吸をした。

そしてノックも忘れて、静かに中へ足を踏み入れた。

そこには、蝋燭の灯りに照らされたアシュレイ殿下がいた。

振り向いた彼が、ふっと微笑む。

「リリアーナ。」

その声音に、胸が震える。

その笑顔は、ヴィレンの秘宝――

いいえ、私の世界でいちばん、美しい宝石。

私は宝石を手に入れたの? それとも、夢?

言葉が出ないまま、私はそっとベッドの端に座った。

「これはまた、綺麗な格好で来たね。」

アシュレイが隣に座り、私のほどいた髪に指を通す。

丁寧に、撫でるように、何度も。

「ほどいた髪も……柔らかくて、好きだ。」

たったそれだけで、胸の奥が熱くなる。

私はうつむいて、小さく呟いた。

「私……綺麗に見えますか?」

アシュレイは何も言わずに、そっと私の頬に手を添えた。

「綺麗? ううん、美しいよ。」

その一言に、胸がきゅっと鳴った。

好きな人に、美しいと――

それは、人生でいちばん欲しかった言葉だったのかもしれない。

次の瞬間、彼の唇が私の唇を塞ぐ。

優しく、けれど強く、想いを伝えるように。

そのまま、纏っていた布が静かに剥がされていく。

アシュレイの指が、私の足元に触れた。

「ん……」

まるでピアノを弾くように。

優しく、時にリズミカルに。

くすぐったいのに、心地よくて。

くすぶっていた想いの奥底に、火がともる。

「この前はテントの中だったから、時間をかけられなかったけれど……」

アシュレイの声が、低く、熱を帯びている。

でもその手は、驚くほど丁寧で、優しくて。

まるで私を、大切な宝物のように扱ってくれる。

その指先が、私の秘めた部分に触れたとき、私は小さく震えた。

「あ……」

呼吸が浅くなる。

でも、怖くない。

この人に身も心も預けられる。

そう思えるのは、きっと、愛しているから。

アシュレイの唇が、肩に、鎖骨に、胸元に――

一つ一つ、確かめるように落ちていく。

私という存在を、その手と口でなぞるように。

「リリアーナ……綺麗だよ、本当に……」

その声が、肌に直接触れているみたいで、

私は恥ずかしくて、でも嬉しくて、

ただ、彼にすべてを委ねた。

「今夜は……ここまでにしよう。」

そう囁いた彼の声は、どこか切なげで、優しさに満ちていた。

けれど、私は小さく首を振る。

「ううん。私だけ悦ぶなんて、嫌。」

ぎゅっと、彼を抱きしめた。

この人にも、私の想いを全部、伝えたい。

与えられるばかりじゃなく、私も彼に与えたい。

「あなたにも……満足してもらいたい。」

そう言って顔を上げると、アシュレイの頬が赤く染まっていた。

いつも冷静で堂々としているあの彼が、今、こんな表情をするなんて。

「俺……嬉しいよ。」

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