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第6部 公爵家の没落、援助の申し出
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セドリックも口を開けたまま、何も言えずにいた。やがて彼は深く息を吐くと、静かに答えた。
「……少し、考えさせてください。」
それを聞いて、お父様はしばらく黙っていたが、やがて静かに立ち上がった。
「そうか。すまんな。急かすつもりはなかった。時間を置こう。」
そう言うと、彼は重々しく鍵を開け、扉を開いた。
その背中に、かつての威厳はなかった。
そして私は、自分がかつてその名に誇りを持っていた家の変わりように、胸が苦しくなるのを感じていた。
屋敷に戻った私は、ドレスの裾を乱しながらセドリックのもとへ駆け寄った。
「ごめんなさい、セドリック。私……迷惑をかけて。」
思わず頭を下げると、セドリックはすぐに私の肩に手を添え、そっと顔を覗き込んだ。
「謝ることじゃない。君のせいじゃないよ。」
でも私は首を横に振った。
「でも……あのバカな妹を、あんなふうに甘やかしたのは両親なの。なのに、今になっても、ルシアのためにあなたに頭を下げるなんて……っ」
声が震える。悔しさと情けなさと、そして何もできなかった自分への怒りで、胸が締めつけられる。
「私は、悔しくて仕方がないの。」
セドリックは黙って私を抱き寄せた。
その腕の中で、私はようやく張り詰めていた感情を吐き出すように、そっと涙をこぼした。
「あの……妹の為に……エルバリー公爵家が壊れていく……」
絞り出すような声でそう言った私は、ついに堪えきれずに涙を零した。
名門の家柄として、誇りを持てと育てられた私。
その教えを信じて、私は自分を捧げるように政略結婚を受け入れたのに――今、その家が妹の愚行で、音を立てて崩れていく。
「私が……何のために……」
嗚咽混じりに漏れた言葉。
誇りを守るためだった。
家の名に泥を塗らぬようにと、懸命に努めてきたのに。
「泣くな、クラリス。」
セドリックの低く穏やかな声が、私の耳に届いた。
彼はそっと私の頬に触れ、溢れる涙を優しく拭ってくれた。
「君は家のために十分すぎるほど尽くした。もう、誰にも何も証明しなくていい。」
その言葉に、張り詰めていた心が少しずつほぐれていく。
私の努力を、誰かが見ていてくれた。
そう思えた瞬間だった。
「お願い、セドリック。せめて……両親が食べて行けるくらいのお金だけでも、渡してあげてほしいの。」
「……少し、考えさせてください。」
それを聞いて、お父様はしばらく黙っていたが、やがて静かに立ち上がった。
「そうか。すまんな。急かすつもりはなかった。時間を置こう。」
そう言うと、彼は重々しく鍵を開け、扉を開いた。
その背中に、かつての威厳はなかった。
そして私は、自分がかつてその名に誇りを持っていた家の変わりように、胸が苦しくなるのを感じていた。
屋敷に戻った私は、ドレスの裾を乱しながらセドリックのもとへ駆け寄った。
「ごめんなさい、セドリック。私……迷惑をかけて。」
思わず頭を下げると、セドリックはすぐに私の肩に手を添え、そっと顔を覗き込んだ。
「謝ることじゃない。君のせいじゃないよ。」
でも私は首を横に振った。
「でも……あのバカな妹を、あんなふうに甘やかしたのは両親なの。なのに、今になっても、ルシアのためにあなたに頭を下げるなんて……っ」
声が震える。悔しさと情けなさと、そして何もできなかった自分への怒りで、胸が締めつけられる。
「私は、悔しくて仕方がないの。」
セドリックは黙って私を抱き寄せた。
その腕の中で、私はようやく張り詰めていた感情を吐き出すように、そっと涙をこぼした。
「あの……妹の為に……エルバリー公爵家が壊れていく……」
絞り出すような声でそう言った私は、ついに堪えきれずに涙を零した。
名門の家柄として、誇りを持てと育てられた私。
その教えを信じて、私は自分を捧げるように政略結婚を受け入れたのに――今、その家が妹の愚行で、音を立てて崩れていく。
「私が……何のために……」
嗚咽混じりに漏れた言葉。
誇りを守るためだった。
家の名に泥を塗らぬようにと、懸命に努めてきたのに。
「泣くな、クラリス。」
セドリックの低く穏やかな声が、私の耳に届いた。
彼はそっと私の頬に触れ、溢れる涙を優しく拭ってくれた。
「君は家のために十分すぎるほど尽くした。もう、誰にも何も証明しなくていい。」
その言葉に、張り詰めていた心が少しずつほぐれていく。
私の努力を、誰かが見ていてくれた。
そう思えた瞬間だった。
「お願い、セドリック。せめて……両親が食べて行けるくらいのお金だけでも、渡してあげてほしいの。」
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