陰キャな僕とゆるふわ系天使とのいちゃあま共同作業! ~あれ、実は腹黒?な美少女がぐいぐい僕に構ってくる~

ぽてさら

文字の大きさ
81 / 98
第三幕 天使との距離

回想⑥ ~夏休みの運命の出逢い~

しおりを挟む






『―――なぁ来人。お前最近俺らの誘い断るけど、休みの日に何してんだ?』
『……え? 急にどうしたの光輝?』
『いや、せっかく俺らの予定が合ったのに、遊ばないのは何か理由があるのかって思ったからよ』
『んー、まぁ来年高校受験だし本気で勉強に取り組んでこうかなって思ってさ』
『へー、相変わらず真面目だな』


 僕が図書館に通うようになって、それから約一年が経過して中学三年生になった。
 季節は立夏になったばかりで、その日は僕と光輝は先生からの頼みごとを終えた帰り道だった。綺麗な夕陽が差していたけど、妙に風が生暖かったのを覚えているよ。


『そう言う光輝は遊んでて大丈夫? 来月に部活引退だとしても、今からでもしっかり勉強してた方が良いんじゃ―――』
『―――そんなのわかってんだよ……!』
『あ、あぁ、ごめん光輝。そうだよね、余計なお世話だったよね……!』
『い、いや……俺の方こそわりぃ』


 僕はねーちゃんも入学した偏差値の高い私立白亜高校に入学を決めていたけど、光輝は進路の方で悩んでいるようだった。

 サッカー部の朝練や部活が忙しかったからか授業中は居眠りが多くテストは平均点かそれ以下。なかなか成績が上がらず、結衣さんに訊いた話だと病院を経営してる両親からも苦言くげんていされていたみたい。

 だからだろうね、光輝は少しピリピリした雰囲気を出すようになった。


 そして中学最後の夏休みになって図書館で……。あー……、僕はある綺麗な女の子に出逢うんだ。……って、あ、あれー? てっきり僕、風花さんからまた女の子が出てきたとか言われると思ったんだけど。

 うわぁ、す、すごい嬉しそうににこにこしてるね……。どうして……あ、うん、話し続けるね。


『………やはりこのヒロインの魅力はただ天真爛漫てんしんらんまんなだけじゃないのよ。主人公の些細な感情の変化に気が付く視野の広さこそが……!』
『……文音さん。ところで前から思ってて言わなかったんですけどここでサボってて良いんですか?』
『………(ふいっ)』
『そっと顔を背けないでくれませんか!? あとさっきから貴方の上司らしき人がこっち睨んでるんですよ怖いです!?』
『………仕方ないわね。ちょっとやっつけてくるわ』
『仕事をですよね!?』


 その日は高校入試に向けて夏季講習が学校で開かれていたんだけど、僕はテストの点数や授業中の成績が良かったから、成績上位の人限定で夏期講習が免除されていたんだ。
 だから僕は午前中に図書館に行った。

 本当だったら、高校入試が控えてる受験生なんだから家に籠って勉強しているべきなんだろうけど、息抜きは当然必要でしょ?
 だから僕は勉強道具と共にラノベを図書館に持って行って気分転換してたんだー。

 ……あぁ、因みに光輝たちのグループは全員参加だったよ。って言っても、光輝以外は特に成績酷くはなかったけどね。十位以内に洩れたんだから仕方がない。

 それは置いておいて……図書館は良いよ。本の匂いとか静かなところとか……。何より冷房が効いているのが決め手!
 懐かしいな。環境的に勉強ははかどるし、休憩するときは読書するか文音さんと話せるし、夏休みはほぼ毎日通っていたよ……。

 ……え、毎日は息抜きじゃないって? じゃあ言い直すとルーティーンかな! 日課だったよ!

 それで、女の子に出逢った話の続きね。合間合間に勉強をして、主にラノベを読んだり文音さんとお話をしたり休憩してたんだけど、彼女が仕事に戻ってしばらく経ってからかな?

 さっき言った、綺麗な黒髪ロングの女の子が不思議そうな表情でいきなり僕に話しかけてきたんだ。


『―――ねぇ、その本って面白い?』
『え………?』


 長い艶のある黒髪に白のショルダータックプルオーバー、ネイビーのフレアスカートを身に纏った女の子。
 初めはびっくりしたよ。なんせラノベを読んでる僕にいきなり知らない子が話しかけてくるなんて思わなかったし、まるで物語から出てきたかのような背筋をピンと伸ばしたお嬢様然とした立ち姿をしてたからね。

