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眠れない日
②
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コクっといった時だ。
一瞬見えた砂漠の世界。
恐らく二人は帰路についているはずなのに、なぜか大きな建物の中にいる。
どこ?ここ……
「紅葉!」
光清に起こされて、現実に戻った。
「よかった。また寝たかと思った。」
バスの中で相変わらず光清は、私の隣に座っている。
でもあの場面を見てしまったら、そのまま知らない振りはできない。
「光清。」
「ん?」
「物語の世界が……」
私は頭を押さえた。
「どうした?紅葉。」
心配してくれている光清は、私の顔を覗く。
「今、二人は砂漠の中を、帰っているはずだと思っていたのに……」
「えっ?」
「もう宮殿に帰っているの。」
光清は状況が分からないのに、必死に理解してくれようとしている。
「それは……」
「私がいないのに、物語が進んでいるの。」
光清はバッグの中から、あの物語の本を出し、ペラペラと本を捲り始めた。
「一番最後は確か……宝石が見つかったところって言ってたよね。」
「うん。」
光清があるページで、手を止めた。
「ここだ。」
光清はそのページを、私に見せてくれた。
「本では、ハーキムと言う人物が、その宝石を隠し持っていたとされている。」
「えっ?」
私は、その本を手に持つと前後のページも捲って見た。
「ハーキムさんが!?」
そして思い知らされる。
そこには、私が存在していない事を。
「私がいない。」
あんなに二人と話したり、助け合ったり、胸が苦しくなったりした事が、実際ここではなかった事にされている。
悲しい。
所詮ここでの私の存在は、何だったんだろう。
「この後、二人はハーキムって人が持っていた宝石を持って宮殿に帰ったとされている。」
確かジャラールさんが、時間がかかるけれども付いてきてほしいと言ってたって。
でもそれも、私のいない間に、簡単に進んでいたなんて。
「もういいよ、光清。」
私は、持っている本を光清に返した。
「光清の言うとおり、私はこの世界に行かない方がいいのかもね。よし!とりあえず修学旅行が終わるまで、私、寝ないように頑張る。」
振り切ったかのように見せかけて、次の目的地の準備をした。
着いた場所は金閣寺。
さすが修学旅行。
これぞザ・京都って言う場所を回る。
「はい、紅葉。」
光清が缶コーヒーをくれた。
「えっ!どこで買ったの?」
「あそこ。」
指差したのは、近くにある自販機。
「眠気覚まし。」
そう言って、ぐびぐびっと飲み始める。
自由過ぎるよ、光清。
だけど眠気には勝てない。
私も一緒に、缶コーヒーを飲み始めた。
「あっ、美味しい。」
「だろう?俺、ここの缶コーヒー、好きなんだよ。」
光清が屈託のない笑顔を見せてくれる。
この笑顔に、どれくらいの人が、心を奪われてるんでしょうね。
すると光清の肩越しに、見た事がある顔が、私をじっと見つめている。
あれは確か、昨日の夜。
光清と浴衣デートをした子じゃないか?
「あのさ、光清。」
「ん?」
「昨日の夜、女の子と一緒にいなかった?」
「うん。」
あっさり認めた。
と言うか、女の子とデートに行く瞬間に、チラッとこっちを見ていたのは知っているけどね。
「どこに行ったの?」
「最上階のロビー。」
「何しに?」
「星、見てた。」
好きな人と見る星空。
さぞかしロマンチックだったろうな。
あの女の子にとっては。
「で?どうだったの?」
その時、光清がニヤリとする。
「気になる?」
これ、光清の作戦?
