エリート警察官の溺愛は甘く切ない

日下奈緒

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ライバル

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翌日、私はお弁当箱を返して貰いに、警察署に行った。

受付のお兄さんと、目が合う。

「すみません。女性の佐藤さん、呼んで頂けますか?」

「佐藤ですか?いやあ、佐藤は沢山いまして。」

「一条圭也の部下の佐藤さんです。」

「あっ、はい。」

私に殺気を感じたのか、受付の警察官の人は、奥に行って佐藤さんを呼んで来てくれた。


「あっ。」

佐藤さんは、私を見て舌打ちをする。

普通、警察官が市民を見て、そんな事するか!

「昨日はどうも。お弁当箱、返して下さい。」

「はい!今、持ってきまーす。」

ちゃっかり敬礼をして、悪びれる事もなく、お弁当箱を持って来た。

中を確認すると、綺麗に洗ってある。

「中身はどうしたの?」

「美味しく頂きました。」

食べたのか!圭也さんに渡さずに、自分で食べたのか!


「それで、今日もお弁当作って来たんですか?」

「今日はちゃんと、本人に渡しました。」

お互い笑顔を交わすけれど、間には火花が散っている。

「まだ、ご用はありますか?」

佐藤さんは、さっさとこの場を去りたいらしい。

「言いたい事は沢山あるけれど?」

「では手短に。本官は忙しいので。」

仕事中に呼んだのは、私だ。

それは、佐藤さんが正しい。


だが!これだけは言っておく!

「佐藤さん。ウチの主人を好きになるのは、勝手ですけど。」

佐藤さんの眉毛が、ピクッと動く。

「それは、どちらでお知りになったんですか?」

「あなたがこの前、ウチに来た時に、言ってたでしょう。」

「ああ!」

余裕の表情。

妻に向かって、それがどうしました?って、顔?


「結婚生活の邪魔だけは、しないでくれる?」

「あら、私がいつ、どこで、邪魔しました?」

「昨日、ここで。」

即答した私に、また佐藤さんが舌打ちする。

だから、私は市民だぞ!

「じゃあ、私も一つ言っておきますけど。」

佐藤さんは、ニヤッと笑った。

「私、一条さんのお母様と、仲がいいのはご存じですか?」

「ええっ⁉」

あの、男の子じゃないと孫だと言わない!というお義母さんと?


「前に署に来た時に、ご挨拶させて頂いたんです。私の事、気に入ってましたよ。」

「それ、いつのお話?」

「あれれ?もしかして、結婚した後だったかなぁ。」

途端に可愛い子ぶって!

何が言いたい!

「奥様、流産されたんですってね。」

「どうしてそれを!」

「一条さんが、教えてくれたんです。」


あの男!そう言う事をペラペラと!

「それで、子供ができなかったら、離婚ってお母様に言われたんですって?」

まるで佐藤さんが、意地悪な悪女に見えた。

いや、お弁当渡さないで、自分で食べてる時点で、悪女なんだけど。

「もし一条さんが離婚したら、私、立候補しようかな。」

「何に?」

「もちろん、一条さんの奥さんに!」

私の頭の中で、雷が鳴った。

「……妄想もいい加減にして。」

「さてさて。妄想で終わればいいですけどね。」

佐藤さんは、そう言って私にウィンクをした。

「もういいわ。」

佐藤さんに背中を向けると、彼女の笑い声が聞こえる。

この悪魔め!

どこかで、祓われて消えてしまえ!

私は怒りながら、警察署を後にした。


どうして、私があそこまで言われなきゃいけないの?

子供を流産したから?

でも、作ろうと思えば、いつだって作れる!

それが、妻の強みだ!


その時、玄関のドアが開いた。

「ただいま。」

「おかえりなさーい。」

滑るように、玄関まで迎えに行く。

「あれ?今日はなんだか、陽気だね。」

圭也さんの笑顔、爆発。

「圭也さん。」

「何?」

「子供、作ろ。」

「へ?」

きょとんとしている圭也さんの腕を引っ張り、ベッドに連れて行く。

「おいおい、積極的だな。」

「こういうの、嫌いじゃないでしょ?」

私は圭也さんの、上着とシャツを脱がせた。

「夕食とお風呂、どっちにする?それとも私?的な?」

圭也さんは、勝手に喜んでいる。

「もちろん、私よね。」

その瞬間、圭也さんのお腹が鳴った。


「ごめん、先にご飯食べさせて。」

「もうー!」

私はベッドの上で、大の字になって寝転んだ。

「そんなに欲求不満?」

「じゃない。」

「大丈夫だよ。夜は長いんだから。」

そして圭也さんに、肩をポンと叩かれた。


圭也さん、子供の事どう思ってるんだろう。

私は欠伸をする圭也さんを見ながら、ため息をついた。

はっきり言って切ないよ、圭也さん。
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