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第五章 心の在りか
街角での邂逅
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サルバディール皇国首都ガラクシアにて一泊した私は街を散策することにしています。
賑わいはありましたが、庶民感が満載です。印象として労働者の街といった感じでしょうか。
石炭を運び込む車列や、炭鉱での出稼ぎから帰ってきたかのような男たちが街を闊歩していました。
「がぁぁ!」
どうやらマリィはお腹を空かしているみたい。ならば露店で何か購入して食べましょうかね。
肉の串焼きを露店で買って二人して食べます。二代続けて貴族をしてきましたが、冒険者をした期間でこういった生活にも慣れていました。
「え?――――」
串焼きを食べていた私ですが、唖然としています。
なぜなら人混みの中に知った顔を見ていたからです。
「コンラッド……」
確かにサルバディール皇国で活動していると話していました。
だからこそ、彼にアポイントを取ってもらおうとサルバディール皇国まで来たのです。
しかし、偶然なのか必然なのか、私は再び彼を見つけていました。
「マジなの……?」
とりあえず追いかけます。串焼きを全部マリィにあげて、私は走り出していました。
会ってからの会話をシミュレーションしながら、つけ回します。
細い路地へとコンラッドが入って直ぐ、
「!?」
どうやら私の尾行に気付いていたらしい。
路地を曲がったその位置にナイフを手に持つコンラッドがいたのです。
「お嬢さん、どうして私を尾行する?」
私はナイフを突きつけられていました。
しかし、直ぐさま両手を拡げて彼の前に立つ。何しろマリィが大きく口を開いていたからです。
「死にたくなければ、距離を取って!」
コンラッドはマリィに気付いたのか、素早く後退しています。薄暗い路地の奥側へと。
「その幼竜、もの凄い殺気だな?」
「貴方、黒焦げになりたいのかと思っちゃったわ。この子、昨日も一人炭にしちゃったのよね……」
私の話にコンラッドはクックと笑う。殺意を露わにするのがマリィだけだと知って。
「お嬢さん、闇ギルドの人間か?」
「いいえ、これでもか弱い貴族令嬢なのよ」
信じられないでしょうけれど、事実なのよね。
これってウケ狙いの冗談ではなくってよ?
「フハハ、腰に短剣ぶらさげたご令嬢か? それで私に何の用だ? 話くらいは聞いてやろう」
「誤解しないで欲しいのだけど、偶然見かけたから後をつけただけ。でも、私は貴方を知っているから、話をしようと思ったのよ」
私の話はどうも興味を示さなかったみたい。
顔を振るコンラッドはまるで信用していません。
「人違いだ。死にたくなければ立ち去れ」
「いいえ、貴方で間違いないわ……」
一応は短剣を握り締めておく。プロの暗殺者が嫌う話をしなければならないのですから。
でもね、生憎と死には慣れているのよ。
だからこそ、私は知り得る情報を淡々と口にするだけだわ。
「毒使いのサイファーさん……」
賑わいはありましたが、庶民感が満載です。印象として労働者の街といった感じでしょうか。
石炭を運び込む車列や、炭鉱での出稼ぎから帰ってきたかのような男たちが街を闊歩していました。
「がぁぁ!」
どうやらマリィはお腹を空かしているみたい。ならば露店で何か購入して食べましょうかね。
肉の串焼きを露店で買って二人して食べます。二代続けて貴族をしてきましたが、冒険者をした期間でこういった生活にも慣れていました。
「え?――――」
串焼きを食べていた私ですが、唖然としています。
なぜなら人混みの中に知った顔を見ていたからです。
「コンラッド……」
確かにサルバディール皇国で活動していると話していました。
だからこそ、彼にアポイントを取ってもらおうとサルバディール皇国まで来たのです。
しかし、偶然なのか必然なのか、私は再び彼を見つけていました。
「マジなの……?」
とりあえず追いかけます。串焼きを全部マリィにあげて、私は走り出していました。
会ってからの会話をシミュレーションしながら、つけ回します。
細い路地へとコンラッドが入って直ぐ、
「!?」
どうやら私の尾行に気付いていたらしい。
路地を曲がったその位置にナイフを手に持つコンラッドがいたのです。
「お嬢さん、どうして私を尾行する?」
私はナイフを突きつけられていました。
しかし、直ぐさま両手を拡げて彼の前に立つ。何しろマリィが大きく口を開いていたからです。
「死にたくなければ、距離を取って!」
コンラッドはマリィに気付いたのか、素早く後退しています。薄暗い路地の奥側へと。
「その幼竜、もの凄い殺気だな?」
「貴方、黒焦げになりたいのかと思っちゃったわ。この子、昨日も一人炭にしちゃったのよね……」
私の話にコンラッドはクックと笑う。殺意を露わにするのがマリィだけだと知って。
「お嬢さん、闇ギルドの人間か?」
「いいえ、これでもか弱い貴族令嬢なのよ」
信じられないでしょうけれど、事実なのよね。
これってウケ狙いの冗談ではなくってよ?
「フハハ、腰に短剣ぶらさげたご令嬢か? それで私に何の用だ? 話くらいは聞いてやろう」
「誤解しないで欲しいのだけど、偶然見かけたから後をつけただけ。でも、私は貴方を知っているから、話をしようと思ったのよ」
私の話はどうも興味を示さなかったみたい。
顔を振るコンラッドはまるで信用していません。
「人違いだ。死にたくなければ立ち去れ」
「いいえ、貴方で間違いないわ……」
一応は短剣を握り締めておく。プロの暗殺者が嫌う話をしなければならないのですから。
でもね、生憎と死には慣れているのよ。
だからこそ、私は知り得る情報を淡々と口にするだけだわ。
「毒使いのサイファーさん……」
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