「う~ん。気にはならないけど、さっきから視線が痛いんだよね。」
「えっ?」
光清が振り返ると、女の子もどこかに行ってしまった。
「ごめん。気がつかなかった。」
「いや、別に光清のせいじゃないし。」
「あの子とは何にもないよ。星見て終わっただけ。」
光清の真剣な顔。
好きじゃなくても、キュン死するだろう、これ。
「うん。」
とりあえず返事をして、これ以上キュン死しないようにクラスのみんなと一緒に移動。
敷地の中を歩いて、ついに金閣寺の前に到着。
あの誰しもが写真で見ている、あの光景だ。
「綺麗……」
黄金で飾られたお寺は、見る者を圧倒する。
「見るのは初めて?」
「うん、初めて。」
そう言って、じっと光清と二人、黄金のお寺を見ていると、一瞬それが黄金の宮殿に切り替わる。
「おっと!」
光清の一声に、宮殿はお寺に戻った。
「えっ?」
自分が信じられなくて、目を擦る。
「危なかったね。」
隣にいる光清は、ニコニコ。
どうやら私は、また眠りそうになったらしい。
「そうだ。お寺の裏側に行けるんだ。見に行こうよ。」
そう言うと、光清は私の腕を引いて、池の端にやってきた。
ドキッとする。
この風景、あの"碧のオアシス"に似ているから。
「ここから登るんだよ。」
そこには階段があって、光清の後に続いて、登り始めた。
少しずつ、湖面が遠ざかっていく。
金閣寺の側面も見えてきた。
そこだけが、別世界。
昔の人もそれを望んで、金閣寺を建てたのかな。
「紅葉。どう?」
「うん。綺麗だよ。連れて来てくれて有難う。」
やがて金閣寺の裏側が、目に飛び込んできた。
「ええ!全然印象が違う。」
「でしょう?驚いた?」
日差しが金閣寺に当たって、キラキラ光っている。
「眩しい……」
右手で顔を覆った時だ。
左下に沼の中で動く物を、見つけた。
魚?
だけどそれが、こっちを向いた時、背中がゾッとした。
人……
長い髪の女性が、沼の中から私を見ている。
「きゃああ!」
怖くて両手で顔を覆う。
「紅葉!」
光清が私の肩を掴んでくれた。
ふと力が抜け、暗い視界の中に、オアシスが見える。
『目が覚めましたか?』
その声に体を起こすと、鳥肌が立った。
沼の中で見た女性が、目の前にいるからだ。
しかもオアシスの中に、浮いている。
『怖がる事はありません。私は、遥か昔からこの中に住む者。そなた達には妖精と呼ばれています。』
「あなたが、オアシスの……本当にいたんだ。」
『見える者と見えない者がいるそうです。そなたには私が見えるようでよかった。』
心無しか、微笑んでいるように見えた。
『それよりも、そなたに伝えてほしい事があるのです。』
「私に?」
自分を指差すと、その女性は頷く。
どうやら嘘では、なかったようだ。
『この前、ここに来た若者に伝えてほしい。』
「……ジャラールさんにですか?」
『もう私に忠誠を尽くさなくてもよいのです。私を信じてくれた人々の国が無くなってしまった事は、既に分かっているのです。』
「えっ?」
『だからもうよいのです。これからは、私の為ではなく自分達の国を大事にして下さいと……』
そう言うと、その女性はだんだん、オアシスの中に沈んでいく。
「待って‼だとしたら、宝石のペンダントは!?」
『必要ありません。それがなくても皆の心は、一つにまとまる事ができるでしょう。』
女性は更に沈んでいく。
「ネシャートさんは‼ペンダントがないと、彼女は‼」
私は有りたっけの力を振り絞って、手を伸ばす。
『あの者が病に伏せっている理由は、他にあります。』
「えっ!」
『彼女の回りにあるはずです。』
そう言って、その女性は消えてしまった。
「…………そんな、私に言われても。」
そして、足元に手を付いた時だ。
何かが、砂に埋もれている。
掘り起こしてみると、それはジャラールさん達が持っていったはずのペンダントが。
『伝えて下さい。』
私は涙を流しながら、そのペンダントを手に取った。
「はあっ!!」
まるで溺れた後目が覚めた時のように、急に現実に戻された私。
「紅葉……」
側にいた光清は、目が覚めた私を見て、安心したのか後ろへ倒れ込んだ。
「よかった……いくら呼んでも動かないから、どうにかなってしまったのかと思った……」
光清。
また心配かけてごめんね、と言おうとした時だ。
手に何かある。
恐る恐るそれを見ると、やはり"あのペンダント"だった。
