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第4章 愛されたい それよりも
②
「いいわよ。」
会社でするのも、燃え上がるわね。
そんな風に、悪魔が囁いて行った。
「どこでする?」
「おっ、乗ってきたね、お姉さん。」
典浩は舌なめずりしながら、辺りを見回した。
「トイレは?」
「見つかるわよ。」
「じゃあ、非常階段?」
私と典浩は、非常階段の方へ向かうと、誰もいなくなったところで、その扉を開けた。
「1階上がるぞ。」
「ええ?」
「ばあか。入るところを偶然見た奴が扉を開けたら、びっくりしちまうだろ。」
典浩の”ばあか”も、久しぶりに聞いた。
「下に降りるのは、駄目なの?」
「ああ。下は意外と見つかるんだよ。」
そう言って典浩は、私の手を引いて、非常階段を昇り始めた。
意外と見つかるって、前にもしてるんじゃない。
心の中でツッコミながら、手を引いてくれている典浩の優しさも、感じている。
1階上がるのは、意外と早かった。
「ここなら、誰も来ない。」
典浩に腰を抱かれ、キスをした。
舌が口の中で、ねっとりと動き回る。
その時、典浩と付き合っていた時の事を、思い出した。
典浩は、確か私が初めての女だと、言っていた。
前戯もたどたどしく、本番もそんなに上手くなかったから、本当にそうなのだろう。
だが、今目の前にいる典浩は、そんな男ではなかった。
キスの最中に、もう胸を揉んできて、しかもそれが上手い。
情けないけれど、体が火照ってきて、今直ぐ奥まで可愛がってもらいたいくらいだ。
「ねえ、典浩……」
「なんだ。もう欲しいのか。」
イヤらしい女だな、そんな目線で典浩はベルトを外し、私の太ももの間に、入ってきた。
「んん……」
繋がった途端に感じる、この快感。
何とも言いようがない。
典浩に縋り付き、ただただ快感の波に、自分の身を任せていた。
その時だった。
「誰かいるのか?」
部長の声がした。
やばい。
こんなところ、見られたくない。
私は典浩を押しのけて、下着を履いた。
「おい!」
部長が昇ってくる。
私は咄嗟に、典浩の背中に隠れた。
「すみません。」
典浩が後ろを向いて、部長に両手を挙げて見せた。
「なんだ、いたのか。」
「はい。彼女とイチャイチャしてました。」
「ははは。若い奴はいいな。」
部長は笑いながら、階段を降りて行く。
ほっとしたその時だ。
部長と、目が合った。
ドキッとする。
顔を見られた?
ドキドキが治まらない。
「大丈夫だ、行ったよ。」
典浩が私の肩を掴んだ。
「うん、有難う。」
お礼を言うその声も、細かく震えている。
「環奈?大丈夫か?」
「うん。典浩、私先行くね。」
「ああ……」
私は典浩を置いて、非常階段から出た。
あんなに情熱的なキスをしたのに、一つに繋がったのに。
思い出すのは、部長のふとこっちを見た顔だけ。
もやもやする。
私が他の男としていても、何とも思わないの?
「……っ!」
悔しくて涙が出てくる。
部長とセフレになんて、なるんじゃなかった。
ドライな関係を望んでいていたのに、こんなに部長の事、気にするなんて。
もしかして、私……
「おい、高杉。」
「えっ?」
顔を上げると、目の前に部長がいた。
「あ、あれ……」
辺りを見回すと、私はいつの間にか、非常階段からオフィスの前まで来ていたみたい。
「ボーっとしてるな。」
「すみません。気を付けます。」
何となく赤くなっている顔を、この人に見られたくなくて、私は俯きながらオフィスに戻ろうとした。
その時だ。
部長の手が、私の腕を掴んだ。
「今日、いつものホテルで待ってる。」
それだけを言うと部長は、どこかへ行ってしまった。
”いつものホテルで”
その言葉に、どんどん顔が赤くなっていく。
今日も、あの人に抱かれる。
その思いが、私の胸を逸らせた。
数時間後、仕事が終わった。
「お先に失礼します。お疲れ様でした。」
同僚に挨拶をして、ちらっと部長を見た。
「ああ、お疲れ様。」
「お疲れ様です、部長。」
この後私達は、裸で抱き合うと言うのに、素知らぬ顔をして、挨拶をするのだ。
何て、秘密の香りが漂うシチュエーションなのだろう。
そして、私は会社を出た後、真っすぐにいつものホテルに向かった。
何だか足取りも軽い。
部長と会えると言う事が、こんなにも心躍る事になるなんて。
思いもしなかった。
しばらくしてホテルに着き、その入り口のソファで待っていると、数分遅れて部長がやってきた。
「待たせた。」
「いいえ。」
何気ない会話が、ほんのり嬉しい。
今日は何号室を使うのだろう。
そう思っていると、部長は思わぬ場所を指さした。
「最初、飯にしよう。」
