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第2部 女児向けアニメ史
2009・10年女児向け作品事情~ジュエルな愛玩動物が本物の宝石にの巻~
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前回に引き続き2009~10年に放送された作品の分析となるが、今回は「宝石の目を持つペット」を分析していこう。
そう、「ジュエルペット」。おねがいマイメロディの後番組として時間帯を引き継ぎ同じサンリオキャラを原作としてスタートした。
ジュエルペットのキャラクター自体はサンリオとセガトイズの共同開発として前年の夏に商品展開が始まった。
アニメ化以前から展開された商品としては「うぇぶぐるみ」という専用のWebサイトと連動するという女児玩具初の試みが施されたぬいぐるみやドールハウスとそれと連動して遊べるフィギュア、付属のステッキを使うと光るぬいぐるみなどすでにアニメ化前の時点でアニメ放送中の作品と変わらぬ力の入りようのラインナップであった。商品展開開始時点でアニメの放送が決まってたかは不明だがサンリオやセガトイズ側としても「まずはグッズ展開で人気をじわじわ盛り上げてからアニメの放送につなげよう」とここまで商品に力を入れてたのだと思う。そもそもサンリオは映像を作るよりも商品とキャラクターを売るほうが本職の会社なわけだから。商品展開の開始から9か月後の2009年4月にアニメがスタートした。
ストーリー構成としては序盤は人間界に飛ばされたルビーがパートナーとなったりんごとともにジュエルチャームとなって飛ばされたジュエルペットたちをさがして助けるというのがメインの構成で、途中からは悪しき心を持ったジュエルペットも登場し、彼らを悪しき心から解放するストーリーが展開される。
設定面で言えば、マイメロから踏襲された「人間界とは別に動物キャラの住まう世界(ジュエルランド)が存在する」という妖精モノの定番設定に加え、「ジュエルペットたちは魔法が使えるが、ジュエルランドの学校でそれを学んでおり彼女たちには魔法のランクが存在する」といったジュエルペット側の社会や格差、さらには「日本国政府はジュエルランドの存在を認知しているが総理はそれを国民には隠蔽している」という「”少し不思議”的な現実と非現実の融合…というか政府と異世界の関わりという子供向け作品にして異色の設定」というシリーズを重ねるごとに発展していくシュールな作風の片鱗をみせるなど、マイメロとの差別化を目指した部分も多々見られる。
…と、ここまで見てみると初期作ながらしっかりとまとめられた設定の中でストーリーが展開されているように見えるが、実はアニメ開始時点では一部のジュエルペットのプロフィールは白紙で、まだ設定が不完全な中で放送開始を迎えていたのだ。
この第1シリーズの目的は設定がまとまった中で放送するというよりも、「今後のシリーズの方向性を決める」「ジュエルペットというキャラクターのアピール」が最大の目的である。アニメ開始時点ですでに30年の歴史があり、親子2代の支持だったマイメロとは違い、ジュエルペットはアニメ開始時点で商品として世に出てからギリギリ1年たってない新参者。前述したようにそもそもサンリオは映像よりも商品とキャラクターを売るほうがバリバリ本職である。物語という中身を売るよりも、キャラクターという外側を売るほうが大得意なのである(誤解のないように言うが、サンリオアニメは中身がないとか言いたいわけじゃない。僕はサンリオアニメは名作ばかりと思っている)。
このアニメはサンリオにとっては「弊社の新人タレントジュエルペットのプロモーションビデオ」的な位置づけなのは間違いない。実際ジュエルペットは商品展開開始の時点ですでに33体というサンリオの1ブランドあたりのキャラ数としては異例の多さ(これを超える数を誇るキャラとしてはクリリンを含めた9人家族と86体の仲間がいるコロコロクリリンがいる)であり、実際作品制作においても各々のジュエルペットのキャラクター性を強調する作劇が行われ、「キャラクターのプロモーション」制がより色濃く出た作風となっている。