 長時間外にいたのか汗だくだったけど、彼女が持つ美貌とか美しさは全く損なわれていなかったよ。しかもなんかすごい良い匂いだった。

 ……? 風花さん、なんで顔を背けながら腕を口元に寄せてるの? 気のせいか顔が赤く……くしゃみがでそうって? ……あぁ、出なかったんだね。あるある。

 じゃあ話を戻すね。彼女は僕にそう聞くと、ハッとした表情で口を開いたんだ。


『と、隣、座ってもいいですか?』
『ああ、どうぞどうぞ! ええと、このラノベ……"ライトノベル"のことだったよね?』
『その手の平ほどの大きさの本は、らいとのべる……と言うのですか』
『あはは、やっぱり普通の人は聞き慣れてないよね……』
『はい、ごめんなさい……。でも、とても気になってしまったんです』
『気になったって……もしかして僕、どこか変だったかな? 服装とか?』
『いえ、服装のことではなくて……もし機嫌を損ねてしまったら、ごめんなさい』
『う、うん……大丈夫』
『―――そのライトノベルを夢中に読んでいるキミのお姿が、とても気になりました……!』


 その子は大人びた真面目な顔をしてたんだけど、その表情には隠し切れないほどの興味や喜色が浮かんでいてね。当時、その雰囲気と子供のようなギャップにすっごく心が和んだんだ。あはは、懐かしいなぁ。


『なので、よろしければそのライトノベルのことを是非教えて頂けると―――』
『ぷっ』
『なぁっ!? わ、笑わないでください!』
『あぁ、いやいやごめんね。なんだか案外子供みたいで可愛くって』
『か、可愛いですか……って子供みたいぃ!? は、初めてそんなこと言われました……。失礼ですね。私、これでも来年高校生なのですが……!!』
『あ、じゃあ同い年じゃん。僕と歳は一緒だね』


 最初は優しい笑みを浮かべた真面目な子かと思ったら意外と感情が豊かで、話してるとすごく楽しかったんだ。上位グループみたいに気を使わなくていい分、一緒に話してると落ち着く感じ。まぁ彼女がどうだったかは分からないんだけどね。

 でも僕が彼女と話すのが楽しいと思ったら、それだけその違和感は大きくなったんだ。


『ねぇ、なんだかさっきから無理してる?』
『―――え』
『うーん、表情が柔らかい割にはどこか辛そうに見えるし、言葉遣いも……なんだろう、"言わされてる感"? があるんだよねぇ?』
『………………』


 彼女の浮かべる表情が、なんだかうっすらと張り付いた仮面のように見えたんだ。自然な感じじゃなくて、まるで"誰に対しても同じ上辺だけの笑み"みたいな。彼女の話す敬語も自然なんだけどどこかぎこちない感じがあってね。

 ……まぁ今思えば、初対面の人に言い過ぎだったのかなってちょっと後悔してるんだけどね。いくら最近光輝達と会話を合わせるのが疲れていたとしても、彼女と話すのが楽しいからって思わずはっきり言っちゃったのは若気の至りってやつなのかなー……あははー。

 そしたら彼女、案の定顔が強張って不安そうに視線を揺らしたんだ。いきなり不躾な言葉を言ったことに気が付かない僕はあれ?って思いながらも、少し話しただけで心を落ち着かせてくれる彼女を笑顔にしたくてさ。

 こう言ったんだ。


『わかった、このラノベのこと教えてあげる。その代わり、僕のお願い訊いて貰っても良いかな?』
『……わかり、ました。私に出来る範囲なら出来る限り応えましょう。将来的な地位や名声ですか? それともおか―――』
『―――キミの名前、教えて欲しいな』
『……は?』


 僕がそう言った時の彼女の顔、まるでは鳩が豆鉄砲喰らったみたいな表情してたなぁ。すぐに何か思い至ったような顔をしたあとなんと彼女、笑ったんだ。

 最初会ったときとは比べ物にならないとても自然な、綺麗な表情で、ね。


『あぁ、人に名前を訊ねるときはまず自分からだね! 僕は阿久津 来人あくつらいとっていうなま……』
『ふっ、ふふふ……っ! あははははっ……!』
『ちょ……っ! し、しぃー……! ここ休憩スペースだけど一応図書館だからね……っ!? 声のボリューム下げてー……っ!』
『ふふっ、ご、ごめんなさい。なんだかおかしくって……!』
『お、おかしいって……。名前訊くのがそんなにおかしいかな……?』
『ううん。……ありがとう・・・・・
『?』


 何故か感謝を告げるとそのまま憑き物が落ちた様な表情をした。澄み渡る青空のような笑みで彼女は僕に名前を言ってくれたんだ。


『私の名前は宝条ほうじょうです。阿久津くん、是非覚えてくださいね?』
『宝条さん……え、苗字だけ? 下の名前は?』
『えへへ、ライトノベルのことたくさん教えてくれたら、下の名前も教えてあげます!』


 これが僕と宝条さんとの出逢い。僕の図書館に行く楽しみがまた一つ増えた瞬間だった。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