あの伝言は、本当だったんだ。
私はペンダントを、顔に当てた。
「光清。私、もう一度ジャラールさんに会わなきゃいけない。」
「えっ……」
「伝えてと、頼まれた事があるの。」
「ダメだ!!行くな!」
光清が大声を出す。
周りの人が、私達をジロジロと見ていく。
「もう寝るなって、あっちの世界に行くなって、言ったよな。」
「でも光清、」
「でもじゃない‼絶対にダメだ‼」
光清は厳しい顔しながら、涙ぐんでいた。
「紅葉、気づいてないかもしれないけど、眠りそうになる回数、前よりも増えた。修学旅行の前夜から例の夢を見ているんだったら、もう2日寝ていない事になる。人間の限界まできてるよ。」
眠っているのに、寝ていない。
それが確実に私の体を蝕んでいた。
「今は辛いけど、修学旅行が終わるまでだよ。頑張ろう。」
光清に手を引かれ、私は立ち上がる。
「行こう。ごめん、変な場所に連れて来た。」
「ううん。とっても綺麗な場所だよ。来てよかった。」
「そう。ならよかった。」
光清と二人で、また歩き出す。
金閣寺の前の沼は、普通に戻っている。
あれは、遠い異国からのメッセージ。
本当は伝えるべき。
でも私の体は限界に近い。
どちらを取ればいいか分からない。
その前に再び眠りについたら、私はどうなってしまうのか、それすらも分からない。
「ねえ、光清。全く寝れなくなった人って、どうなるのかな。」
光清は黙ったまま、私の手をギュウッと握った。
一瞬見えた砂漠の世界。
恐らく二人は帰路についているはずなのに、なぜか大きな建物の中にいる。
どこ?ここ……
「紅葉!」
光清に起こされて、現実に戻った。
「よかった。また寝たかと思った。」
バスの中で相変わらず光清は、私の隣に座っている。
でもあの場面を見てしまったら、そのまま知らない振りはできない。
「光清。」
「ん?」
「物語の世界が……」
私は頭を押さえた。
「どうした?紅葉。」
心配してくれている光清は、私の顔を覗く。
「今、二人は砂漠の中を、帰っているはずだと思っていたのに……」
「えっ?」
「もう宮殿に帰っているの。」
光清は状況が分からないのに、必死に理解してくれようとしている。
「それは……」
「私がいないのに、物語が進んでいるの。」
光清はバッグの中から、あの物語の本を出し、ペラペラと本を捲り始めた。
「一番最後は確か……宝石が見つかったところって言ってたよね。」
「うん。」
光清があるページで、手を止めた。
「ここだ。」
光清はそのページを、私に見せてくれた。
「本では、ハーキムと言う人物が、その宝石を隠し持っていたとされている。」
「えっ?」
私は、その本を手に持つと前後のページも捲って見た。
「ハーキムさんが!?」
そして思い知らされる。
そこには、私が存在していない事を。
「私がいない。」
あんなに二人と話したり、助け合ったり、胸が苦しくなったりした事が、実際ここではなかった事にされている。
悲しい。
所詮ここでの私の存在は、何だったんだろう。
「この後、二人はハーキムって人が持っていた宝石を持って宮殿に帰ったとされている。」
確かジャラールさんが、時間がかかるけれども付いてきてほしいと言ってたって。
でもそれも、私のいない間に、簡単に進んでいたなんて。
「もういいよ、光清。」
私は、持っている本を光清に返した。
「光清の言うとおり、私はこの世界に行かない方がいいのかもね。よし!とりあえず修学旅行が終わるまで、私、寝ないように頑張る。」
振り切ったかのように見せかけて、次の目的地の準備をした。
着いた場所は金閣寺。
さすが修学旅行。
これぞザ・京都って言う場所を回る。
「はい、紅葉。」
光清が缶コーヒーをくれた。
「えっ!どこで買ったの?」
「あそこ。」
指差したのは、近くにある自販機。
「眠気覚まし。」
そう言って、ぐびぐびっと飲み始める。
自由過ぎるよ、光清。
だけど眠気には勝てない。
私も一緒に、缶コーヒーを飲み始めた。
「あっ、美味しい。」
「だろう?俺、ここの缶コーヒー、好きなんだよ。」
光清が屈託のない笑顔を見せてくれる。
この笑顔に、どれくらいの人が、心を奪われてるんでしょうね。
すると光清の肩越しに、見た事がある顔が、私をじっと見つめている。
あれは確か、昨日の夜。
光清と浴衣デートをした子じゃないか?
