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第4部 漫画・出版史
コロコロに起きたギャグ革命~じーさんの誕生~
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前々回でコロコロが2000年代に成功したタイアップを簡単に取り上げたが、2000年代のコロコロで熱かったのはタイアップだけではない。オリジナル作品でも社会現象を巻き起こしたホビーと同じぐらいの革命が起きていた。
今なお続くでんぢゃらすじーさんの登場だ。この作品がコロコロにおけるギャグの概念を大きく書き換えることになる。
絶体絶命でんぢゃらすじーさんは2度の読み切りを経て2001年9月号より連載開始。
世の中の危険から助かる方法を教える…と言いながらかえって悪化させてしまうじーさんとそれに振り回されるツッコミ役の孫などのキャラクターを中心に描くタイトルを変えながら今なお続くコロコロの看板作品だ。
じーさんがそれまでのコロコロギャグの中で異質だったのは「不条理さとシュールさ」
それまでのコロコロギャグといえば「学級王ヤマザキ」や「おぼっちゃまくん」、じーさん開始時点で継続中だった「うちゅう人田中太郎」などの主人公がハチャメチャ騒動起こす系が主流であった。じーさんもその系譜にあたると言えるが、これらの作品の主人公に比べてじーさんが異質なのはとにかく意味不明な言動を繰り返すこと。
まあ、それがギャグ漫画ってもんなのだが、じーさんの場合は他のコロコロギャグの意味不明さの域を超え、ギャグや言葉の不文律を無視した爆発的な笑いを生んでいる。
1巻の「とび箱を飛ぶのじゃっ!」の回でじーさんがとび箱に向かっていった瞬間に突然この後どうなるかという4択クイズが出され、1.見事にクリア 2.激突 3.そのまま世界一周の旅へ 4.(ルパン三世っぽいキャラとともに)ふ~じこちゃ~ん という選択肢が出されたと思いきや次のページでじーさんが「正解は58番のはなくそでした~!」という4つのどれでもない答えを出すというギャグがこれの極め付きの例と言える。
ただでさえ4番で突然パロネタを出すという大ボケ(3番も十分意味不明だろうけど)をかましてそれがこのシーンのハイライトかと思いきや「そもそも正解がなかった」というまさかのオチ。以前の回も読んで「じーさん流ギャグ」を理解している読者なら「じーさんのことだから4つの中に答えはないな」とある程度予想はできるかもしれないが、それでも「58番のはなくそ」なんてほぼだれも予想できないだろう。
さらにじーさんの魅力といえば「変顔や変な絵」で笑わせる。のもひとつ。
オチの定番である「リアル顔で”完”」をはじめとする顔芸は下ネタと並ぶじーさんの基本的なギャグ。コロコロの中心読者層は言うまでもなく小学生。そしてその中には漫画を読み始めて間もない子供たちもかなりの割合をしめている。彼らは長い言葉で笑わせることは難しいが、変な絵一枚で彼らに訴える効果は強い。
作者の曽山先生は「絵で笑わせることはセリフで笑わせることの5倍は難しい」とコメントしていたが、じーさんはしっかりそれが出来ている。
変顔以外の絵で笑わせるといえば3巻の「ふくびきでドキドキじゃっ!」がいい例だろう。
校長が福引で金の玉をあてた際、商品は絶対1等のハワイ旅行かと思いきや、猫の格好したじーさんの顔と「60円」の値札が付いた謎の物体。その後校長は再度挑戦し、抽選機から玉ではなくリアルなウ〇コのような謎の物体(アニメではスライム状の物体)を引き当てたがそれこそが一等。そしてハワイへの交通手段として用意されたのが明らかに怪しいチンケな船でじーさん曰く「絶対に沈まない」のことだったのだが、最後のページでただ船が沈んでいる絵だけを映して「完」というシュールなオチ。この回は初めから終わりまでとことん絵で笑わせるを追求できている回だ。
こういった我々の予想の斜め上をいく行動とインパクト大の絵から生まれる爆発的ギャグこそがじーさんの魅力。
そしてそれこそがコロコロに「不条理ギャグ」という新たなるスタンダードを生み出すこととなる。
