16 / 32
眠れない日
①
しおりを挟む
待って!
ハーキムさんは悪くない‼
私は、宝石なんて盗んでない!
ジャラールさん!!
「紅葉!しっかりしろ!」
強く揺らされて、目を開けた。
「光……清?」
「よかった~どうなるかと思った。」
光清が後ろへ倒れ込む。
「本当にもう、心配したんだからね。」
その隣には、ときわもいる。
「ときわ……」
「ときわ~じゃないよ!いくら起こしても起きないし。泣き叫び出すし!」
泣き叫ぶ?
私が?
ああ、思い出した。
持っていたペンダントが、探していた宝石だと、疑われて。
ハーキムさんはそんな私をかばって、ジャラールさんに殺されそうになったんだ。
私は体を横にして、顔を両手で覆った。
後から後から涙が溢れてくる。
「紅葉?」
ときわが心配して、私の顔を覗く。
「ごめん。何でもないの。」
そう答えた私に、光清が低い声で尋ねる。
「また夢の中で、あいつらと会ったんだろう?」
光清の言葉に、涙が止まる。
「えっ?何?あいつらって。」
ときわだけが、まだ状況を飲み込めていない様子だった。
「前、紅葉が夢の中でイケメンと会っているって、言ってただろう?」
「うん、言ってた。」
「そいつらだよ。夢の中での出来事じゃない。紅葉は眠っている時に、本当に会ってるんだよ。」
ときわからは、返事がない。
多分唖然としているんだと思う。
「紅葉。何があったんだ。本当の事を教えてくれ。」
教えたくない。
だって分からない。
話す事全て信じて貰えるか。
「紅葉!」
顔を両手で覆っていても、光清が心配して私の顔を覗いてくれているのが分かる。
「お願いだ!紅葉!」
体を光清に揺らされる。
それでも返事ができない。
「……どうしてなんだよ。俺には話せない理由でもあるのかよ。」
光清の涙ぐむ声が聞こえる。
「なあ!紅葉!!答えてくれよ‼」
光清に激しく揺らされる中、急にそれが止まった。
「光清、私に任せて。」
ときわが止めてくれた。
「私なら紅葉も話せるかもしれないし。」
すると光清が私から離れ、部屋を出ていく音がした。
「さあて紅葉。光清、いなくなったよ。話してごらん。」
それでも私は、だったらと話せる気分にはならなかった。
「なあに気にしてんの?」
ときわは、いつもと同じように話しかけてくる。
「私は、紅葉の言った事、全部信じるよ。」
その一言が、私の固くなった心を解きほぐす。
「……嘘だとか、妄想だと思わない?」
「当たり前じゃん。だって実際、紅葉が見て経験してきたことでしょ?」
私はその言葉で、やっと起き上がる事ができた。
「ワオ!ひどい顔。相当な経験だね。」
私は少しだけ微笑んだ。
「じゃあ、最初から話して。」
「最初から?」
「うん。なんでそんな貴重な経験が、紅葉の身に起こるようになったのか。」
私は、図書室での出来事を思い出した。
「……修学旅行に来る前に、図書室で下見したでしょう?」
「うんうん、した。」
「その時に、図書室の奥で例の本をみつけたの。」
「ああ、アラビア語で書いてあるって言ってた?」
私は、小さく頷いた。
「帰り際、宝石の付いたペンダントを拾って……。」
「ペンダント……」
その時、枕の端からペンダントのチェーンが見えた。
それを手に取る。
「もしかして、それ?」
「うん。」
これを見た時の、ジャラールさんの顔を思い出す。
これがここにあると言う事は、ジャラールさんの元から、これは無くなってしまったんだろうか。
「これがいつの間にか、スカートの中に入っていて……それで夢を見たの。」
「イケメン二人に、会う夢ね。」
私は頷きながら、すっかりときわのペースに、はまりまくっていた。
「二人は将来の女王になる人を、病から救う為に、この宝石を探して、オアシスまで行く途中だった。」
イケメンの片方は王子で、もう一人は王子の付き人である事。
将来の女王は、王子の母親違いの妹だけれど、二人は愛し合っている事。
途中で穴の中に引きずり込まれたけれど、それは事前に本で読んでいたから、二人を救う事ができた事を話した。
「なんか不思議だね。本の中と経験がリンクしてるなんて。」
「うん。」
「しっかし、その王子も苦労人だね。妹を好きになって結ばれないのに、愛し合っちゃうなんてさ。」
「苦労人?」
「そう。恋が実らないなんて、この世の半分の苦労を背負っているみたいなもんだよ。」
ときわらしい言葉に、いつもなら笑っていた。
でも、今はジャラールさんの事を思い出してしまう。
「おおっと!どうしたあ?」
ときわが慌てて、背中を擦ってくれた。
「本当だよね。恋が実らないって、辛くて辛くて仕方ないよね。」
「ええ~ええ~それは~光清の事じゃないよね。」
