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第4章 愛されたい それよりも
③
「ああ。腹が減ってるだろう?」
意外な展開に、私は目をパチクリさせる。
「俺と夕食なんて、嫌か?」
「い、いえ。」
「じゃあ、行こう。」
誘われるままに、私は部長の後を着いて行き、エレベーターに乗った。
少しだけ間を開けて、並んで立った。
スーッと昇って行くエレベーターの中で、ただ二人きり。
これから夕食を二人で?
それから二人で、一泊でもしようと言うのかしら。
それじゃあまるで、恋人同士だ。
「ここだな。」
ホテルの最上階にあるレストランに着いて、私と部長は、隣同士に座った。
足を組んでいる部長が、セクシーに見える。
まずい。
昼間、中途半端に快楽を味わったせいか、蜜が溢れてきそうだ。
「どうした?」
「いいえ。」
慌てて太ももを両手で隠し、内ももに力を入れた。
すると部長が、耳元で囁いて来た。
「もう我慢できないか?昼間のあれでは、満足しなかっただろう。」
私は勢いよく、部長の方を見た。
意地悪そうな部長の顔。
そう。
部長はやはり、昼間の事を知っていて、私を誘ったのだ。
恥ずかしい。
他の男とHしているところを見られて、知らない振りをして、隣に座っていたなんて。
だが部長は、こうも告げて来た。
「大丈夫だ。後で満足するまで、可愛がってやる。」
その言葉にドキッとして、胸がバクバク言っている。
もう、たくさん。
「部長、知ってたんですか?」
「ああ。彼の後ろに隠れている君を、ちらっと見たからな。」
そこまで言って、どうして……
「なぜ、怒らないんですか?」
部長は、黙っている。
「怒る権利がないとでも、言うんですか?」
「……そうかも、しれないな。」
所詮、セフレはセフレ。
欲望を満たせるのであれば、誰と付き合おうが、誰と遊んでいようが、関係ないと言うのだろうか。
そんな関係を押し付けたのは、私の方なのに。
なのに、涙が一粒零れた。
「来なければ、よかった。」
私の口から出たのは、後悔の念だった。
「さっさとする事して、はい、さよならって、どうしていつもと同じようにしなかったんですか?」
部長は、まだ黙ったままだった。
「こんなところに連れて来られたら、期待してしまいます。」
「何を期待するんだ?」
やっと口を開いてくれたのに、その答えには困った。
言えば、バカな女だと思われる。
「言ってくれ。」
「嫌です。」
「言って欲しいんだ。」
私はそっと、部長を見つめた。
「……バカな女だと思いませんか?」
「思わないよ。」
息をゴクンと飲みこんだ。
「……まるで、恋人みたいだと思いました。」
「それで?」
「部長と……そんな風になりたいって……」
愚かな女。
部長はそんな事望んでいないのに。
その内、頼んだメニューが出てきて、この話は終わってしまった。
たぶん、これが最後の情事になるだろうと、私は予感した。
夕食を食べ終え、部長は部屋の鍵を取りに行った。
この景色を見るのも、終わりかもしれない。
そう思った時だ。
部長に、何気ない一言を掛けられた。
「今日は、泊まりでいいよね。」
一旦治まったと言うのに、また心臓が早く動きだす。
「高杉?」
「は、はい。」
鍵を受け取った部長と、エレベーターに乗る。
ー 泊まりでいいよね -
その一言の意味を、どう受取ればいいのか。
エレベーターが動いている間、ずっと部長の顔を見れなかった。
「もうすぐ着くよ。」
ふいに部長を見ると、彼と目が合って、恥ずかし買いもなく、見つめ合ってしまった。
部屋に着いたら、この人に抱かれる。
ドキドキして、心臓が口から出そうになった。
どうしてこんなに、緊張するの?
