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おこぼれ話7 家てきょーヒットマンRYOMA!!

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2年生の頃、国語の授業で漢字ドリルに取り組んでいた時のこと…
そのドリルには漢字の練習スペースに加え、その漢字を使った単語を書いてみようというスペースがあった。

この日取り組んでいた漢字は「家」。
1年生で習う漢字は画数が少ないものが多いが、2年生になると急激に画数が多い字が増える。この「家」もその筆頭と言えよう。
だが「家」という字はこの先の人生で、というか子供のうちから何度も使うこととなる字だ。だから早い段階で習うのだろう(ほかに理由があるかもしれないが)

もちろん「家」のページにも当然単語を書くスペースが存在する。
僕がそのスペースに書いた単語は「てきょー」だ。
一瞬何のことや?と思った方も多いだろうが、これは「家庭教師」を意味する単語である。
当時週刊少年ジャンプで連載されていた「家庭教師かてきょーヒットマンREBORN!」という作品のアニメ版が放送されており、さらにはその以前から北海道では「きょうかて!かてきょー!」というフレーズが登場する「北海道家庭教師ネットワーク」のCMが放送されていた。このCMがいつからやってるかはわからないが少なくとも僕の幼稚園年少時代の2003年には放送されており、REBORN!の原作開始(2004年)より前である。
このことから僕は「家庭教師」を意味する「かてきょー」という言葉が現代の国語として存在すると思っていた。
なので単語を書くスペースに「家てきょー」と書いたのだ。

だが書いた単語は先生に見せなければならないルールだ。間違えてるという判断になったら書き直さなければならない。
だが、僕は「かてきょー」という言葉がアニメやCMという形で公共の電波に乗っている以上、間違った日本語ではないと思っていた。自信満々だった。直される余地などないと思っていた。先生だってこの言葉を知ってその意味を理解しているものと思っていた。
しかし先生がドリルを確認した直後、すぐさま指摘が…

「リョーマくん、”家てきょー”ってなんですか?」
僕はそう聞かれた瞬間、心の中で「えっ!?」と固まりかけた。まさか「かてきょー」というフレーズを知らない人がいるなんて夢にも思ってなかったからだ。
「か…家庭教師の略です…」
戸惑いながらも僕は先生に説明した。
「だったらちゃんと”家庭教師”と書きなさい!”かてきょー”なんて間違った日本語書いちゃダメです!」

…とてもショックで、なっとくいかなかった。まさか「かてきょー」という言葉が現代の国語としては通用しない言葉なんて夢にも思ってなかったからだ。
だったらなんでアニメやCMで使われているのだ!…なんて葛藤したりもした。
解せぬ、ただただ解せぬ…だが先生の指示ならば聞き入れなければならない。
納得がいかないながらも、僕はドリルに書いた「家てきょー」の字を「家ていきょうし」に書き直した。
漢字の勉強でこんなに悔しい思いをしたのは初めてかもしれない。正直言って漢字テストで間違えた時以上のショックであった。
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