「うん!」
私は、泣きじゃくりながら、心の内をときわに伝えた。
「わ、私の好きな人っっ、その王子様なの!」
「えっ?」
「普段は優しくて親切なのに、その女王様の事になると、人が変わったみたいにはりきって……ああ、私がどんなに頑張っても、その人には敵わないんだなあって思うと……悲しくて悲しくて。」
話しているうちに、嗚咽が止まらない。
「それで肝心のオアシスに着いたら、このペンダントの宝石が二人の探していたモノだって、分かって……」
「それまで知らなかったの!?」
「まさか自分が持っているモノだなんて!でも一番辛いのが、その好きな王子様に、私がその宝石を盗んだんじゃないかって、疑われて……」
その時、部屋の扉が開いた。
「光清……」
私が名前を呼ぶと、光清は部屋の中に入って来て、私を突然抱き締めた。
「ごめん。扉の外側で話聞いてた。」
「えっ!?」
「紅葉、もう寝るな!」
あまりにも突拍子のない提案に、私とときわは顔を合わせた。
「寝るからそんな辛い思いをするんだ。俺、紅葉を絶対に寝せない。」
「光清……」
「だからそんな男の事、忘れろよ!他の女を第一に考えているような奴、紅葉には相応しくない‼」
なんて力強い気持ちなんだろう。
まだ分からないけれど、これが男の人に愛されるって事なんだろうか。
朝からいい匂いがする光清の背中に、そっと腕を回そうとすると、光清の肩の向こうにときわのニヤついた顔が見えた。
「ときわ?」
「ぷぷぷっ。お二人さん、お熱いね。寝せないなんて高校生が言うセリフ?」
途端に光清と二人で恥ずかしくなって、すぐに体を離した。
「あっ、いや、ごめん。つい……」
「ううん。私の方こそ……」
なんだか光清の顔が見れない。
「それにしても、いつまで寝かせないつもり?」
「えっ、ああ……」
「紅葉は寝ているようで、違う世界に行っている。その間、脳みそは休んでいないから、いつもよりも眠気に襲われるはずよ。」
ときわに言われている隙に、私は生欠伸が絶えない。
「いつまでって……いつまでなんだ……」
光清が考え込む。
その間にコクっとなって、一瞬砂漠の世界が見える。
「紅葉!」
光清に起こされ、こっちの世界に戻ってきた。
「あっ……」
「危ない。」
そんな私と光清を見ても、ときわは冷静だ。
「そうやって紅葉が眠りそうになったら、起こし続けるわけ?」
「じゃあ、どうすればいいんだよ。」
半分逆ギレ気味な光清に、ときわは頭を抱えて考える。
「ずっと動き続けたら?」
「動き続ける?」
「立ちながらでも寝れるって言うけど、それって止まってるからじゃん。動きながら寝た人っていないでしょ。」
光清はポンッと手を叩いた。
「それ、いい。ときわ、頭いいな。」
二人は盛り上がっているけれど、私は何とも言えない。
眠るなって言うけれど、このとてつもなく眠い中で、眠らないでいるなんて有り得ない程難しい。
そんな中、担任の神崎先生が部屋に乱入。
「まだ着替えてないの?早くしないと、置いて行くわよ?」
いっそ置いて行ってほしいと思うけど、いかんいかん。
ここは旅館なのだ。
「すみません。急いで準備します。」
現れた光清の無駄な色気に、神崎先生もメロメロ。
「いいのよ。バスの中で待ってるからね。」
メロメロになりながら、神崎先生は行ってしまった。
「じゃあ二人共、準備ができたらバスで落ち合おう。」
「おう!」
ときわが右手を高く上げる。
「紅葉は?」
光清とときわが私をそっと見つめる。
「お、おう?」
私は小さく右手を上げた。
それを合図に、それぞれ行動を始める。
さしずめ、私とときわは着替えからだ。
「ごめんね、ときわ。面倒臭い事に巻き込んで。」
ときわは笑って見せた。
「そんなの言いっ子無し。友達なら当たり前じゃん。」
お互い着替えながら、二人で笑い合った。
ありがとう、ときわ。
ものすごく友情を感じるよ。
着替えが終わった私達は、クラスのみんなが待つ、バスに乗り込んだ。
「はい。じゃあ、みんな乗ったわね。出発!」
神崎先生の号令で、バスはホテルを離れて行く。
「今日はみんな、お待ちかねの金閣寺に向かうわよ~」
なせが神崎先生は、張り切っている。
「確か神崎ちゃんの実家、こっちだよな。」
「あらま。いいところに住んでいるのね~」
光清とときわは、途端に嫉妬の火花、バチバチ。
一般市民の私は、関わらないように知らない振り。
でもちょっと気が緩むと、瞼が重くなる。
本当はジャラールさんに会いたい。
疑われてても、ネシャートさんを思っていても、好きな気持ちには変わりない。
ジャラールさん……
ハーキムさんは悪くない‼
私は、宝石なんて盗んでない!