元暗殺者の俺だけが、クラスの地味系美少女が地下アイドルなことを知っている

甘酢ニノ
恋愛
クラス一の美少女・強羅ひまりには、誰にも言えない秘密がある。 実は“売れない地下アイドル”として活動しているのだ。 偶然その正体を知ってしまったのは、無愛想で怖がられがちな同級生・兎山類。 けれど彼は、泣いていたひまりをそっと励ましたことも忘れていて……。 不器用な彼女の願いを胸に、類はひまりの“支え役”になっていく。 真面目で不器用なアイドルと、寡黙だけど優しい少年が紡ぐ、 少し切なくて甘い青春ラブコメ。

あなたがいなくなった後 〜シングルマザーになった途端、義弟から愛され始めました〜

瀬崎由美
恋愛
石橋優香は夫大輝との子供を出産したばかりの二十七歳の専業主婦。三歳歳上の大輝とは大学時代のサークルの先輩後輩で、卒業後に再会したのがキッカケで付き合い始めて結婚した。 まだ生後一か月の息子を手探りで育てて、寝不足の日々。朝、いつもと同じように仕事へと送り出した夫は職場での事故で帰らぬ人となる。乳児を抱えシングルマザーとなってしまった優香のことを支えてくれたのは、夫の弟である宏樹だった。二歳年上で公認会計士である宏樹は優香に変わって葬儀やその他を取り仕切ってくれ、事あるごとに家の様子を見にきて、二人のことを気に掛けてくれていた。 息子の為にと自立を考えた優香は、働きに出ることを考える。それを知った宏樹は自分の経営する会計事務所に勤めることを勧めてくれる。陽太が保育園に入れることができる月齢になって義弟のオフィスで働き始めてしばらく、宏樹の不在時に彼の元カノだと名乗る女性が訪れて来、宏樹へと復縁を迫ってくる。宏樹から断られて逆切れした元カノによって、彼が優香のことをずっと想い続けていたことを暴露されてしまう。 あっさりと認めた宏樹は、「今は兄貴の代役でもいい」そういって、優香の傍にいたいと願った。 夫とは真逆のタイプの宏樹だったが、優しく支えてくれるところは同じで…… 夫のことを想い続けるも、義弟のことも完全には拒絶することができない優香。

それは、ホントに不可抗力で。

樹沙都
恋愛
これ以上他人に振り回されるのはまっぴらごめんと一大決意。人生における全ての無駄を排除し、おひとりさまを謳歌する歩夢の前に、ひとりの男が立ちはだかった。 「まさか、夫の顔……を、忘れたとは言わないだろうな? 奥さん」 その婚姻は、天の啓示か、はたまた……ついうっかり、か。 恋に仕事に人間関係にと翻弄されるお人好しオンナ関口歩夢と腹黒大魔王小林尊の攻防戦。 まさにいま、開始のゴングが鳴った。 まあね、所詮、人生は不可抗力でできている。わけよ。とほほっ。

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

全力でおせっかいさせていただきます。―私はツンで美形な先輩の食事係―

入海月子
青春
佐伯優は高校1年生。カメラが趣味。ある日、高校の屋上で出会った超美形の先輩、久住遥斗にモデルになってもらうかわりに、彼の昼食を用意する約束をした。 遥斗はなぜか学校に住みついていて、衣食は女生徒からもらったものでまかなっていた。その報酬とは遥斗に抱いてもらえるというもの。 本当なの?遥斗が気になって仕方ない優は――。 優が薄幸の遥斗を笑顔にしようと頑張る話です。

『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』

鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、 仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。 厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議―― 最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。 だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、 結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。 そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、 次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。 同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。 数々の試練が二人を襲うが―― 蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、 結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。 そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、 秘書と社長の関係を静かに越えていく。 「これからの人生も、そばで支えてほしい。」 それは、彼が初めて見せた弱さであり、 結衣だけに向けた真剣な想いだった。 秘書として。 一人の女性として。 結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。 仕事も恋も全力で駆け抜ける、 “冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。

クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について

沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。 かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。 しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。 現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。 その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。 「今日から私、あなたのメイドになります!」 なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!? 謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける! カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!

お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?

すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。 お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」 その母は・・迎えにくることは無かった。 代わりに迎えに来た『父』と『兄』。 私の引き取り先は『本当の家』だった。 お父さん「鈴の家だよ?」 鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」 新しい家で始まる生活。 でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。 鈴「うぁ・・・・。」 兄「鈴!?」 倒れることが多くなっていく日々・・・。 そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。 『もう・・妹にみれない・・・。』 『お兄ちゃん・・・。』 「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」 「ーーーーっ!」 ※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。 ※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 ※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。 ※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)

処理中です...