「あのさ、光清。」
「ん?」
「昨日の夜、女の子と一緒にいなかった?」
「うん。」
あっさり認めた。
と言うか、女の子とデートに行く瞬間に、チラッとこっちを見ていたのは知っているけどね。
「どこに行ったの?」
「最上階のロビー。」
「何しに?」
「星、見てた。」
好きな人と見る星空。
さぞかしロマンチックだったろうな。
あの女の子にとっては。
「で?どうだったの?」
その時、光清がニヤリとする。
「気になる?」
これ、光清の作戦?
「う~ん。気にはならないけど、さっきから視線が痛いんだよね。」
「えっ?」
光清が振り返ると、女の子もどこかに行ってしまった。
「ごめん。気がつかなかった。」
「いや、別に光清のせいじゃないし。」
「あの子とは何にもないよ。星見て終わっただけ。」
光清の真剣な顔。
好きじゃなくても、キュン死するだろう、これ。
「うん。」
とりあえず返事をして、これ以上キュン死しないようにクラスのみんなと一緒に移動。
敷地の中を歩いて、ついに金閣寺の前に到着。
あの誰しもが写真で見ている、あの光景だ。
「綺麗……」
黄金で飾られたお寺は、見る者を圧倒する。
「見るのは初めて?」
「うん、初めて。」
そう言って、じっと光清と二人、黄金のお寺を見ていると、一瞬それが黄金の宮殿に切り替わる。
「おっと!」
光清の一声に、宮殿はお寺に戻った。
「えっ?」
自分が信じられなくて、目を擦る。
「危なかったね。」
隣にいる光清は、ニコニコ。
どうやら私は、また眠りそうになったらしい。
「そうだ。お寺の裏側に行けるんだ。見に行こうよ。」
そう言うと、光清は私の腕を引いて、池の端にやってきた。
ドキッとする。
この風景、あの"碧のオアシス"に似ているから。
「ここから登るんだよ。」
そこには階段があって、光清の後に続いて、登り始めた。
少しずつ、湖面が遠ざかっていく。
金閣寺の側面も見えてきた。
そこだけが、別世界。
昔の人もそれを望んで、金閣寺を建てたのかな。
「紅葉。どう?」
「うん。綺麗だよ。連れて来てくれて有難う。」
やがて金閣寺の裏側が、目に飛び込んできた。
「ええ!全然印象が違う。」
「でしょう?驚いた?」
日差しが金閣寺に当たって、キラキラ光っている。
「眩しい……」
右手で顔を覆った時だ。
左下に沼の中で動く物を、見つけた。
魚?