「夕食……ですか?」
会社でするのも、燃え上がるわね。
そんな風に、悪魔が囁いて行った。
「どこでする?」
「おっ、乗ってきたね、お姉さん。」
典浩は舌なめずりしながら、辺りを見回した。
「トイレは?」
「見つかるわよ。」
「じゃあ、非常階段?」
私と典浩は、非常階段の方へ向かうと、誰もいなくなったところで、その扉を開けた。
「1階上がるぞ。」
「ええ?」
「ばあか。入るところを偶然見た奴が扉を開けたら、びっくりしちまうだろ。」
典浩の”ばあか”も、久しぶりに聞いた。
「下に降りるのは、駄目なの?」
「ああ。下は意外と見つかるんだよ。」
そう言って典浩は、私の手を引いて、非常階段を昇り始めた。
意外と見つかるって、前にもしてるんじゃない。
心の中でツッコミながら、手を引いてくれている典浩の優しさも、感じている。
1階上がるのは、意外と早かった。
「ここなら、誰も来ない。」
典浩に腰を抱かれ、キスをした。
舌が口の中で、ねっとりと動き回る。
その時、典浩と付き合っていた時の事を、思い出した。
典浩は、確か私が初めての女だと、言っていた。
前戯もたどたどしく、本番もそんなに上手くなかったから、本当にそうなのだろう。
だが、今目の前にいる典浩は、そんな男ではなかった。
キスの最中に、もう胸を揉んできて、しかもそれが上手い。
情けないけれど、体が火照ってきて、今直ぐ奥まで可愛がってもらいたいくらいだ。
「ねえ、典浩……」
「なんだ。もう欲しいのか。」
イヤらしい女だな、そんな目線で典浩はベルトを外し、私の太ももの間に、入ってきた。
「んん……」
繋がった途端に感じる、この快感。
何とも言いようがない。
典浩に縋り付き、ただただ快感の波に、自分の身を任せていた。
その時だった。
「誰かいるのか?」
部長の声がした。
やばい。
こんなところ、見られたくない。
私は典浩を押しのけて、下着を履いた。
「おい!」
部長が昇ってくる。
私は咄嗟に、典浩の背中に隠れた。
「すみません。」
典浩が後ろを向いて、部長に両手を挙げて見せた。
「なんだ、いたのか。」
「はい。彼女とイチャイチャしてました。」
「ははは。若い奴はいいな。」
部長は笑いながら、階段を降りて行く。
ほっとしたその時だ。
部長と、目が合った。
ドキッとする。
顔を見られた?
ドキドキが治まらない。
「大丈夫だ、行ったよ。」
典浩が私の肩を掴んだ。
「うん、有難う。」
お礼を言うその声も、細かく震えている。
「環奈?大丈夫か?」
「うん。典浩、私先行くね。」
「ああ……」
私は典浩を置いて、非常階段から出た。
あんなに情熱的なキスをしたのに、一つに繋がったのに。
思い出すのは、部長のふとこっちを見た顔だけ。
もやもやする。
私が他の男としていても、何とも思わないの?
「……っ!」
悔しくて涙が出てくる。
部長とセフレになんて、なるんじゃなかった。
ドライな関係を望んでいていたのに、こんなに部長の事、気にするなんて。
もしかして、私……
「おい、高杉。」
「えっ?」
顔を上げると、目の前に部長がいた。
「あ、あれ……」
辺りを見回すと、私はいつの間にか、非常階段からオフィスの前まで来ていたみたい。
「ボーっとしてるな。」
「すみません。気を付けます。」
何となく赤くなっている顔を、この人に見られたくなくて、私は俯きながらオフィスに戻ろうとした。
その時だ。
部長の手が、私の腕を掴んだ。
「今日、いつものホテルで待ってる。」
それだけを言うと部長は、どこかへ行ってしまった。
”いつものホテルで”
その言葉に、どんどん顔が赤くなっていく。
今日も、あの人に抱かれる。
その思いが、私の胸を逸らせた。
数時間後、仕事が終わった。
「お先に失礼します。お疲れ様でした。」
同僚に挨拶をして、ちらっと部長を見た。
「ああ、お疲れ様。」
「お疲れ様です、部長。」
この後私達は、裸で抱き合うと言うのに、素知らぬ顔をして、挨拶をするのだ。
何て、秘密の香りが漂うシチュエーションなのだろう。
そして、私は会社を出た後、真っすぐにいつものホテルに向かった。
何だか足取りも軽い。
部長と会えると言う事が、こんなにも心躍る事になるなんて。
思いもしなかった。
しばらくしてホテルに着き、その入り口のソファで待っていると、数分遅れて部長がやってきた。
「待たせた。」
「いいえ。」
何気ない会話が、ほんのり嬉しい。
今日は何号室を使うのだろう。
そう思っていると、部長は思わぬ場所を指さした。
「最初、飯にしよう。」
「夕食……ですか?」
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