エリート警察官の溺愛は甘く切ない

日下奈緒

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ライバル

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私なりに、幸せってこういう事なんだろうって、最近思い始めた。

心からジーンと胸が温かくなる。

そして、それは圭也さんから、貰っているものなんだって。

圭也さんといる事が、私の幸せなんだって、すごく思えた。


「紗良?」

「は!はい!」

圭也さんが私の顔を覗く。

せっかくの非番の日なのに、ぼーっとして、心ここにあらずだなんて。

勿体ない!


「そう言えば、結婚したばかりの頃、お弁当作ってくれたよね。」

「うん。」

「また作ってくれないかな。」

ああ、これが私の思い描いていた結婚生活よ。

「うん。残さずに食べてね。」

照れるように言うと、圭也さんも照れている。


私達を邪魔するものは、もう何もないもんね。

「明日から作るね。」

「うん。楽しみにしてる。」

どうしよう。

圭也さんの笑顔に、またニヤついてしまうよ。

そしてしばらくして、圭也さんの帰りも早くなった。

「事件がない時ぐらい、早く帰ったら?って言われて。」

「へえ。誰に?」

そんな有難い事を言ってくれる相手は、一体誰なの?

「ああ、佐藤に。」

私の顔が、引きつった。

あの、佐藤さん?

人の家に来て、ご飯をたらふく食べたくせに、私を大した事ないと言い、挙句に圭也さんを好きだと言った、あの佐藤さん?


「あいつ、そういうところ気が利くんだよな。」

「そ、そうなんだ。」

それは、圭也さんにただ好かれたいだけなのでは?

結婚しても、嫉妬するなんて思わなかった。


こうなったら、その佐藤さんに。

愛妻弁当を見せつけようじゃないか!

「よし、今夜から仕込んでおくか!」

「えっ⁉」

圭也さんの顔が、真っ赤になる。

「変な意味じゃないよ!お弁当の仕込みだって。」

そう言えば、流産してからご無沙汰だけど、いつになったらできるのかな。

私は、流産してから1か月後。

産婦人科に行ってみた。

「もうそろそろ、いい頃でしょう。」

「本当ですか?」

「ええ。月経もそろそろ来る頃ですし。赤ちゃん、早く欲しいですもんね。」

「はい!」

私は、足取り軽く家に帰って来た。


「今日は、圭也さんに迫ってみようかな。なーんて。キャー!」

勝手に盛り上がって、ハタと気づいた。

テーブルの上に、圭也さんのお弁当が置いてある。

「忘れて行ったの?」

あちゃー!と、なりながら私は、お弁当を持って、警察署に向かった。


自転車でスイスイと進んでいく。

警察署までは、距離はあるけれど、全く疲れない。

「今度は、男の子かな。女の子かな。」

まだできてもいないのに、赤ちゃんの事を考えてしまう。

「ふっふふん。」

今日の私は、機嫌がいい。

爽快な気持ちで、警察署に着いた。

「ええーっと、圭也さんはどこにいるんだろ。」

受付に行こうとすると、奥の方で女性警察官と、目が合った。

どこかで見た事がある。

「あっ!」

お互い、指を指し合い驚く。


「一条さんの奥さん!」

「部下の佐藤さん!」

そして二人で、はははと気のない笑顔を振りまく。

「どうしたんですか?」

「ああ、主人って今、どこにいますか?」

「さあ。なにせ忙しい方ですからね。」

圭也さんには協力的でも、私には非協力的かよ。


すると、佐藤さんにお弁当を見つかってしまった。

「愛妻弁当ですか。」

案の定、上から目線。

「ほほほ。主人が私のお弁当を食べたいって、言うものですから。」

だったらこっちもマウント、取ってやる。

「でしたら、渡しておきますよ。」

そう言って、佐藤さんにお弁当を取られた。

「えっ?」

「せっかく持って来たのに、勿体ないじゃないですか。」

もしかして、いい子なのか?この子。

「じゃあ、お願いします。」

私はすっかり、佐藤さんを信じて、警察署を後にした。

意外だった。

でも確かに、圭也さんを好きって言うだけで、悪い子とは限らない。

「今日も早く、帰って来ないかな。」

警察署からの帰り道も、私は気分がよかった。


「ただいま。」

圭也さんは、この日も帰りは早かった。

「おかえりなさい。お弁当箱、今のうちに出しておいてね。」

「えっ?」

私は、後ろを振り返った。

「えっ?って、お弁当、食べたでしょ。」

「ごめん。持っていくの忘れて、食べてないんだ。」

これは、怪しいと思った。

「私、持って行って、佐藤さんに預けたんだけど。」

「佐藤に?」

二人で、ん?となった。


「もしかして……」

「そのもしかして、だな。」

佐藤さん、圭也さんにお弁当箱、渡していないのね。

やっぱり、信じた私が、悪かった。
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