じーさんのヒットの後を追うように、コロコロでは様々な不条理ギャグが生まれていくこととなる。
次回はじーさんと同じく今なおコロコロギャグの2枚看板、あの文具ギャグを分析しよう。
今なお続くでんぢゃらすじーさんの登場だ。この作品がコロコロにおけるギャグの概念を大きく書き換えることになる。
絶体絶命でんぢゃらすじーさんは2度の読み切りを経て2001年9月号より連載開始。
世の中の危険から助かる方法を教える…と言いながらかえって悪化させてしまうじーさんとそれに振り回されるツッコミ役の孫などのキャラクターを中心に描くタイトルを変えながら今なお続くコロコロの看板作品だ。
じーさんがそれまでのコロコロギャグの中で異質だったのは「不条理さとシュールさ」
それまでのコロコロギャグといえば「学級王ヤマザキ」や「おぼっちゃまくん」、じーさん開始時点で継続中だった「うちゅう人田中太郎」などの主人公がハチャメチャ騒動起こす系が主流であった。じーさんもその系譜にあたると言えるが、これらの作品の主人公に比べてじーさんが異質なのはとにかく意味不明な言動を繰り返すこと。
まあ、それがギャグ漫画ってもんなのだが、じーさんの場合は他のコロコロギャグの意味不明さの域を超え、ギャグや言葉の不文律を無視した爆発的な笑いを生んでいる。
1巻の「とび箱を飛ぶのじゃっ!」の回でじーさんがとび箱に向かっていった瞬間に突然この後どうなるかという4択クイズが出され、1.見事にクリア 2.激突 3.そのまま世界一周の旅へ 4.(ルパン三世っぽいキャラとともに)ふ~じこちゃ~ん という選択肢が出されたと思いきや次のページでじーさんが「正解は58番のはなくそでした~!」という4つのどれでもない答えを出すというギャグがこれの極め付きの例と言える。
ただでさえ4番で突然パロネタを出すという大ボケ(3番も十分意味不明だろうけど)をかましてそれがこのシーンのハイライトかと思いきや「そもそも正解がなかった」というまさかのオチ。以前の回も読んで「じーさん流ギャグ」を理解している読者なら「じーさんのことだから4つの中に答えはないな」とある程度予想はできるかもしれないが、それでも「58番のはなくそ」なんてほぼだれも予想できないだろう。
さらにじーさんの魅力といえば「変顔や変な絵」で笑わせる。のもひとつ。
オチの定番である「リアル顔で”完”」をはじめとする顔芸は下ネタと並ぶじーさんの基本的なギャグ。コロコロの中心読者層は言うまでもなく小学生。そしてその中には漫画を読み始めて間もない子供たちもかなりの割合をしめている。彼らは長い言葉で笑わせることは難しいが、変な絵一枚で彼らに訴える効果は強い。
作者の曽山先生は「絵で笑わせることはセリフで笑わせることの5倍は難しい」とコメントしていたが、じーさんはしっかりそれが出来ている。
変顔以外の絵で笑わせるといえば3巻の「ふくびきでドキドキじゃっ!」がいい例だろう。
校長が福引で金の玉をあてた際、商品は絶対1等のハワイ旅行かと思いきや、猫の格好したじーさんの顔と「60円」の値札が付いた謎の物体。その後校長は再度挑戦し、抽選機から玉ではなくリアルなウ〇コのような謎の物体(アニメではスライム状の物体)を引き当てたがそれこそが一等。そしてハワイへの交通手段として用意されたのが明らかに怪しいチンケな船でじーさん曰く「絶対に沈まない」のことだったのだが、最後のページでただ船が沈んでいる絵だけを映して「完」というシュールなオチ。この回は初めから終わりまでとことん絵で笑わせるを追求できている回だ。
こういった我々の予想の斜め上をいく行動とインパクト大の絵から生まれる爆発的ギャグこそがじーさんの魅力。
そしてそれこそがコロコロに「不条理ギャグ」という新たなるスタンダードを生み出すこととなる。
じーさんのヒットの後を追うように、コロコロでは様々な不条理ギャグが生まれていくこととなる。
次回はじーさんと同じく今なおコロコロギャグの2枚看板、あの文具ギャグを分析しよう。
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