リョーマ的Y2K子供文化史考

一刀星リョーマ

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第4部 漫画・出版史

サンデーVSマガジン~ライバル同士の共演~

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2008年、小学館の週刊少年サンデーと講談社の週刊少年マガジンは創刊50周年(公式のアナウンスにあわせたが正確には後述のように1959年創刊のため”50年目”)を迎え、それを記念して翌年にかけて両誌合同のコラボ企画が行われた。
1959年3月17日、同じ日に日本初の週刊少年漫画誌として産声を上げ、以来半世紀にわたってライバルとしてしのぎを削ってきた両誌。この両誌が50周年を機に出版社の垣根を超えてタッグを組んだのだ。
手始めに2008年3月には同日発売のサンデー・マガジン両誌にてつながる表紙を実施。サンデー側の表紙はコナン、マガジン側の表紙は一歩。両誌の看板キャラが出版社の垣根を超えて手を合わせた。

雑誌上だけでなく、メディア展開でも両誌の垣根を超えた共演が展開された。
創立間もないブシロードより「サンデーVSマガジン トレーディングカードゲーム」が2008年7月から展開開始。第1弾の構築済みデッキのラインナップはコナンや金田一といったミステリーものとあしたのジョー、史上最強の弟子ケンイチなどの格闘系作品を集めた「ミステリー対決デッキ」メジャーや巨人の星と言ったスポーツものを中心とした「スポーツ決戦デッキ」その名の通りうる星やつらやラブひななどのラブコメ作品をメインに集めた「ラブコメデッキ」の3種類と作品のジャンルごとにまとめられた両誌の歴史をたどれるラインナップだ。
ただ、そのジャンルだけに絞るとキャラが足りなくなるという事情なのかスポーツデッキにスポーツものではない「結界師」や「炎の転校生」が入ってたり、ラブコメデッキになぜか「ミスター味っ子」や「天才バカボン」(ちなみにバカボンはサンデー・マガジン両方に連載経験を持つ数少ない作品)が入ってたりとメチャクチャな点も。オールスターならではのにぎやかさを出したかったのだろうが、例えばスポーツものならあしたのジョーをこっちに入れるという発想もあったはずだし(実際同じボクシング者のはじめの一歩はスポーツデッキに入っている)ほかにも「ダイヤのA(後にブースターで参戦)」とか「シュート!!」とかもっといっぱいあったろと思う。バカボンはギャグデッキを作ってそこに入れるという発想はなかったのか…ギャグマンガだけ集めてデッキ作れると思うんだが…実際ブースターで参戦しているギャグ・コメディ作品をあげてみると同じ赤塚作品の「おそ松くん」をはじめ「さよなら絶望先生」「ハヤテのごとく!(ラブコメでもいいのかもしれないが)」「まことちゃん」「かってに改蔵」などがある。参戦しなかった作品にも「オバケのQ太郎(といっても発売当時原作が絶版だったので難しかったのかもしれないが)」とか「もーれつア太郎」とか「丸出だめ夫」など両誌の歴史を語るうえで欠かせないギャグマンガはごまんとある。これらを入れればギャグデッキ作れたと思うんだが。
ミステリー対決デッキは「ミステリー対決」というよりは「ミステリー+対決」…すなわちミステリーものと対決要素のある作品のセットという意味にも解釈できるのでジョーとか入れるのもまだわかるが。
全6弾発売されたブースターも第4弾までは特定のジャンルの作品を中心に構成されていたが、「ミステリー・レスキュー・恋愛」をテーマにした第1弾にこれらのどれにも当てはまらないおそ松くんが入っていたり「妖怪・魔法・超能力」をテーマにした第2弾にもどれにも当てはまらない「釣りキチ三平」がラインナップされるなどこれまたメチャクチャなところもあった。まあ、ジャンル分けが難しい作品もあるので苦肉の策なのかもしれないが。せめてギャグマンガはギャグ特集でやるべきだったと。

