ターボモール札樽

一刀星リョーマ

文字の大きさ
4 / 12

第4話 オレだってもう子供じゃない!~中辛カレーと少年~

しおりを挟む
今回の舞台はターボモール札樽小樽館3階、カレーのフードテーマパーク「カリイ運河」。
古き良き小樽の街並みを模したエリアに、道内外から集まった有名店がしのぎを削るターボモール札樽でも人気のスポットだ。昨今のレトロブームもありレトロなエリアの雰囲気も写真映えすると人気なのだ。

今回の物語はパーク内の店舗よりカレーの聖地、東京神保町の人気店「ムーディ」で食事をするある3人家族にスポットを当てよう。

父「それじゃあパパはこの激辛ムーディスペシャル(辛さ10倍)にしよう!」
母「パパ!なかなかやるわね!私はこの中辛ポークポテトカレーで!サトルはもちろんいつもの甘口よね?…あれ?サトル?」
サトルは震えながらどこか悔しそうで言いたげな表情を浮かべていた
「…父ちゃん母ちゃん、オレも今年で小2だぜ?もう甘口カレーを喜んで食うようなガキンチョじゃねーんだ…父ちゃんみたいに辛口とか激辛とまではいわないが、オレだって中辛を食いたい!」

父「サトル!お前には中辛はまだ早い!だいたい昔ママが食べてた中辛カレーをちょっとつまみ食いしたとき、あまりの辛さに口から火吹くかってぐらい絶叫しながら部屋中走りまくってただろ!」
「それは幼稚園の頃の話だ!もう昔のオレじゃない!だいたいオレは冬休みにユウジの家にお泊り会に行ったときにユウジん家の中辛カレーを食って何ともなかったぞ!ユウジの母ちゃんには申し訳ないがむしろ辛さが物足りなかったぐらいだ!」
母「そりゃユウジくん家のはルーは中辛でも野菜が多めに入ってるからその分辛さがやわらいでるってのもあるだろうし…ここの中辛はまたワケが違うからまた絶叫にないかお母さん心配だわ…」
「でもよ…周りはみんなとっくに甘口を卒業してるぜ!ユウジだけじゃない…シンイチとかハヤトだって中辛を食ってる。ユナにいたっては幼稚園で甘口を卒業してるし、ショウタにいたっては中辛を通り越して辛口だ!お泊り会の時だって、オレが家で甘口食ってるって言ったら皆にちょっと鼻で笑われて…その時は笑ってごまかしたけど本当は悔しかったんだ!だからオレだってせめて中辛を食いたいんだ!!」
サトルは抑えきれない感情を表に出し、涙ながらに訴えた。

母「サトル…気持ちはわかるけど…」
父「母さん、ここはサトルの好きなのを食わせてやれ。子供ってのは親の知らないところで成長していく生き物なんだ。サトルは私たちの知らぬ間に辛さに少し強くなっていったんだ…だからここはその成長を見届けよう!
…サトル、すまなかったな。父さんたちは中辛頼んでいいぞ。」
「父ちゃん…ありがとう。オレこそガミガミ言ってごめん。母ちゃんも…」

それから十数分後…
「おまたせしました!辛さ10倍ムーディスペシャルカレーおひとつとポテトカレー中辛おふたつです!」
「いただきま~す!」
「うめえ!(ハァハァ…)これだよ!(ハァ…)オレの求めていた(ハァ…)辛さは!」
予想以上の辛さに戸惑いながらもサトルは中辛カレーを口に運んでいく。
母「ほれ!汗だくで辛そうじゃない!やっぱりやせ我慢してんじゃないの?今度は甘口にすれば?」
「いや!ここの中辛はちぃとレベルが高かっただけだ!バージニアカレーの中辛なら余裕で平らげられるぜ!」
父「でも、昔みたいに絶叫はしてないじゃないか!サトルも成長したな…さて、こっちの激辛は…
かっれ~え!!!ってシャレになら~ん!素直に普通の辛口にしときゃよかった~!」
サトル「オイオイ、父ちゃんのほうが絶叫してんじゃねえか!これじゃあ父ちゃんのほうがよっぽどおこちゃまみたいだぜ!」
父「こりゃ息子に一本取られたなぁ…」

父がその激辛カレーを完食したのは、サトルたちが食べ終わった7分後だった…
何はともあれ、夫婦は息子の成長を確認し、家族のきずなはこれでより一層深まった。
それからサトル家の食卓には、サトルにも中辛カレーが出されるようになったがそれはまた別の話…


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

処理中です...