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だい2話 お兄さんが救世主!?

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ローブをまとった少女に連れられて、城へとやってきたコスケお兄さん。
「ここがお城よ…入って…」
「は、はい…」
少女に連れられるがままに薄暗い城の中を進んでいくお兄さん…
「ここが王様の部屋よ…入って…」
「は、はい、お邪魔します…」

「おじいちゃん…いえ、王様…救世主、連れてまいりました。」
「ご苦労だったルル!!この国についに希望の光が舞い降りたか!!」
「えっ!?僕が救世主!?それにキミはルルって名前なのか!?さらに王様におじいちゃんって呼んでて…なんだか情報が多すぎて混乱するんですけれど…バタン…」
「だ、大丈夫か救世主よ!!おぬしが倒れてしまったらこの国は、この国は…!」
「大丈夫です、ただ僕はいろいろ整理が追い付かなくて混乱していただけですから…」

「おうそうだったか…では私の口から順を追って説明しよう。この国の名は”カジム”。我が国の人々は音楽を愛し、わが国は常に音楽とともにあった。古くから人々は歌い、踊り、祈りを捧げ…我が国にとって音楽とは常に文化と信仰の中心に存在した…そして音楽から生まれるエネルギー・”ムジウム”こそが我が国のエネルギー減であった
しかしそんなある日、突如現れた漆黒の生命体により我が国から音楽が消え、人々は歌うことも音楽を奏でることもできず、見ての通りこの国は暗黒に包まれ、人々の心もまた絶望に包まれ、ムジウムを生み出すことのできないこの国は荒廃し、崩壊へと向かってしまっている…
この国を救うことができるのは、あの伝説の歌を歌うことができたあなただけなのです!」
「伝説の歌!?さっきルルちゃんに渡されたあの歌か…」
「あの歌の歌詞は選ばれし救世主にだけ読むことができる文字で書かれていて、それ以外の人間は歌うことはできないしメロディーもわからない…聞いたこともないあの歌を歌うことができたのは救世主の証なのよ…私は王様…おじいちゃんに頼まれてかれこれ半年以上あなたの世界をさまよいながら救世主を探し続けた…そしてようやくあなたにたどり着いたというワケよ。」
「そうだったのか…僕にとって歌のお兄さんの10年間は長い10年間だったけど、キミにとっての半年間はそれと同じぐらい長い半年間だったのかもね。ところで王様、僕がこの国の救世主なのはわかりましたが、これからどうすればいいのでしょうか?」

「救世主よ…よく聞きなさい。ムジウムを復活させる方法…それはこの国に隠された”再臨の歌”の歌詞を見つけ出し、歌うことだ。
このカジムは5つの地域に分かれている…再臨の歌の歌詞も5部構成となっており、各地域の歌を歌えばその地域のムジウムは復活する。5つすべての歌を歌うことができれば全地域のムジウムは完全復活し、この国は完全に救われる!!それができるのはあなただけだ!わしからもこの通り!救世主様、頼みますぞ!」
「わわっ!王様が頭まで下げなくても大丈夫です!僕の答えは最初から”イエス”に決まってましたから!」
「おっとこれは失礼した…しょっぱながらみっともない姿を見せてしまったな…任せたぞ、救世主!」
「おじいちゃん、私も救世主についていきます。この国のことをまだまだ知らない彼の手助けをしたいのです。」
「よろしい。任せたぞルル。救世主様をしっかりサポートするのだぞ!」
「救世主様、私が案内します。カジムを救う旅に行きましょう!」
「了解!王様!次に僕がこの城を訪れたときはカジムの空は晴れ渡り、人々から笑顔が戻っていることを約束します!」
「頼んだぞ救世主、ルル!幸運を祈る!」
「いってきますおじいちゃん。しっかりサポート役をやり遂げて見せますから…」

…こうしてコスケお兄さんとルルのカジムを救う旅が始まった…
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