出来損ないの僕に手を差し伸べてくれるイケメン達と美女達

にゃん太

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僕はカルロ・バーテン。見た目は両親には全く似ておらず、髪色は黒に眼は青。耳は魔物の様に尖っている。顔や体には痣のような紋様がある。その姿を見た村人は腰を抜かし、僕に赦しを乞う。助けてくれと。両親や妹にも忌み嫌われているみたい。言葉も交わしてくれず、僕に傷つく言葉を吐いてくる。

「呪われた悪魔め」

「この出来損ないが」

「生きているだけで皆を不幸にする魔物」

「早くくたばれ、この不孝者が」

「さっさと消えろ!こっち見るな!」

「キャーーー!!呪われる!」

目を数秒閉じただけで村人達や身内からの言葉が脳内に響く。まるで呪詛のように。へばり付いていて、取れない。寝不足で作業をちゃんとしないもっと怒られるし、怖がられる。
僕は何もしないよ。この見た目のせい…?この見た目じゃなければみんなと仲良くできた?
いつも涙が溢れ、前が霞む。泣いているとすぐに父に報告されて仕置きを受ける。あれ、とっても痛いんだよな。その痛みを思い出し、体が震える。空を見上げ涙を堪える。太陽が眩しいや。
今日は帰ると、僕のご飯は無くて部屋に押し込められてしまった。今日で2日目。いい加減力が出ない。何か食い物を。
静かに家から抜け出し、食い物を探しに出る。いつも作業している畑の奥にある森へと走った。息を切らしながら、後ろを振り返らずに走った。もしかすると、父が気づいているかもしれない。そんな恐怖で家に戻るの勇気はなかった。

「はぁっはぁっはぁっ…はぁぁぁ、ふーっ。」

全速力で走ったので森に着いてすぐに息が上がる。徐々に速度を緩めて空気を取り込む。森の空気はとても美味しい。満遍なく肺を満たし、長く吐く。それを繰り返し、心拍は落ちついた。
改めて食べれる物を探す。今は春だ。去年もそうだが、この村周辺は春の時期全ての生き物が盛んで、食い逃れる事はない。
手始めに木登りしていたガジュルゲッコーを捕まえ口に運ぶ。このガジュル村の近くに生きているからその名がついたと言われている。手のひらの大きさで生でも食えない事はない。毒はあるが人間には聞かないのだろう。少しピリッと辛くて美味しい。
次にその場にある硬い石でガジュルラビットを捕まえる。小ヤギサイズで捕まえやすい。逃げ足は早いが、罠を作るより不意打ちで石を投げつけて気絶させたほうが鮮度が良くて美味しい。子供の力で穫れるので人気の獲物だ。良く妹も捕まえてスーブや焼き、蒸し物などご馳走を食べていた。
俺には調理する器具はないから生になるが今まで腹を下したことはないから大丈夫だ。
ガジュルラビットで結構お腹いっぱいになる程僕には少し量が多い。残った分は、他の魔物の為に村から離れた所に置いている。持って帰っても怒られるだけだ。それならば、他の魔物の足しになるほうがガジュルラビットを無駄なく残さずにいれる。
思いの外ガジュルラビットを食べていて時間が経ったようで、月が沈むまであと数時間しかない。もうすぐ夜が空ける。早く戻らないと怒られる。僕は速く家まで向かおうと帰路に着こうとした。その時気づいてしまった。
このまま帰ってもまた傷つくだけなんじゃ…。それなら、ここから逃げてしまえば…。もう、怒られることはない。酷い言葉を吐かれる事もない。傷つく事はない。
僕は直ぐに帰路とは反対側を向き、来た時と同じ様に、後ろを振り返らず全速力で森を抜ける為走った。
途中、木々に擦れ頬が切れても足がぬかるみに嵌まっても、足が限界だと訴えても僕は走った。体は辛いと発しているけど僕の心は鎖から抜け出せたみたいに晴れやかだった。飛び跳ねそうな程嬉しく、顔の緩みが止まらない。息を浅く短く吐き、足をもっと速く動かし、目は前だけを向いて僕は走った。
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