ジャラールさん!!
「紅葉!しっかりしろ!」
強く揺らされて、目を開けた。
「光……清?」
「よかった~どうなるかと思った。」
光清が後ろへ倒れ込む。
「本当にもう、心配したんだからね。」
その隣には、ときわもいる。
「ときわ……」
「ときわ~じゃないよ!いくら起こしても起きないし。泣き叫び出すし!」
泣き叫ぶ?
私が?
ああ、思い出した。
持っていたペンダントが、探していた宝石だと、疑われて。
ハーキムさんはそんな私をかばって、ジャラールさんに殺されそうになったんだ。
私は体を横にして、顔を両手で覆った。
後から後から涙が溢れてくる。
「紅葉?」
ときわが心配して、私の顔を覗く。
「ごめん。何でもないの。」
そう答えた私に、光清が低い声で尋ねる。
「また夢の中で、あいつらと会ったんだろう?」
光清の言葉に、涙が止まる。
「えっ?何?あいつらって。」
ときわだけが、まだ状況を飲み込めていない様子だった。
「前、紅葉が夢の中でイケメンと会っているって、言ってただろう?」
「うん、言ってた。」
「そいつらだよ。夢の中での出来事じゃない。紅葉は眠っている時に、本当に会ってるんだよ。」
ときわからは、返事がない。
多分唖然としているんだと思う。
「紅葉。何があったんだ。本当の事を教えてくれ。」
教えたくない。
だって分からない。
話す事全て信じて貰えるか。
「紅葉!」
顔を両手で覆っていても、光清が心配して私の顔を覗いてくれているのが分かる。
「お願いだ!紅葉!」
体を光清に揺らされる。
それでも返事ができない。
「……どうしてなんだよ。俺には話せない理由でもあるのかよ。」
光清の涙ぐむ声が聞こえる。
「なあ!紅葉!!答えてくれよ‼」
光清に激しく揺らされる中、急にそれが止まった。
「光清、私に任せて。」
ときわが止めてくれた。
「私なら紅葉も話せるかもしれないし。」
すると光清が私から離れ、部屋を出ていく音がした。
「さあて紅葉。光清、いなくなったよ。話してごらん。」
それでも私は、だったらと話せる気分にはならなかった。
「なあに気にしてんの?」
ときわは、いつもと同じように話しかけてくる。
「私は、紅葉の言った事、全部信じるよ。」
その一言が、私の固くなった心を解きほぐす。
「……嘘だとか、妄想だと思わない?」
「当たり前じゃん。だって実際、紅葉が見て経験してきたことでしょ?」
私はその言葉で、やっと起き上がる事ができた。
「ワオ!ひどい顔。相当な経験だね。」
私は少しだけ微笑んだ。
「じゃあ、最初から話して。」
「最初から?」
「うん。なんでそんな貴重な経験が、紅葉の身に起こるようになったのか。」
私は、図書室での出来事を思い出した。
「……修学旅行に来る前に、図書室で下見したでしょう?」
「うんうん、した。」
「その時に、図書室の奥で例の本をみつけたの。」
「ああ、アラビア語で書いてあるって言ってた?」
私は、小さく頷いた。
「帰り際、宝石の付いたペンダントを拾って……。」
「ペンダント……」
その時、枕の端からペンダントのチェーンが見えた。
それを手に取る。
「もしかして、それ?」
「うん。」
これを見た時の、ジャラールさんの顔を思い出す。
これがここにあると言う事は、ジャラールさんの元から、これは無くなってしまったんだろうか。
「これがいつの間にか、スカートの中に入っていて……それで夢を見たの。」
「イケメン二人に、会う夢ね。」
私は頷きながら、すっかりときわのペースに、はまりまくっていた。
「二人は将来の女王になる人を、病から救う為に、この宝石を探して、オアシスまで行く途中だった。」
イケメンの片方は王子で、もう一人は王子の付き人である事。
将来の女王は、王子の母親違いの妹だけれど、二人は愛し合っている事。
途中で穴の中に引きずり込まれたけれど、それは事前に本で読んでいたから、二人を救う事ができた事を話した。
「なんか不思議だね。本の中と経験がリンクしてるなんて。」
「うん。」
「しっかし、その王子も苦労人だね。妹を好きになって結ばれないのに、愛し合っちゃうなんてさ。」
「苦労人?」
「そう。恋が実らないなんて、この世の半分の苦労を背負っているみたいなもんだよ。」
ときわらしい言葉に、いつもなら笑っていた。
でも、今はジャラールさんの事を思い出してしまう。
「おおっと!どうしたあ?」
ときわが慌てて、背中を擦ってくれた。
「本当だよね。恋が実らないって、辛くて辛くて仕方ないよね。」
「ええ~ええ~それは~光清の事じゃないよね。」
「うん!」
私は、泣きじゃくりながら、心の内をときわに伝えた。
「わ、私の好きな人っっ、その王子様なの!」
「えっ?」
