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第9部 公開処刑の晩餐会
④
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「せめてレオンが愛人を連れて来なかったら……」
そうつぶやいたルシアの目が、決意に染まった。
次の瞬間、彼女はくるりと向きを変え、真っ直ぐにレオンのいる方へと歩き出した。
「ちょっと、ルシア!」
私は咄嗟に呼び止めたが、彼女の足取りは止まらない。
何をするつもりなの?
私はお腹を押さえながら、彼女の後を追った。
「お待ちなさい、ルシア。今行っても、あなたが恥をかくだけよ!」
それでもルシアは振り返らない。
会場の視線がすでに彼女へと集まりつつあるのに、彼女はまったく意に介していない様子だった。
「今、行かないでいつ行くの!」
その声は怒りと悲しみに満ちていて、彼女が周りの状況をまるで見ていないことが分かった。
まるで自分の心をぶつけずにはいられないかのように――。
私は不安とともに、ルシアの背中を見つめ続けた。
ずんずんと迷いなく進むルシア。
その勢いに会場の空気がざわめき始めた。
レオンがようやく彼女に気づいたのは、ほんの数歩手前だった。
「ルシア……」
レオンは慌てて立ち上がり、隣にいた女性――愛人の前に立とうとした。
だが、その一瞬の隙をルシアは逃さなかった。
彼女はまっすぐその女の元へ歩み寄り、迷いなく、その頬を平手で打った。
パチン、と乾いた音が響く。
「セレンシア!」
レオンが叫び、すぐさまその女をかばった。
だが、ルシアはその場に立ち尽くす。怒りというより、今は――混乱しているようだった。
「セレンシア……?」
その名を、彼女はもう一度繰り返した。
どこかで聞いたことがある。
「もしかして、セレンシア王女?」
ルシアの声が、会場の空気を震わせた。
振り向いたその女性は、確かに気品を漂わせていた。
繊細な顔立ちに、流れるような金髪。
民間の娘とは思えぬ立ち居振る舞い――間違いない、王族の血筋だ。
「な、な、なんでセレンシア王女が、レオンと⁉」
ルシアの顔が、恐怖と怒りと混乱でぐしゃぐしゃになっていた。
私は息を呑み、隣のエミリアやリリアンと顔を見合わせる。
「えっ⁉ 王女⁉」
「確か、セレンシア王女って……ルシアが婚約していたアルバート王子の妹さん?」
「うん……だから知ってるのね。ルシア……」
ルシアは目を見開き、セレンシアとレオンを交互に見つめていた。
その視線には、怒りよりも“敗北”の色が浮かんでいた。
私は思わずルシアの背に手を伸ばした。
――でも、それ以上に怖かった。
そうつぶやいたルシアの目が、決意に染まった。
次の瞬間、彼女はくるりと向きを変え、真っ直ぐにレオンのいる方へと歩き出した。
「ちょっと、ルシア!」
私は咄嗟に呼び止めたが、彼女の足取りは止まらない。
何をするつもりなの?
私はお腹を押さえながら、彼女の後を追った。
「お待ちなさい、ルシア。今行っても、あなたが恥をかくだけよ!」
それでもルシアは振り返らない。
会場の視線がすでに彼女へと集まりつつあるのに、彼女はまったく意に介していない様子だった。
「今、行かないでいつ行くの!」
その声は怒りと悲しみに満ちていて、彼女が周りの状況をまるで見ていないことが分かった。
まるで自分の心をぶつけずにはいられないかのように――。
私は不安とともに、ルシアの背中を見つめ続けた。
ずんずんと迷いなく進むルシア。
その勢いに会場の空気がざわめき始めた。
レオンがようやく彼女に気づいたのは、ほんの数歩手前だった。
「ルシア……」
レオンは慌てて立ち上がり、隣にいた女性――愛人の前に立とうとした。
だが、その一瞬の隙をルシアは逃さなかった。
彼女はまっすぐその女の元へ歩み寄り、迷いなく、その頬を平手で打った。
パチン、と乾いた音が響く。
「セレンシア!」
レオンが叫び、すぐさまその女をかばった。
だが、ルシアはその場に立ち尽くす。怒りというより、今は――混乱しているようだった。
「セレンシア……?」
その名を、彼女はもう一度繰り返した。
どこかで聞いたことがある。
「もしかして、セレンシア王女?」
ルシアの声が、会場の空気を震わせた。
振り向いたその女性は、確かに気品を漂わせていた。
繊細な顔立ちに、流れるような金髪。
民間の娘とは思えぬ立ち居振る舞い――間違いない、王族の血筋だ。
「な、な、なんでセレンシア王女が、レオンと⁉」
ルシアの顔が、恐怖と怒りと混乱でぐしゃぐしゃになっていた。
私は息を呑み、隣のエミリアやリリアンと顔を見合わせる。
「えっ⁉ 王女⁉」
「確か、セレンシア王女って……ルシアが婚約していたアルバート王子の妹さん?」
「うん……だから知ってるのね。ルシア……」
ルシアは目を見開き、セレンシアとレオンを交互に見つめていた。
その視線には、怒りよりも“敗北”の色が浮かんでいた。
私は思わずルシアの背に手を伸ばした。
――でも、それ以上に怖かった。
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