自分を落ち着かせようと、胸に手を当てた。
「あー、疲れた。」
だが部長は部屋に着いた途端、椅子に体を投げ入れた。
いつもは、ホテルに入ると、キスで責めてくるくせに。
「怒ってるんですか?」
「えっ?」
「他の男とヤッてたから、怒っているんですか?」
私は率直に、部長に尋ねた。
「だったら、素直に怒って貰った方が、すっきりします!」
じーっと見つめる私に、部長はフッと鼻で笑った。
「何が可笑しいんですか!」
「いや、年下の女性に、こうも気持ちを見透かされていたとはね。」
「えっ……」
すると部長は、私を抱き寄せた。
「君の言う通りだ。君を他の男が抱いているかと思うと、腸が煮えくり返えそうになる。」
「部長?」
「驚くんだ。自分の中に、こんなにも嫉妬に似た、熱い感情があるだなんて。」
「あっ……」
部長の舌が、首筋を這って、快感が教え寄せて来た。
「部、部長……」
アッと言う間に、部長に押し倒されて、私はその手で、裸にされた。
「もう、他の男に抱かれるな。」
熱い瞳が、私を包む。
「いいな。」
「あっ!」
部長と一つに繋がると、火傷しそうなくらいに、熱かった。
「部長……熱い……」
「そんな事言うな。自制が効かなくなる。」
そうは言っても、私達は男と女で、熱を分け合うには、激しさが必要だった。
「あっ、あっ、あっ!部長……もうダメ……!」
「いいよ、環奈。一緒にいこう……」
「部長……あっ、ああああー!」
激しさの後に、一気に奥に突かれて、私達は一緒に絶頂へと上り詰めた。
その後には、部長の腕枕が待っていた。
「絶対に、溺れない自信はあったんだ。」
「ふふふっ……」
少しだけ拗ねた部長の表情が、可愛らしく見えた。
「今は、はっきり言える。環奈、好きだ。」
「私もです、部長……」
こんな恋が欲しかった。
好きで好きで、たまらない人。
欲しくて欲しくて、たまらない人。
これからはずっと、部長の側にいますね。
ー Fin -
意外な展開に、私は目をパチクリさせる。
「俺と夕食なんて、嫌か?」
「い、いえ。」
「じゃあ、行こう。」
誘われるままに、私は部長の後を着いて行き、エレベーターに乗った。
少しだけ間を開けて、並んで立った。
スーッと昇って行くエレベーターの中で、ただ二人きり。
これから夕食を二人で?
それから二人で、一泊でもしようと言うのかしら。
それじゃあまるで、恋人同士だ。
「ここだな。」
ホテルの最上階にあるレストランに着いて、私と部長は、隣同士に座った。
足を組んでいる部長が、セクシーに見える。
まずい。
昼間、中途半端に快楽を味わったせいか、蜜が溢れてきそうだ。
「どうした?」
「いいえ。」
慌てて太ももを両手で隠し、内ももに力を入れた。
すると部長が、耳元で囁いて来た。
「もう我慢できないか?昼間のあれでは、満足しなかっただろう。」
私は勢いよく、部長の方を見た。
意地悪そうな部長の顔。
そう。
部長はやはり、昼間の事を知っていて、私を誘ったのだ。
恥ずかしい。
他の男とHしているところを見られて、知らない振りをして、隣に座っていたなんて。
だが部長は、こうも告げて来た。
「大丈夫だ。後で満足するまで、可愛がってやる。」
その言葉にドキッとして、胸がバクバク言っている。
もう、たくさん。
「部長、知ってたんですか?」
「ああ。彼の後ろに隠れている君を、ちらっと見たからな。」
そこまで言って、どうして……
「なぜ、怒らないんですか?」
部長は、黙っている。
「怒る権利がないとでも、言うんですか?」
「……そうかも、しれないな。」
所詮、セフレはセフレ。
欲望を満たせるのであれば、誰と付き合おうが、誰と遊んでいようが、関係ないと言うのだろうか。
そんな関係を押し付けたのは、私の方なのに。
なのに、涙が一粒零れた。
