クラスで人気の完璧美少女が殺意増し増しで怖い件。そしていつしかデレデレになる

ぽてさら

文字の大きさ
2 / 35

暴走トラック② 勇者ってなに?

しおりを挟む




 その後、何事の無かったかのように帰路についていた二人は、ある一人の少女を間に挟んで歩いていた。
 そう、あの暴走トラックに乗って運転していた少女だ。


「むぅ、悔しいです。今度こそ絶対にぶっ殺して差し上げます」
「頬を可愛く膨らませながら言っても物騒なのは変わりないからね!?」
「あはは、氷石さんは相変わらずだよねぇ。これまで何回仕掛けたんだっけ?」
「今回のでちょうど百回目ですね。キリが良いので折角『如月さんブッ殺記念日』としてラノベの定番である暴走トラックで轢いて差し上げようとしたのにあっさりと躱すんですもの。思春期真っ盛りの男の子なら異世界転生してオレtueeeしてハーレム築きたいでしょう?」



 先程と変わらぬ表情でプンプンとしている聖梨華せりかはくりりっとした瞳を暮人に向けている。

 両手を前にして鞄を持ちながら憤慨。雰囲気は怒っている感じなのだが、彼女の容姿は圧倒的美少女。綺麗な水色の髪を揺らしながら頬を膨らませている姿は例え怒っていたとしても可愛いと暮人は思ってしまう。

 彼の本名は如月きさらぎ暮人くれと。これまで普通の男子高校生だったのだが、聖梨華からの接触により何度も彼女に殺されかかっている。

 何故かというと―――、


「―――ですがまぁ、流石は『回避の勇者・・・・・』様なだけはあります。自身の特性を活かした素晴らしい反応でしたわ!」
「いや殺そうとした本人から言われても!」
「そういえば氷石さんって異世界を管理している女神・・なんだっけ? どうしても暮人を殺さないといけないの?」
「はい、そうなのです!」


 美雪に訊かれると、ふんす、鼻息を荒くしながら目を輝かせるとこれまで何度も説明している内容を語り出す。


「私の管理する世界では『剛腕の勇者』『駿足の勇者』『治癒の勇者』『守護の勇者』といった具合に計四人の勇者がいるんですけど、今までの歴史の中では本当は五人なんですよ。協力して世界を支配しようとしている魔王を倒して貰いたいのですが………」
「んー。確か、今のままじゃダメなんだよね?」


 口元に指を当ててそう返事する美雪に対し、再びプンスカとした表情で話を続ける。


「そうなんですー! 普通勇者は自分の持つ特性の影響を自分の指定する人にも与える事が出来るのですが、彼らったらそれぞれ特性を持っているだけでそれが全く出来なかったんですよねぇ。そしたら実は勇者が五人で、全員が揃ったときにその特性を周りに与えるっていうことが判明したんですよ! それで必死にその五人目の勇者を探してたら、この日本の神友かみともである天照アマテラスちゃんから貴方の事を教えて貰って、彼女にブッ殺の許可を得てからこの私自ら地上に降り立って今現在に至るってーわけですよ!」
「え、天照様って俺のことだいぶ嫌ってない?」

 
 許可を得たというのは暮人にとって今まで聞いたことが無く初耳だ。神は善良な市民を見捨てるのかと内心ショックを受けていると、その表情を見て彼女は言葉を付け足す。


「あ、でもその原因の一端は暮人さん自身にもあるんですよ? 人にはそれぞれ運命というものがあって、勿論それには死も含まれます。如月さんは異世界に必要である『回避』という勇者の特性を持っているので、異世界に転生する為にこの世界で生きる運命が途切れていた筈なんです! 実際に如月さんのこれまでの人生の中で何度か死の危機が迫ったときがあったのでは?」
「うーん? あったっけなぁ………?」
「………………あっ」


 聖梨華の問いに暮人は首を傾げるが、全く思い浮かばない。そんな風に思っていたが、美雪から声が上がる。


「あるよ暮人! 暮人は自覚ないだろうけど一回風邪で死にかけたし、駅の階段前で落ちそうになったときもあった。あとは………小梅こうめちゃんの手料理?」
「あぁごめん小梅………すぐに否定できないのが辛い」
「え、あの可愛らしい妹ちゃんですか? そんな殺人的な料理を作るんですか?」
「シチューを作ろうとしたらいつの間にかショッキングピンクになってたからねぇ………私は暮人に押し付けてなんとか事なきを得たけど」
「確かに三途の川が見えたことは否定しないな………」


 若干声が沈みながら我が妹の笑みを想像する暮人。兄の暮人から見ても彼女の外見の容姿は滅茶苦茶可愛く、勉強や運動能力も抜群で天使のような優しい性格。両親が幼い頃に亡くなってしまったにも拘らず、良くここまで純粋な娘に育ってくれたと兄として心の底からほっと安心している。

 ただ唯一の不安は美雪からの話でもあった通り料理の腕について。


「やっぱり、何度かそういう死の運命が迫っていたのにも拘らず、『回避』の特性を持っているが故に全部回避してしまったのでしょうね。神女子会の時も天照アマテラスちゃんも『なかなか死んでくれない………』って何度も嘆いてましたもん」
「神様まで嘆くほど!?」