さらにコンシューマーゲームでもコナミから3作品のコラボゲームが発売。
その第1弾が「サンデー×マガジン 熱闘!ドリームナイン」。パワプロのスタッフによる両誌の歴代キャラ共演の野球ゲーム。
サンデー側からは「タッチ」「メジャー」など、マガジン側からは「巨人の星」「ダイヤのA」などといった両誌の歴史にその名を刻む野球マンガはもちろんのこと、「名探偵コナン」「らんま1/2」「魔法先生ネギま!」
「天才バカボン(上記の通りサンデー・マガジン両方で連載されたがサンデー側におそ松くんがいる関係か本作ではマガジン側から参戦)」などの野球以外の漫画からも参戦。さらにボクシングものなのに「はじめの一歩」から4人も参戦している。野球ものであっても巨人の星からは飛雄馬と花形のふたりだけ、タッチは上杉達也ひとり(和也はすぐ死んだのがネックだったのかな…)と野球マンガでも参戦キャラが少ない作品もあるのに。

ドリームナインの1ヵ月後に発売された第2弾「サンデーVSマガジン 集結!頂上大決戦」はサンデーVSマガジン版スマブラ的なオールスター格闘ゲーム。両誌15作品ずつの計30作品、非プレイアブルキャラを含めれば100体以上のキャラが集結した豪華な作品…なのだが、アニメ化されている作品も多数参戦しているのにアニメ版と同じキャストを一切使用していないうえにセリフは掛け声程度、1作者1作品で選出したためか同じ作者の「YAIBA」が参戦してるのにサンデーのアイコンである「名探偵コナン」が未参戦、他にも「犬夜叉」が参戦してるのに同じ作者でバトル物ではないがバトル要素のある「らんま1/2」が参戦していない、「うしおととら」が参戦してるのにこちらも同作者でバトル要素のある「からくりサーカス」が参戦していない、当時の時点でまだアニメ化してなかった(アニメ開始はこの約半年後)「フェアリーテイル」が参戦しているのに同作者の「RAVE」が未参戦…などと言った風に人気作でも選考から漏れた作品が数多く、ユーザーから不満の声があがった。まあ、格ゲーなら自然とバトル物中心の人選になるわけだから、コナンに関しては戦闘向きのキャラじゃないから(スケボーやサッカーボールを使ったアクションを戦闘に落とし込むことはできそうだと思うが)泣く泣く落選させてバトル物であるYAIBAを選んだって事情があるだろうし、犬夜叉もらんまと違って純粋なバトル物だから文句なしで参戦となっただろうし、フェアリーテイルも開発時点でアニメの企画が進んでいたとしたらアニメが始まる前にアピールしておこうとして参戦させたと考えられるが。

第3弾「サンデー&マガジン WHITE COMIC」は上記2作品を大幅に超える98作品が参戦するRPG。
作品の垣根を超えたキャラクターの合体技が魅力のひとつで、浦島景太郎×ネギ・スプリングフィールドの赤松健作品同士の共演やハル×ナツの新旧真島ヒロ作品主人公の共演、諸星あたる×犬夜叉のるーみっくわーるどコラボ、かってに改蔵×絶望先生の出版社の垣根を超えた久米田作品コラボなどといった同作者同士の共演はもちろん、ミスター味っ子×焼きたてジャぱんの出版社の垣根を超えた料理漫画コラボ、星飛雄馬×沢村栄純の新旧マガジン野球漫画コラボ、矢吹丈×幕之内一歩の新旧ボクシング漫画コラボと言った作者や出版社の垣根を超えた同ジャンル同士のコラボも描かれる。
さらにはあだち充作品の「同じ顔」ネタや絶望先生×ハヤテのごとくの「師弟共演」(ハヤテ作者の畑健次郎先生は絶望先生作者の久米田先生の元アシスタントのため、久米田先生と畑先生は師弟関係にあたる)など列挙がないぐらいの小ネタの数々は両誌のファンをニヤリとさせてくれる。

サンデーとマガジンだけでなく、かつてはコロコロとボンボン、現在刊行中の雑誌同士でも幼稚園とたのしい幼稚園、てれびくんとテレビマガジン、ちゃおとなかよし、子供向け以外でも週刊ポストと週刊現代…といった具合に小学館と講談社は列挙がないぐらいに古くから雑誌部門で競合してきた。さしずめ出版業界の巨人と阪神といっても過言ではないぐらいのライバル関係だ。
そのライバルがお互いの雑誌のアニバーサリーイヤーに手を組んで両方の読者を楽しませたことは我が国の出版史においても歴史的な1ページであろう。
時が流れて2020年代の現在、漫画業界もデジタルの存在感が大きくなるなどこのコラボを行った15年ほど前に比べて漫画界を取り巻く環境は大きく変化した。
この変革期だからこそ、こういった出版社の垣根を超えたコラボが現代にまた必要ではないだろうか?
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