だけどそれが、こっちを向いた時、背中がゾッとした。
人……
長い髪の女性が、沼の中から私を見ている。
「きゃああ!」
怖くて両手で顔を覆う。
「紅葉!」
光清が私の肩を掴んでくれた。
ふと力が抜け、暗い視界の中に、オアシスが見える。
『目が覚めましたか?』
その声に体を起こすと、鳥肌が立った。
沼の中で見た女性が、目の前にいるからだ。
しかもオアシスの中に、浮いている。
『怖がる事はありません。私は、遥か昔からこの中に住む者。そなた達には妖精と呼ばれています。』
「あなたが、オアシスの……本当にいたんだ。」
『見える者と見えない者がいるそうです。そなたには私が見えるようでよかった。』
心無しか、微笑んでいるように見えた。
『それよりも、そなたに伝えてほしい事があるのです。』
「私に?」
自分を指差すと、その女性は頷く。
どうやら嘘では、なかったようだ。
『この前、ここに来た若者に伝えてほしい。』
「……ジャラールさんにですか?」
『もう私に忠誠を尽くさなくてもよいのです。私を信じてくれた人々の国が無くなってしまった事は、既に分かっているのです。』
「えっ?」
『だからもうよいのです。これからは、私の為ではなく自分達の国を大事にして下さいと……』
そう言うと、その女性はだんだん、オアシスの中に沈んでいく。
「待って‼だとしたら、宝石のペンダントは!?」
『必要ありません。それがなくても皆の心は、一つにまとまる事ができるでしょう。』
女性は更に沈んでいく。
「ネシャートさんは‼ペンダントがないと、彼女は‼」
私は有りたっけの力を振り絞って、手を伸ばす。
『あの者が病に伏せっている理由は、他にあります。』
「えっ!」
『彼女の回りにあるはずです。』
そう言って、その女性は消えてしまった。
「…………そんな、私に言われても。」
そして、足元に手を付いた時だ。
何かが、砂に埋もれている。
掘り起こしてみると、それはジャラールさん達が持っていったはずのペンダントが。
『伝えて下さい。』
私は涙を流しながら、そのペンダントを手に取った。
「はあっ!!」
まるで溺れた後目が覚めた時のように、急に現実に戻された私。
「紅葉……」
側にいた光清は、目が覚めた私を見て、安心したのか後ろへ倒れ込んだ。
「よかった……いくら呼んでも動かないから、どうにかなってしまったのかと思った……」
光清。
また心配かけてごめんね、と言おうとした時だ。
手に何かある。
恐る恐るそれを見ると、やはり"あのペンダント"だった。
あの伝言は、本当だったんだ。
私はペンダントを、顔に当てた。
「光清。私、もう一度ジャラールさんに会わなきゃいけない。」
「えっ……」
「伝えてと、頼まれた事があるの。」
「ダメだ!!行くな!」
光清が大声を出す。
周りの人が、私達をジロジロと見ていく。
「もう寝るなって、あっちの世界に行くなって、言ったよな。」
「でも光清、」
「でもじゃない‼絶対にダメだ‼」
光清は厳しい顔しながら、涙ぐんでいた。
「紅葉、気づいてないかもしれないけど、眠りそうになる回数、前よりも増えた。修学旅行の前夜から例の夢を見ているんだったら、もう2日寝ていない事になる。人間の限界まできてるよ。」
眠っているのに、寝ていない。
それが確実に私の体を蝕んでいた。
「今は辛いけど、修学旅行が終わるまでだよ。頑張ろう。」
光清に手を引かれ、私は立ち上がる。
「行こう。ごめん、変な場所に連れて来た。」
「ううん。とっても綺麗な場所だよ。来てよかった。」
「そう。ならよかった。」
光清と二人で、また歩き出す。
金閣寺の前の沼は、普通に戻っている。
あれは、遠い異国からのメッセージ。
本当は伝えるべき。
でも私の体は限界に近い。
どちらを取ればいいか分からない。
その前に再び眠りについたら、私はどうなってしまうのか、それすらも分からない。
「ねえ、光清。全く寝れなくなった人って、どうなるのかな。」
光清は黙ったまま、私の手をギュウッと握った。
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