「ストーリーよりもキャラクターを売る」という戦略は大成功。アニメの視聴率はマイメロと違ってまだ知名度が高くない中での開始や裏番組がワンピース(そもそもマイメロディ2年目の途中からワンピは裏番組だが)ということもあり視聴率自体は1%台で苦戦するも、関連商品の初年度売り上げ目標は達成。この業界で大事なのは視聴率以上に商品の売り上げだ。「キャラクターは商品のパッケージ。消費者がキャラクターを魅力的に感じとってくれれば商品の売り上げにつながる」と僕は考えている。ジュエルペットの成功はまさにそれである(誤解のないように言っておくが、ジュエルペットはストーリーが薄いとか、キャラさえしっかり描けば話の中身はどーでもいいとかって言いたいわけじゃない)。
2年目「てぃんくる☆」では「ジュエルペット側をそのままに、人間側のレギュラーを入れ替える」という妖精モノやモンスターものなどの「人外もの」では珍しい形でのリニューアルとなった。さらにストーリーも「人間のあかりをメイン主人公に置き彼女がジュエルランド内の魔法学校に入学する」というマイメロの最終年で見られた「人間側が異世界にやってくる」というストーリーに路線変更。前作と打って変わって(というか後のシリーズと比べても)シリアス色が強めの作風となっている。
「魔法学校」というジュエルペットというブランド自体の基本設定を生かしたこの路線もまた成功を収め、商品売り上げは前作から大きく伸ばし、サンリオの同年度前半(2010年4~9月期)の営業利益は2.2倍にあがり、ピューロランドの入場者数もジュエルペット関連のステージを導入したことが大きな要因となって入場者数回復につながった。ジュエルペット人気はサンリオに大きな利益をもたらした。宝石の目を持つ動物たちが、サンリオにとって本物の宝石に化けたというわけだ。
以降ジュエルペットは「ジュエルペット側のキャラと大まかな設定を踏襲しながらシリーズごとに人間キャラと作風を変える」という方式で計7シリーズというサンリオアニメ史上最長のロングラン作となっていく。
…さて、次回はジュエルペットと同じく長期シリーズとなった「たまご」を分析していこう。
そう、「ジュエルペット」。おねがいマイメロディの後番組として時間帯を引き継ぎ同じサンリオキャラを原作としてスタートした。
ジュエルペットのキャラクター自体はサンリオとセガトイズの共同開発として前年の夏に商品展開が始まった。
アニメ化以前から展開された商品としては「うぇぶぐるみ」という専用のWebサイトと連動するという女児玩具初の試みが施されたぬいぐるみやドールハウスとそれと連動して遊べるフィギュア、付属のステッキを使うと光るぬいぐるみなどすでにアニメ化前の時点でアニメ放送中の作品と変わらぬ力の入りようのラインナップであった。商品展開開始時点でアニメの放送が決まってたかは不明だがサンリオやセガトイズ側としても「まずはグッズ展開で人気をじわじわ盛り上げてからアニメの放送につなげよう」とここまで商品に力を入れてたのだと思う。そもそもサンリオは映像を作るよりも商品とキャラクターを売るほうが本職の会社なわけだから。商品展開の開始から9か月後の2009年4月にアニメがスタートした。
ストーリー構成としては序盤は人間界に飛ばされたルビーがパートナーとなったりんごとともにジュエルチャームとなって飛ばされたジュエルペットたちをさがして助けるというのがメインの構成で、途中からは悪しき心を持ったジュエルペットも登場し、彼らを悪しき心から解放するストーリーが展開される。
設定面で言えば、マイメロから踏襲された「人間界とは別に動物キャラの住まう世界(ジュエルランド)が存在する」という妖精モノの定番設定に加え、「ジュエルペットたちは魔法が使えるが、ジュエルランドの学校でそれを学んでおり彼女たちには魔法のランクが存在する」といったジュエルペット側の社会や格差、さらには「日本国政府はジュエルランドの存在を認知しているが総理はそれを国民には隠蔽している」という「”少し不思議”的な現実と非現実の融合…というか政府と異世界の関わりという子供向け作品にして異色の設定」というシリーズを重ねるごとに発展していくシュールな作風の片鱗をみせるなど、マイメロとの差別化を目指した部分も多々見られる。