「普段は優しくて親切なのに、その女王様の事になると、人が変わったみたいにはりきって……ああ、私がどんなに頑張っても、その人には敵わないんだなあって思うと……悲しくて悲しくて。」
話しているうちに、嗚咽が止まらない。
「それで肝心のオアシスに着いたら、このペンダントの宝石が二人の探していたモノだって、分かって……」
「それまで知らなかったの!?」
「まさか自分が持っているモノだなんて!でも一番辛いのが、その好きな王子様に、私がその宝石を盗んだんじゃないかって、疑われて……」
その時、部屋の扉が開いた。
「光清……」
私が名前を呼ぶと、光清は部屋の中に入って来て、私を突然抱き締めた。
「ごめん。扉の外側で話聞いてた。」
「えっ!?」
「紅葉、もう寝るな!」
あまりにも突拍子のない提案に、私とときわは顔を合わせた。
「寝るからそんな辛い思いをするんだ。俺、紅葉を絶対に寝せない。」
「光清……」
「だからそんな男の事、忘れろよ!他の女を第一に考えているような奴、紅葉には相応しくない‼」
なんて力強い気持ちなんだろう。
まだ分からないけれど、これが男の人に愛されるって事なんだろうか。
朝からいい匂いがする光清の背中に、そっと腕を回そうとすると、光清の肩の向こうにときわのニヤついた顔が見えた。
「ときわ?」
「ぷぷぷっ。お二人さん、お熱いね。寝せないなんて高校生が言うセリフ?」
途端に光清と二人で恥ずかしくなって、すぐに体を離した。
「あっ、いや、ごめん。つい……」
「ううん。私の方こそ……」
なんだか光清の顔が見れない。
「それにしても、いつまで寝かせないつもり?」
「えっ、ああ……」
「紅葉は寝ているようで、違う世界に行っている。その間、脳みそは休んでいないから、いつもよりも眠気に襲われるはずよ。」
ときわに言われている隙に、私は生欠伸が絶えない。
「いつまでって……いつまでなんだ……」
光清が考え込む。
その間にコクっとなって、一瞬砂漠の世界が見える。
「紅葉!」
光清に起こされ、こっちの世界に戻ってきた。
「あっ……」
「危ない。」
そんな私と光清を見ても、ときわは冷静だ。
「そうやって紅葉が眠りそうになったら、起こし続けるわけ?」
「じゃあ、どうすればいいんだよ。」
半分逆ギレ気味な光清に、ときわは頭を抱えて考える。
「ずっと動き続けたら?」
「動き続ける?」
「立ちながらでも寝れるって言うけど、それって止まってるからじゃん。動きながら寝た人っていないでしょ。」
光清はポンッと手を叩いた。
「それ、いい。ときわ、頭いいな。」
二人は盛り上がっているけれど、私は何とも言えない。
眠るなって言うけれど、このとてつもなく眠い中で、眠らないでいるなんて有り得ない程難しい。
そんな中、担任の神崎先生が部屋に乱入。
「まだ着替えてないの?早くしないと、置いて行くわよ?」
いっそ置いて行ってほしいと思うけど、いかんいかん。
ここは旅館なのだ。
「すみません。急いで準備します。」
現れた光清の無駄な色気に、神崎先生もメロメロ。
「いいのよ。バスの中で待ってるからね。」
メロメロになりながら、神崎先生は行ってしまった。
「じゃあ二人共、準備ができたらバスで落ち合おう。」
「おう!」
ときわが右手を高く上げる。
「紅葉は?」
光清とときわが私をそっと見つめる。
「お、おう?」
私は小さく右手を上げた。
それを合図に、それぞれ行動を始める。
さしずめ、私とときわは着替えからだ。
「ごめんね、ときわ。面倒臭い事に巻き込んで。」
ときわは笑って見せた。
「そんなの言いっ子無し。友達なら当たり前じゃん。」
お互い着替えながら、二人で笑い合った。
ありがとう、ときわ。
ものすごく友情を感じるよ。
着替えが終わった私達は、クラスのみんなが待つ、バスに乗り込んだ。
「はい。じゃあ、みんな乗ったわね。出発!」
神崎先生の号令で、バスはホテルを離れて行く。
「今日はみんな、お待ちかねの金閣寺に向かうわよ~」
なせが神崎先生は、張り切っている。
「確か神崎ちゃんの実家、こっちだよな。」
「あらま。いいところに住んでいるのね~」
光清とときわは、途端に嫉妬の火花、バチバチ。
一般市民の私は、関わらないように知らない振り。
でもちょっと気が緩むと、瞼が重くなる。
本当はジャラールさんに会いたい。
疑われてても、ネシャートさんを思っていても、好きな気持ちには変わりない。
ジャラールさん……
1
あなたにおすすめの小説
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。
猫屋敷 むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で――
私の願いは一瞬にして踏みにじられました。