「来なければ、よかった。」
私の口から出たのは、後悔の念だった。
「さっさとする事して、はい、さよならって、どうしていつもと同じようにしなかったんですか?」
部長は、まだ黙ったままだった。
「こんなところに連れて来られたら、期待してしまいます。」
「何を期待するんだ?」
やっと口を開いてくれたのに、その答えには困った。
言えば、バカな女だと思われる。
「言ってくれ。」
「嫌です。」
「言って欲しいんだ。」
私はそっと、部長を見つめた。
「……バカな女だと思いませんか?」
「思わないよ。」
息をゴクンと飲みこんだ。
「……まるで、恋人みたいだと思いました。」
「それで?」
「部長と……そんな風になりたいって……」
愚かな女。
部長はそんな事望んでいないのに。
その内、頼んだメニューが出てきて、この話は終わってしまった。
たぶん、これが最後の情事になるだろうと、私は予感した。
夕食を食べ終え、部長は部屋の鍵を取りに行った。
この景色を見るのも、終わりかもしれない。
そう思った時だ。
部長に、何気ない一言を掛けられた。
「今日は、泊まりでいいよね。」
一旦治まったと言うのに、また心臓が早く動きだす。
「高杉?」
「は、はい。」
鍵を受け取った部長と、エレベーターに乗る。
ー 泊まりでいいよね -
その一言の意味を、どう受取ればいいのか。
エレベーターが動いている間、ずっと部長の顔を見れなかった。
「もうすぐ着くよ。」
ふいに部長を見ると、彼と目が合って、恥ずかし買いもなく、見つめ合ってしまった。
部屋に着いたら、この人に抱かれる。
ドキドキして、心臓が口から出そうになった。
どうしてこんなに、緊張するの?
自分を落ち着かせようと、胸に手を当てた。
「あー、疲れた。」
だが部長は部屋に着いた途端、椅子に体を投げ入れた。
いつもは、ホテルに入ると、キスで責めてくるくせに。
「怒ってるんですか?」
「えっ?」
「他の男とヤッてたから、怒っているんですか?」
私は率直に、部長に尋ねた。
「だったら、素直に怒って貰った方が、すっきりします!」
じーっと見つめる私に、部長はフッと鼻で笑った。
「何が可笑しいんですか!」
「いや、年下の女性に、こうも気持ちを見透かされていたとはね。」
「えっ……」
すると部長は、私を抱き寄せた。
「君の言う通りだ。君を他の男が抱いているかと思うと、腸が煮えくり返えそうになる。」
「部長?」
「驚くんだ。自分の中に、こんなにも嫉妬に似た、熱い感情があるだなんて。」
「あっ……」
部長の舌が、首筋を這って、快感が教え寄せて来た。
「部、部長……」
アッと言う間に、部長に押し倒されて、私はその手で、裸にされた。
「もう、他の男に抱かれるな。」
熱い瞳が、私を包む。
「いいな。」
「あっ!」
部長と一つに繋がると、火傷しそうなくらいに、熱かった。
「部長……熱い……」
「そんな事言うな。自制が効かなくなる。」
そうは言っても、私達は男と女で、熱を分け合うには、激しさが必要だった。
「あっ、あっ、あっ!部長……もうダメ……!」
「いいよ、環奈。一緒にいこう……」
「部長……あっ、ああああー!」
激しさの後に、一気に奥に突かれて、私達は一緒に絶頂へと上り詰めた。
その後には、部長の腕枕が待っていた。
「絶対に、溺れない自信はあったんだ。」
「ふふふっ……」
少しだけ拗ねた部長の表情が、可愛らしく見えた。
「今は、はっきり言える。環奈、好きだ。」
「私もです、部長……」
こんな恋が欲しかった。
好きで好きで、たまらない人。
欲しくて欲しくて、たまらない人。
これからはずっと、部長の側にいますね。
ー Fin -
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