…と、ここまで見てみると初期作ながらしっかりとまとめられた設定の中でストーリーが展開されているように見えるが、実はアニメ開始時点では一部のジュエルペットのプロフィールは白紙で、まだ設定が不完全な中で放送開始を迎えていたのだ。
この第1シリーズの目的は設定がまとまった中で放送するというよりも、「今後のシリーズの方向性を決める」「ジュエルペットというキャラクターのアピール」が最大の目的である。アニメ開始時点ですでに30年の歴史があり、親子2代の支持だったマイメロとは違い、ジュエルペットはアニメ開始時点で商品として世に出てからギリギリ1年たってない新参者。前述したようにそもそもサンリオは映像よりも商品とキャラクターを売るほうがバリバリ本職である。物語という中身を売るよりも、キャラクターという外側を売るほうが大得意なのである(誤解のないように言うが、サンリオアニメは中身がないとか言いたいわけじゃない。僕はサンリオアニメは名作ばかりと思っている)。
このアニメはサンリオにとっては「弊社の新人タレントジュエルペットのプロモーションビデオ」的な位置づけなのは間違いない。実際ジュエルペットは商品展開開始の時点ですでに33体というサンリオの1ブランドあたりのキャラ数としては異例の多さ(これを超える数を誇るキャラとしてはクリリンを含めた9人家族と86体の仲間がいるコロコロクリリンがいる)であり、実際作品制作においても各々のジュエルペットのキャラクター性を強調する作劇が行われ、「キャラクターのプロモーション」制がより色濃く出た作風となっている。
「ストーリーよりもキャラクターを売る」という戦略は大成功。アニメの視聴率はマイメロと違ってまだ知名度が高くない中での開始や裏番組がワンピース(そもそもマイメロディ2年目の途中からワンピは裏番組だが)ということもあり視聴率自体は1%台で苦戦するも、関連商品の初年度売り上げ目標は達成。この業界で大事なのは視聴率以上に商品の売り上げだ。「キャラクターは商品のパッケージ。消費者がキャラクターを魅力的に感じとってくれれば商品の売り上げにつながる」と僕は考えている。ジュエルペットの成功はまさにそれである(誤解のないように言っておくが、ジュエルペットはストーリーが薄いとか、キャラさえしっかり描けば話の中身はどーでもいいとかって言いたいわけじゃない)。
2年目「てぃんくる☆」では「ジュエルペット側をそのままに、人間側のレギュラーを入れ替える」という妖精モノやモンスターものなどの「人外もの」では珍しい形でのリニューアルとなった。さらにストーリーも「人間のあかりをメイン主人公に置き彼女がジュエルランド内の魔法学校に入学する」というマイメロの最終年で見られた「人間側が異世界にやってくる」というストーリーに路線変更。前作と打って変わって(というか後のシリーズと比べても)シリアス色が強めの作風となっている。
「魔法学校」というジュエルペットというブランド自体の基本設定を生かしたこの路線もまた成功を収め、商品売り上げは前作から大きく伸ばし、サンリオの同年度前半(2010年4~9月期)の営業利益は2.2倍にあがり、ピューロランドの入場者数もジュエルペット関連のステージを導入したことが大きな要因となって入場者数回復につながった。ジュエルペット人気はサンリオに大きな利益をもたらした。宝石の目を持つ動物たちが、サンリオにとって本物の宝石に化けたというわけだ。
以降ジュエルペットは「ジュエルペット側のキャラと大まかな設定を踏襲しながらシリーズごとに人間キャラと作風を変える」という方式で計7シリーズというサンリオアニメ史上最長のロングラン作となっていく。
…さて、次回はジュエルペットと同じく長期シリーズとなった「たまご」を分析していこう。
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