母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、
婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。
「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」
まさか――あの優しい彼が?
そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。
子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。
でも、私には、味方など誰もいませんでした。
ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。
白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。
「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」
やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。
それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、
冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。
没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。
これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。
※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ
※わんこが繋ぐ恋物語です
※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
【完結】悪役令嬢は婚約破棄されたら自由になりました
きゅちゃん
ファンタジー
王子に婚約破棄されたセラフィーナは、前世の記憶を取り戻し、自分がゲーム世界の悪役令嬢になっていると気づく。破滅を避けるため辺境領地へ帰還すると、そこで待ち受けるのは財政難と魔物の脅威...。高純度の魔石を発見したセラフィーナは、商売で領地を立て直し始める。しかし王都から冤罪で訴えられる危機に陥るが...悪役令嬢が自由を手に入れ、新しい人生を切り開く物語。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
【完結】以上をもちまして、終了とさせていただきます
楽歩
恋愛
異世界から王宮に現れたという“女神の使徒”サラ。公爵令嬢のルシアーナの婚約者である王太子は、簡単に心奪われた。
伝承に語られる“女神の使徒”は時代ごとに現れ、国に奇跡をもたらす存在と言われている。婚約解消を告げる王、口々にルシアーナの処遇を言い合う重臣。
そんな混乱の中、ルシアーナは冷静に状況を見据えていた。
「王妃教育には、国の内部機密が含まれている。君がそれを知ったまま他家に嫁ぐことは……困難だ。女神アウレリア様を祀る神殿にて、王家の監視のもと、一生を女神に仕えて過ごすことになる」
神殿に閉じ込められて一生を過ごす? 冗談じゃないわ。
「お話はもうよろしいかしら?」
王族や重臣たち、誰もが自分の思惑通りに動くと考えている中で、ルシアーナは静かに、己の存在感を突きつける。
※39話、約9万字で完結予定です。最後までお付き合いいただけると嬉しいですm(__)m
親友面した女の巻き添えで死に、転生先は親友?が希望した乙女ゲーム世界!?転生してまでヒロイン(お前)の親友なんかやってられるかっ!!
音無砂月
ファンタジー
親友面してくる金持ちの令嬢マヤに巻き込まれて死んだミキ
生まれ変わった世界はマヤがはまっていた乙女ゲーム『王女アイルはヤンデレ男に溺愛される』の世界
ミキはそこで親友である王女の親友ポジション、レイファ・ミラノ公爵令嬢に転生
一緒に死んだマヤは王女アイルに転生
「また一緒だねミキちゃん♡」
ふざけるなーと絶叫したいミキだけど立ちはだかる身分の差
アイルに転生したマヤに振り回せながら自分の幸せを掴む為にレイファ。極力、乙女ゲームに関わりたくないが、なぜか攻略対象者たちはヒロインであるアイルではなくレイファに好意を寄せてくる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる