ULTIMATE〜season11 (2051) 国防最前線

壱暉

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ULTIMATE 〜国防最前線

ULTIMATE 〜国防最前線第13話

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主要登場人物一覧
望月輝人(25)…3代目主人公 西部教育第2中隊所属 隊員候補生
片倉陵(20)…西部教育隊第1期第2教育隊所属隊員候補生
大倉悠馬(24)…西部教育隊第1期第2教育隊所属隊員候補生
水崎一躍(36)…ULTIMATE西部教育隊所属教官 第1期第2教育隊担当教官
室口翔平(58)…ULTIMATE総監本部所属 3代目総監
岸田正龍(37)…ULTIMATE総監本部所属 地方方面隊統括官
長内貴也(65)…西部教育隊隊長
和嶋幸道(40)…西部教育隊副隊長
……………………………………………………………
「西部方面隊長からの許可無しで勝手に正隊員舎へ立ち入った。認めるんだな?」
長内からの要請を受けて総監本部監察部がやってきた。
監察官らからの問いかけに水崎は素直に認めた。
「本当に申し訳ないです。それで、正隊員舎の全てのフロアチェックを頼みたいのですが」
「全フロアを?なぜだ?」
「説明してる時間がありません。とにかく早く。もしかすると既に命の危機にあるのかも」
「命の危機?ここは戦場じゃない。適当なことを言うな」
「本当なんです」
「どうします?」
「そうだな。チェックだけするか。」
越前が言うと監察官らは急いで今回問題となっている第3正隊員舎へ向かった。
「総監本部監察部だ。これより前フロアのチェックに入る。」
「え?あ、はい」
守衛達は、監察官らを見て戸惑いを見せた。
「悪いな。全てチェック終えたらそのまま本部に帰るから、さっさと頼むわ」
「わかりました」
守衛隊員らは、全ての部屋への立ち入りを許可した。
1階
2階
3階
次々と部屋のチェックを終えていった。
そして残ったのは最上階の4階だ。
「さっさと終わらすか。」
監察官らは片っ端から部屋を開けては中を確認した。
「主任、奥の部屋が開かないです」
「んだと」
「鍵は?」
「守衛の話によると今紛失中らしくて」
「紛失?始末書、後で書かせてやる」
そう言いながら主任監察官は、部屋のドアを何度も叩いた。
「誰かおらんか?」
「何ですか?」
部屋の中から声が聞こえてきた。
「悪いな。総監本部監察部だ。部屋を開けてくれないか?今抜き打ちでチェックしてるところなんだ。」
「そ、そうなんですか」
「早く開けてくれ。」
「開ける事はできません」
「は?何言ってる。さっさと開けんか」
主任監察官がドアを叩き続けた時だった、中から銃声が鳴り響いた。
「もう気づいてるみたいだな。中には、教育隊の候補生3人がいる。今すぐにここから立ち去れ。さもないと3人を殺す」
「内部での立てこもり事件。まじかよ」
主任監察官はその場でしゃがみこんだ。
「ど、どうします?主任」
「特内だ。特内を呼べ」
「わ、分かりました」
数分後、
武装した男たちがやってきた。彼らは特殊内部制圧部隊。彼らの任務は組織内部で起きた立てこもり事件などの凶悪事件を担当する監査科所属の特殊部隊だ。
「お疲れ様です。」
「おっ来たか」
「で、内部の人間が立てこもってると情報を受けましたが」
「教育隊所属の3人の候補生を人質にしてたてこもってる。おそらく、不正な金品の授受の発覚を恐れて立てこもってるのだろう。教育隊所属の大倉悠馬候補生から執拗に金品を迫っていたらしい。時には暴力に及んでな」
越前から話を聞き終えると特殊内部制圧部隊長の中岡は納得したようにうなずいた。
「射撃許可は降りてません。よって今回は、生け捕りを再大目標として行います。」
そう言うと中岡は1人の隊員から現場となっている第1正隊員舎の地図を持ってこさせた。
「地上からの突入は厳しそうだな。上空からの突入だな。」
そう言うと中岡は西部方面隊の航空隊に連絡を入れた。
「至急、ヘリの離陸準備を行ってくれ。至急だ。」
数分後
航空操縦隊から離陸準備の完了を知らせる無線が入ってきた。
「さっさと終わらせるか」
そう言いながら中岡はヘルメットを被った。
その時だった1人の隊員がやってきた。
「隊長、失礼します。」
「どうした?」
「どこから聞きつけたのか。基地周辺の住民達が押し寄せてきてます。守衛が今、抑えに入っていますが」
「どっから情報が漏れたんだ?」
「こ、これって」
「どした?」
「これ見てください」
中岡は面倒くさそうに隊員からスマホを受け取った。
開かれている画面に目をやるとそこには、血だらけになって倒れている教育隊所属の候補生らが映っていた。
「ライブ中継じゃねーか。状態が悪そうだな。衛生だ。衛生科にも出動要請だ」
「り、了解」
「くそ、拡散される前に止めねーと」
中岡が呟いていると1発の銃声が画面の中から聞こえてきた。
「う、嘘だろ」
中岡は目を大きく開けながら画面を注視した。
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