 それにしても神も女子会的なの開くんだ………と思わず天照の会話の一部を頭の隅に追いやると、美雪はゆっくりと言葉を口にする。


「でもさ、その四人の勇者は同時に転生してるんでしょ? いくら暮人が『回避』の特性があったとしても氷石さんはそもそも勇者が五人いるって知らなかったんだから………今まで黙ってたけどそれって氷石さんの女神としての怠慢なのでは………?」
「ぎくぅ」


 冷や汗をだらだらと流しながら目をきょどらせるが、彼女はギギギと壊れたブリキ人形のように美雪の方へ顔を向ける。


「か、『回避』! そう、『回避』の特性のせいです! なので私の思考からも『回避』してしまったんでしょうね! そうに違いないです!」
「僕の特性優秀過ぎない………?」
「と、とにかく! 私は諦めませんから! 絶対に如月さんをぶっ殺して差し上げますから!! ではまた明日、学校で会いましょう!!」
「あっ、行っちゃったね………」


 言うや否やすぐさま走り去っていった彼女。残された二人は顔を見合わせると何処からともなく溜息が出た。


「じゃ、これから買い物に行くけど美雪はどうする?」
「ホワイトチョコが食べたい………」
「いいよ、買ってあげる。迷惑かけたお詫び」
「ありがと………」


 そうして二人は近くのスーパーへと歩き出した。



 この物語は幼馴染と一緒に登下校する暮人と彼を狙ってあらゆる手を使い殺そうとしてくる女神との決死の攻防戦である。
 ―――そしていつしか彼と関わっていく内に、殺意増し増しからデレデレになって幼馴染との恋のライバルになる話。




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

イケボすぎる兄が、『義妹の中の人』をやったらバズった件について

のびすけ。
恋愛
春から一人暮らしを始めた大学一年生、天城コウは――ただの一般人だった。 だが、再会した義妹・ひよりのひと言で、そんな日常は吹き飛ぶ。 「お兄ちゃんにしか頼めないの、私の“中の人”になって!」 ひよりはフォロワー20万人超えの人気Vtuber《ひよこまる♪》。 だが突然の喉の不調で、配信ができなくなったらしい。 その代役に選ばれたのが、イケボだけが取り柄のコウ――つまり俺!? 仕方なく始めた“妹の中の人”としての活動だったが、 「え、ひよこまるの声、なんか色っぽくない!?」 「中の人、彼氏か?」 視聴者の反応は想定外。まさかのバズり現象が発生!? しかも、ひよりはそのまま「兄妹ユニット結成♡」を言い出して―― 同居、配信、秘密の関係……って、これほぼ恋人同棲じゃん!? 「お兄ちゃんの声、独り占めしたいのに……他の女と絡まないでよっ!」 代役から始まる、妹と秘密の“中の人”Vライフ×甘々ハーレムラブコメ、ここに開幕!

俺をフッた幼馴染が、トップアイドルになって「もう一度やり直したい」と言ってきた

夏見ナイ
恋愛
平凡な大学生・藤堂蓮には忘れられない過去がある。高校時代、告白した幼馴染の星宮瑠奈に「アイドルになるから」とこっ酷くフラれたことだ。 数年後、瑠奈は国民的アイドル『LUNA』として輝いていた。遠い世界の住人になった彼女との再会なんて、あるはずもなかった――そう、変装した彼女が俺の前に現れ、「もう一度やり直したい」と泣きつくまでは。 トップアイドルの立場を使い強引に迫る元幼馴染と、過去の傷。揺れ動く俺の日常を照らしてくれたのは、俺の才能を信じてくれる後輩・朝霧陽葵の存在だった。 俺をフッた幼馴染か、俺を支える後輩か。過去の清算と未来の選択を描く、ほろ苦くも甘い、逆転ラブコメディ、開幕。

SSS級の絶世の超絶美少女達がやたらと俺にだけ見え見えな好意を寄せてくる件について。〜絶対に俺を攻略したいSSS級の美少女たちの攻防戦〜

沢田美
恋愛
「ごめんね、八杉くん」 中学三年の夏祭り。一途な初恋は、花火と共に儚く散った。 それ以来、八杉裕一(やすぎ・ゆういち)は誓った。「高校では恋愛なんて面倒なものとは無縁の、平穏なオタク生活を送る」と。  だが、入学した紫水高校には《楽園の世代》と呼ばれる四人のSSS級美少女――通称《四皇》が君臨していた。  • 距離感バグり気味の金髪幼馴染・神行胱。  • 圧倒的カリスマで「恋の沼」に突き落とす銀髪美少女・銀咲明日香。  • 無自覚に男たちの初恋を奪う、おっとりした「女神」・足立模。  • オタクにも優しい一万年に一人の最高ギャル・川瀬優里。  恋愛から距離を置きたい裕一の願いも虚しく、彼女たちはなぜか彼にだけ、見え見えな好意を寄せ始める。 教室での「あーん」に、放課後のアニメイトでの遭遇、さらには女神からの「一緒にホラー漫画を買いに行かない?」というお誘いまで。  「俺の身にもなれ! 荷が重すぎるんだよ!」  鋼の意志でスルーしようとする裕一だが、彼女たちの純粋で猛烈なアプローチは止まらない。 恋愛拒否気味な少年と、彼を絶対に攻略したい最強美少女たちの、ちょっと面倒で、でも最高に心地よい「激推し」ラブコメ、開幕!

クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について

沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。 かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。 しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。 現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。 その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。 「今日から私、あなたのメイドになります!」 なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!? 謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける! カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

処理中です...