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現実の世界
③
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「紅葉。また砂漠の国の事、思い出してたの?」
光清に言われ、涙が滲み出る。
「ごめん。忘れなきゃいけないって、分かってるんだけど。」
光清とときわが、頭を横に振った。
「いいんだよ。」
二人は夢を忘れられずにいる私を、温かく見守ってくれた。
「そうだ。せっかくなんだからさ。紅葉に砂漠の国での出来事を語って貰おうよ。」
ときわは、めちゃくちゃ楽しそうだ。
「はあ?なんで紅葉が辛くなっている原因を、わざわざ掘り出さなきゃいけないんだよ。」
光清は、もうキレ気味。
「バカだね。それで紅葉の気持ちの整理がついて、今よりも元気になるかもしれないじゃん。」
「あっ、そうか!頭いいな、ときわ。よし!紅葉。砂漠の国の話、聞かせてくれ。」
普通だったら、砂漠の国へ行ったなんて、誰も信じないって言うのに。
あたかも私がどこかに旅行してきたかのように、話してくれる。
さすがは、ときわと光清だよ。
「どこまで、二人に話したっけ。」
いつまでも、落ち込んでいられない。
私も、二人に話すことで、気持ちが楽になるかもしれない。
「確か、紅葉が好きな王子様に、これまた好きな人がいるってとこだね。」
ときわは、鮮明に話を覚えていた。
「そんで、俺が引き留めるのも聞かずに、紅葉はその男の元へ行ったんだな。」
光清は、思い出して不機嫌になっている。
「で?うまくその王子様と再会したの?」
でも、二人ともワクワクしている。
まあ、その方が話しやすいけどね。
「うん、会えた。その前にハーキムさんに会ったんだけどね。」
「ハーキムさん!?」
ときわと光清は、お互い顔を見合せながら、必死にハーキムさんを思い出している。
そう。
私の代わりに地下牢に入っていたハーキムさん。
その後、ラナーに出会って。
ラナーに衣装を借りて、ジャラールさんを待つ女の人達の群れに、加わったんだっけ。
「ちょっと待って。」
光清が、話を止めた。
「スケスケの衣装!?紅葉が!?」
「うん。周りの人、みんな着てたよ。」
「そういう問題じゃないだろう!スケスケの衣装を着て、王子が通る廊下に並ぶって言うのは!」
「知ってるよ、光清。」
興奮する光清を宥めた。
「要するに、夜Hする相手に私を選んで下さいって言う意味でしょ?」
「!!」
ときわも光清も、ゴッホの叫びみたいな顔になっている。
「どうしよう。紅葉が大人になっている。」
「もしかして、もしかして‼紅葉は、その王子様に‼」
そう言った光清は、前屈みになって倒れた。
「いや。確かにジャラールさんの部屋に行ったけと、何もなかったよ。」
「ホントか?」
さっきまで倒れていた光清が、起き上がる。
「うん。ソファーで寝るって、部屋出てったし。」
その言葉に、光清は涙を拭く真似をした。
「よ、よかった~」
「はいはい。よかったね、光清。」
光清に言われ、涙が滲み出る。
「ごめん。忘れなきゃいけないって、分かってるんだけど。」
光清とときわが、頭を横に振った。
「いいんだよ。」
二人は夢を忘れられずにいる私を、温かく見守ってくれた。
「そうだ。せっかくなんだからさ。紅葉に砂漠の国での出来事を語って貰おうよ。」
ときわは、めちゃくちゃ楽しそうだ。
「はあ?なんで紅葉が辛くなっている原因を、わざわざ掘り出さなきゃいけないんだよ。」
光清は、もうキレ気味。
「バカだね。それで紅葉の気持ちの整理がついて、今よりも元気になるかもしれないじゃん。」
「あっ、そうか!頭いいな、ときわ。よし!紅葉。砂漠の国の話、聞かせてくれ。」
普通だったら、砂漠の国へ行ったなんて、誰も信じないって言うのに。
あたかも私がどこかに旅行してきたかのように、話してくれる。
さすがは、ときわと光清だよ。
「どこまで、二人に話したっけ。」
いつまでも、落ち込んでいられない。
私も、二人に話すことで、気持ちが楽になるかもしれない。
「確か、紅葉が好きな王子様に、これまた好きな人がいるってとこだね。」
ときわは、鮮明に話を覚えていた。
「そんで、俺が引き留めるのも聞かずに、紅葉はその男の元へ行ったんだな。」
光清は、思い出して不機嫌になっている。
「で?うまくその王子様と再会したの?」
でも、二人ともワクワクしている。
まあ、その方が話しやすいけどね。
「うん、会えた。その前にハーキムさんに会ったんだけどね。」
「ハーキムさん!?」
ときわと光清は、お互い顔を見合せながら、必死にハーキムさんを思い出している。
そう。
私の代わりに地下牢に入っていたハーキムさん。
その後、ラナーに出会って。
ラナーに衣装を借りて、ジャラールさんを待つ女の人達の群れに、加わったんだっけ。
「ちょっと待って。」
光清が、話を止めた。
「スケスケの衣装!?紅葉が!?」
「うん。周りの人、みんな着てたよ。」
「そういう問題じゃないだろう!スケスケの衣装を着て、王子が通る廊下に並ぶって言うのは!」
「知ってるよ、光清。」
興奮する光清を宥めた。
「要するに、夜Hする相手に私を選んで下さいって言う意味でしょ?」
「!!」
ときわも光清も、ゴッホの叫びみたいな顔になっている。
「どうしよう。紅葉が大人になっている。」
「もしかして、もしかして‼紅葉は、その王子様に‼」
そう言った光清は、前屈みになって倒れた。
「いや。確かにジャラールさんの部屋に行ったけと、何もなかったよ。」
「ホントか?」
さっきまで倒れていた光清が、起き上がる。
「うん。ソファーで寝るって、部屋出てったし。」
その言葉に、光清は涙を拭く真似をした。
「よ、よかった~」
「はいはい。よかったね、光清。」
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