13 / 18
ライバル
①
しおりを挟む
私なりに、幸せってこういう事なんだろうって、最近思い始めた。
心からジーンと胸が温かくなる。
そして、それは圭也さんから、貰っているものなんだって。
圭也さんといる事が、私の幸せなんだって、すごく思えた。
「紗良?」
「は!はい!」
圭也さんが私の顔を覗く。
せっかくの非番の日なのに、ぼーっとして、心ここにあらずだなんて。
勿体ない!
「そう言えば、結婚したばかりの頃、お弁当作ってくれたよね。」
「うん。」
「また作ってくれないかな。」
ああ、これが私の思い描いていた結婚生活よ。
「うん。残さずに食べてね。」
照れるように言うと、圭也さんも照れている。
私達を邪魔するものは、もう何もないもんね。
「明日から作るね。」
「うん。楽しみにしてる。」
どうしよう。
圭也さんの笑顔に、またニヤついてしまうよ。
そしてしばらくして、圭也さんの帰りも早くなった。
「事件がない時ぐらい、早く帰ったら?って言われて。」
「へえ。誰に?」
そんな有難い事を言ってくれる相手は、一体誰なの?
「ああ、佐藤に。」
私の顔が、引きつった。
あの、佐藤さん?
人の家に来て、ご飯をたらふく食べたくせに、私を大した事ないと言い、挙句に圭也さんを好きだと言った、あの佐藤さん?
「あいつ、そういうところ気が利くんだよな。」
「そ、そうなんだ。」
それは、圭也さんにただ好かれたいだけなのでは?
結婚しても、嫉妬するなんて思わなかった。
こうなったら、その佐藤さんに。
愛妻弁当を見せつけようじゃないか!
「よし、今夜から仕込んでおくか!」
「えっ⁉」
圭也さんの顔が、真っ赤になる。
「変な意味じゃないよ!お弁当の仕込みだって。」
そう言えば、流産してからご無沙汰だけど、いつになったらできるのかな。
私は、流産してから1か月後。
産婦人科に行ってみた。
「もうそろそろ、いい頃でしょう。」
「本当ですか?」
「ええ。月経もそろそろ来る頃ですし。赤ちゃん、早く欲しいですもんね。」
「はい!」
私は、足取り軽く家に帰って来た。
「今日は、圭也さんに迫ってみようかな。なーんて。キャー!」
勝手に盛り上がって、ハタと気づいた。
テーブルの上に、圭也さんのお弁当が置いてある。
「忘れて行ったの?」
あちゃー!と、なりながら私は、お弁当を持って、警察署に向かった。
自転車でスイスイと進んでいく。
警察署までは、距離はあるけれど、全く疲れない。
「今度は、男の子かな。女の子かな。」
まだできてもいないのに、赤ちゃんの事を考えてしまう。
「ふっふふん。」
今日の私は、機嫌がいい。
爽快な気持ちで、警察署に着いた。
「ええーっと、圭也さんはどこにいるんだろ。」
受付に行こうとすると、奥の方で女性警察官と、目が合った。
どこかで見た事がある。
「あっ!」
お互い、指を指し合い驚く。
「一条さんの奥さん!」
「部下の佐藤さん!」
そして二人で、はははと気のない笑顔を振りまく。
「どうしたんですか?」
「ああ、主人って今、どこにいますか?」
「さあ。なにせ忙しい方ですからね。」
圭也さんには協力的でも、私には非協力的かよ。
すると、佐藤さんにお弁当を見つかってしまった。
「愛妻弁当ですか。」
案の定、上から目線。
「ほほほ。主人が私のお弁当を食べたいって、言うものですから。」
だったらこっちもマウント、取ってやる。
「でしたら、渡しておきますよ。」
そう言って、佐藤さんにお弁当を取られた。
「えっ?」
「せっかく持って来たのに、勿体ないじゃないですか。」
もしかして、いい子なのか?この子。
「じゃあ、お願いします。」
私はすっかり、佐藤さんを信じて、警察署を後にした。
意外だった。
でも確かに、圭也さんを好きって言うだけで、悪い子とは限らない。
「今日も早く、帰って来ないかな。」
警察署からの帰り道も、私は気分がよかった。
「ただいま。」
圭也さんは、この日も帰りは早かった。
「おかえりなさい。お弁当箱、今のうちに出しておいてね。」
「えっ?」
私は、後ろを振り返った。
「えっ?って、お弁当、食べたでしょ。」
「ごめん。持っていくの忘れて、食べてないんだ。」
これは、怪しいと思った。
「私、持って行って、佐藤さんに預けたんだけど。」
「佐藤に?」
二人で、ん?となった。
「もしかして……」
「そのもしかして、だな。」
佐藤さん、圭也さんにお弁当箱、渡していないのね。
やっぱり、信じた私が、悪かった。
心からジーンと胸が温かくなる。
そして、それは圭也さんから、貰っているものなんだって。
圭也さんといる事が、私の幸せなんだって、すごく思えた。
「紗良?」
「は!はい!」
圭也さんが私の顔を覗く。
せっかくの非番の日なのに、ぼーっとして、心ここにあらずだなんて。
勿体ない!
