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ULTIMATE〜日本防衛戦線

ULTIMATE〜日本防衛戦線第7話

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主要登場人物一覧
大石慶敬(27)…4代目主人公 国家保安庁専従特攻班員
豊島敦也(27)…国家保安庁専従特攻班員
新屋智輝(27)…国家保安庁専従特攻班員
甲賀彪馬(27)…国家保安庁専従特攻班員
日野悠矢(36)…国家保安庁専従特攻班員
達司蓮(45)…国家保安庁専従特攻班副班長
武隈紀久(46)…国家保安庁専従特攻班長
柴崎冬弥(30)…国家保安庁専従特攻班員
滝藤誠弥(34)…国家保安庁専従特攻班員
初芝泰樹(62)…国家保安庁長官
睦月陸(50)…国家保安庁専従特攻班主任
金条泰雅(20)…国家保安庁専従特攻班員
………………………………………………………………
「何をしている?」
後ろから声をかけられ振り向くと初芝の姿があった。
「長官・・・」
「長谷、勝手に入ったらダメだろ?」
そう言うと初芝は長谷が見ていた資料を奪い取った。
「どこまで知ってる?」
「どこまでとは?」
長谷が聞くと初芝はソファーに腰かけた。
「防衛銀行と専従特攻班についての資料だよな。それ。知ってること全部話せ」
「俺は何も」
「嘘つけ。正直に話せ。今ならまだ間に合うぞ」
そう言うと初芝は持っていたリモコンで部屋のドアの鍵を閉めた。
「なら、聞きますけど、防衛銀行の資金源はなんですか?どこにあるんですか?そして専従特攻班との関わりは一体なんですか?」
「俺に言わせるってか?」
「秘書官の立場を捨て国防を担っている一隊員として聞きます。これが不正なのであればすぐに明らかにし謝罪すべきです。不正のうえでの国防などあってはならない。」
「そんな綺麗事ばかり並べやがって」
そうつぶやくと初芝は机に置いてあったコーヒーを口に運んだ。
「正直に話してください。」
「ま、俺は何も悪いことはしてない。だから話してやる。」
そう言うと初芝は足を組んだ。
「防衛銀行の資金源。それは歴代国家保安庁長官が得てきた不正の金だ。暴力団、半グレ色々な組織から金を受け取り裏社会の人間の再就職をサポートをしていた。その始まりは初代長官、長内だ。長内から始まり先代の河内まで受け継がれてきた。」
そう言うと初芝はソファーから立ち上がり近くのロッカーに手をやった。
そして暗証番号のようなものを入力するとそのままロッカーのドアを開けた。
中からはたくさんの資料が出てきた。
「ここにある資料は歴代長官がこれまで受け継いできた不正の集まりだ。腐敗の塊。俺はこれを消そうとした。専従特攻班はそのために作らせた部隊だ。戦争など俺は望んでおらん。どうせなら専従特攻班など解散させたい。」
「なら、すぐに解散命令を」
「もう遅い。既に専従特攻班の情報は天湾に行ってる。ここで下手に解散させてみろ。たちまち日本は壊滅の危機に陥ることになる。なー長谷、綺麗事だけで国なんて守れねーんだよ。人を守るのと訳が違う。国を守るのはな多大な力と金と人員が動く。国家単位と人の単位は雲泥の差がある。それぐらいわかってくれ」
そう言うと初芝は部屋のドアの鍵を開けた。
「もう用はない。早く帰れ。俺は残業でもする」
「失礼します」
部屋を出ると長谷はそのまま地下駐車場に向かった。
地下駐車場に着くとそのまま停めてあった車に乗りこんだ。
その時だった、1台の車がこちら側に向かって急発進してきた。
「あ?なんだ?」
長谷は急いで車から降りるとそのまま目の前に停まった車に近づいた。
「身分証明できるものは?」
長谷は車に乗っている男に向かって職務質問を始めた。
すると車の中からフードを被った男が降りてきた。
「あのね、ここ部外者立ち入り禁止なの。部外者は地上駐車場に行ってくれません?」
「なぜ私が部外者だと?」
「地下駐車場は国保車両専用の駐車場。国保車両には全て黒色のナンバープレートがついてる。お前の車はどうだ?ついてないだろ?部外者は立ち入り禁止だ。早くここから出ていけ」
長谷が言うと男はにやりと笑った。
「どうやって部外者がここに来れるか。考えてみろよ。」
そう言うと男は拳銃を構えた。
「じゃあな。秘書官さんよ」
次の瞬間、地下駐車場内に銃声が鳴り響いた。

その後、長谷を殺した男は初芝を殺そうと庁舎内に侵入。巡回中だった守衛隊員により男は制圧されその後殺人容疑で警視庁に検挙された。
男はある半グレ組織のメンバーであり防衛銀行に異常なほどまでに目をつけていた初芝をマークしていた。
そして防衛銀行の資金を全て使い潰そうと目論む初芝を殺すことを計画したことが明らかになった。
この事件を受け国家保安庁は防衛銀行の存在を国民に発表し緊急記者会見を開いた。
しかし専従特攻班は解散とはならず専従特攻班は予定より3日遅れで天湾へ派遣された。
戦争の火蓋がついに切られたのだ。
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