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公園にて
しおりを挟む僕たち孜、大志、時雨のいっこうはゆさちーいぬの散歩ルートとされる、しのぎ公園へと来ていた。
さほど広くもなく、また、狭すぎずとも言えない公園。遊んでいる子どもは居なく、僕たちだけがこの公園に滞在していた。
僕はベンチに腰掛け、隣に時雨が座っている状態。
孜と大志は砂場で遊んでいた。おいおい、お前ら本当に高校生かい。
「全く、本当にバカだな」
呆れた口調で、僕は孜と大志の姿を見ながら言った。
隣に居る、時雨は少々の苦笑いで、「まぁ、いいんじゃない? 楽しそうだし」とバカ共の肩をもつ。
「そういや今何時?」
僕は聞くと、時雨は鞄からケータイ(スマホ)を取りだし、画面を見る。
「今は、5時半だね」
「ゆさちーが来るとして、あと三十分後ぐらいか?」
時雨はケータイを鞄にしまい、なぜかとげのある口調で、
「やっぱりゆさちーの事気になるの?」
と、いってきた。
「いや、別にそうゆうわけじゃないけど。何て言うかさ、有名人に会えるって、そうそうなくね?」
「ふーん」
「時雨はどうなんだよ? 国民的アイドルにもしあったら。まぁ、僕は会えたらサインもらってインターネットオオクションで売りさばくね」
「はは、じつにイクトらしいね。まぁ、ぼくなら──────」
と、こんな風に他愛のない会話を繰り広げ、四十分の時間がたった。
未だに会話を交えている僕と時雨の間に、孜が割りこみ、残念そうな口調で言う。
「今から、帰らなくちゃいけなくなった。すまなんだ」
そう言って、彼は手を振りながら、僕たちに最後まで笑顔を絶やすことなく帰っていった。
大志も少しばかりの時間がたち砂遊びを続けていたが、飽きたと一言言って帰っていってしまった。
「結局残ったのは俺と時雨だけかよ」
「はは、でももう六時過ぎたがらね。来ないと思ったんじゃない?」
確かに。と僕は心中思った。結局はデマででたらめだったのだ。有名人がこんな所に散歩に来るはずがない。
僕は時間を無駄に使ってしまったと嘆息して、立ち上がった。
「どうしたの? かえる?」
時雨が聞いてきた。
「んいや、ちょっと喉がかわいてさ。あ、そうだ。奢ってやるよ。何がいい?」
「気前良いね。そうだな。フォンたで良いよ」
「おけ」
僕はひとつ返事で、フォンたと自分が飲むためのジュースを、軽い足取りで買いに行った。
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