「そう言えば、結婚したばかりの頃、お弁当作ってくれたよね。」
「うん。」
「また作ってくれないかな。」
ああ、これが私の思い描いていた結婚生活よ。
「うん。残さずに食べてね。」
照れるように言うと、圭也さんも照れている。
私達を邪魔するものは、もう何もないもんね。
「明日から作るね。」
「うん。楽しみにしてる。」
どうしよう。
圭也さんの笑顔に、またニヤついてしまうよ。
そしてしばらくして、圭也さんの帰りも早くなった。
「事件がない時ぐらい、早く帰ったら?って言われて。」
「へえ。誰に?」
そんな有難い事を言ってくれる相手は、一体誰なの?
「ああ、佐藤に。」
私の顔が、引きつった。
あの、佐藤さん?
人の家に来て、ご飯をたらふく食べたくせに、私を大した事ないと言い、挙句に圭也さんを好きだと言った、あの佐藤さん?
「あいつ、そういうところ気が利くんだよな。」
「そ、そうなんだ。」
それは、圭也さんにただ好かれたいだけなのでは?
結婚しても、嫉妬するなんて思わなかった。
こうなったら、その佐藤さんに。
愛妻弁当を見せつけようじゃないか!
「よし、今夜から仕込んでおくか!」
「えっ⁉」
圭也さんの顔が、真っ赤になる。
「変な意味じゃないよ!お弁当の仕込みだって。」
そう言えば、流産してからご無沙汰だけど、いつになったらできるのかな。
私は、流産してから1か月後。
産婦人科に行ってみた。
「もうそろそろ、いい頃でしょう。」
「本当ですか?」
「ええ。月経もそろそろ来る頃ですし。赤ちゃん、早く欲しいですもんね。」
「はい!」
私は、足取り軽く家に帰って来た。
「今日は、圭也さんに迫ってみようかな。なーんて。キャー!」
勝手に盛り上がって、ハタと気づいた。
テーブルの上に、圭也さんのお弁当が置いてある。
「忘れて行ったの?」
あちゃー!と、なりながら私は、お弁当を持って、警察署に向かった。
自転車でスイスイと進んでいく。
警察署までは、距離はあるけれど、全く疲れない。
「今度は、男の子かな。女の子かな。」
まだできてもいないのに、赤ちゃんの事を考えてしまう。
「ふっふふん。」
今日の私は、機嫌がいい。
爽快な気持ちで、警察署に着いた。
「ええーっと、圭也さんはどこにいるんだろ。」
受付に行こうとすると、奥の方で女性警察官と、目が合った。
どこかで見た事がある。
「あっ!」
お互い、指を指し合い驚く。
「一条さんの奥さん!」
「部下の佐藤さん!」
そして二人で、はははと気のない笑顔を振りまく。
「どうしたんですか?」
「ああ、主人って今、どこにいますか?」
「さあ。なにせ忙しい方ですからね。」
圭也さんには協力的でも、私には非協力的かよ。
すると、佐藤さんにお弁当を見つかってしまった。
「愛妻弁当ですか。」
案の定、上から目線。
「ほほほ。主人が私のお弁当を食べたいって、言うものですから。」
だったらこっちもマウント、取ってやる。
「でしたら、渡しておきますよ。」
そう言って、佐藤さんにお弁当を取られた。
「えっ?」
「せっかく持って来たのに、勿体ないじゃないですか。」
もしかして、いい子なのか?この子。
「じゃあ、お願いします。」
私はすっかり、佐藤さんを信じて、警察署を後にした。
意外だった。
でも確かに、圭也さんを好きって言うだけで、悪い子とは限らない。
「今日も早く、帰って来ないかな。」
警察署からの帰り道も、私は気分がよかった。
「ただいま。」
圭也さんは、この日も帰りは早かった。
「おかえりなさい。お弁当箱、今のうちに出しておいてね。」
「えっ?」
私は、後ろを振り返った。
「えっ?って、お弁当、食べたでしょ。」
「ごめん。持っていくの忘れて、食べてないんだ。」
これは、怪しいと思った。
「私、持って行って、佐藤さんに預けたんだけど。」
「佐藤に?」
二人で、ん?となった。
「もしかして……」
「そのもしかして、だな。」
佐藤さん、圭也さんにお弁当箱、渡していないのね。
やっぱり、信じた私が、悪かった。
45
あなたにおすすめの小説
Bravissima!
葉月 まい
恋愛
トラウマに悩む天才ピアニストと
俺様キャラの御曹司 かつ若きコンサートマスター
過去を乗り越え 互いに寄り添い
いつしか最高のパートナーとなる
『Bravissima!俺の女神』
゚・*:.。♡。.:*・゜゚・*:.。♡。.:*・゜
過去のトラウマから舞台に立つのが怖い芽衣は如月フィルのコンマス、聖の伴奏ピアニストを務めることに。
互いの音に寄り添い、支え合い、いつしか芽衣は過去を乗り超えていく。
✧♫•・*¨*•.♡。.:登場人物:.。♡.•*¨*・•♫✧
木村 芽衣(22歳) …音大ピアノ科4年生
如月 聖(27歳) …ヴァイオリニスト・如月フィルコンサートマスター
高瀬 公平(27歳) …如月フィル事務局長
ベンチャーCEOの想い溢れる初恋婚 溺れるほどの一途なキスを君に
犬上義彦
恋愛
『御更木蒼也(みさらぎそうや)』
三十歳:身長百八十五センチ
御更木グループの御曹司
創薬ベンチャー「ミサラギメディカル」CEO(最高経営責任者)
祖母がスイス人のクオーター
祖父:御更木幸之助:御更木グループの統括者九十歳
『赤倉悠輝(あかくらゆうき)』
三十歳:身長百七十五センチ。
料理動画「即興バズレシピ」の配信者
御更木蒼也の幼なじみで何かと頼りになる良き相棒だが……
『咲山翠(さきやまみどり)』
二十七歳:身長百六十センチ。
蒼也の許嫁
父:咲山優一郎:国立理化学大学薬学部教授
『須垣陸(すがきりく)』
三十四歳:百億円の資金を動かすネット投資家
**************************
幼稚園教諭の咲山翠は
御更木グループの御曹司と
幼い頃に知り合い、
彼の祖父に気に入られて許嫁となる
だが、大人になった彼は
ベンチャー企業の経営で忙しく
すれ違いが続いていた
ある日、蒼也が迎えに来て、
余命宣告された祖父のために
すぐに偽装結婚をしてくれと頼まれる
お世話になったおじいさまのためにと了承して
形式的に夫婦になっただけなのに
なぜか蒼也の愛は深く甘くなる一方で
ところが、蒼也の会社が株取引のトラブルに巻き込まれ、
絶体絶命のピンチに
みたいなお話しです
冷淡だった義兄に溺愛されて結婚するまでのお話
水瀬 立乃
恋愛
陽和(ひより)が16歳の時、シングルマザーの母親が玉の輿結婚をした。
相手の男性には陽和よりも6歳年上の兄・慶一(けいいち)と、3歳年下の妹・礼奈(れいな)がいた。
義理の兄妹との関係は良好だったが、事故で母親が他界すると2人に冷たく当たられるようになってしまう。
陽和は秘かに恋心を抱いていた慶一と関係を持つことになるが、彼は陽和に愛情がない様子で、彼女は叶わない初恋だと諦めていた。
しかしある日を境に素っ気なかった慶一の態度に変化が現れ始める。
工場夜景
藤谷 郁
恋愛
結婚相談所で出会った彼は、港の製鉄所で働く年下の青年。年齢も年収も関係なく、顔立ちだけで選んだ相手だった――仕事一筋の堅物女、松平未樹。彼女は32歳の冬、初めての恋を経験する。
友達婚~5年もあいつに片想い~
日下奈緒
恋愛
求人サイトの作成の仕事をしている梨衣は
同僚の大樹に5年も片想いしている
5年前にした
「お互い30歳になっても独身だったら結婚するか」
梨衣は今30歳
その約束を大樹は覚えているのか
冷たい彼と熱い私のルーティーン
希花 紀歩
恋愛
✨2021 集英社文庫 ナツイチ小説大賞 恋愛短編部門 最終候補選出作品✨
冷たくて苦手なあの人と、毎日手を繋ぐことに・・・!?
ツンデレなオフィスラブ💕
🌸春野 颯晴(はるの そうせい)
27歳
管理部IT課
冷たい男
❄️柊 羽雪 (ひいらぎ はゆき)
26歳
営業企画部広報課
熱い女
愛してやまないこの想いを
さとう涼
恋愛
ある日、恋人でない男性から結婚を申し込まれてしまった。
「覚悟して。断られても何度でもプロポーズするよ」
その日から、わたしの毎日は甘くとろけていく。
ライティングデザイン会社勤務の平凡なOLと建設会社勤務のやり手の設計課長のあまあまなストーリーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる