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Ⅰ-53 魔法武具
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■第3迷宮地下
開けた木箱の中にもボロボロになった布切れしか見えなかった。
だが、何かがこの布に包まれているはずだ・・・、剣? いや、刀か?
埃まみれの布をめくると日本刀のように反りのある剣が出て来た。
サトルは刀剣には詳しくないので良くわからないが、柄と鍔は西洋の剣みたいなこしらえになっている。和洋折衷?
木製の鞘は革で巻いて補強してあるようだが、ところどころにひびが入っている。
手に持つとずっしりとした重量感がある。
立ち上がって鞘から抜いてみた。
驚くほど滑らかに鞘から抜けてきた刀身は投光器の光を受けて刃先から鋭い光を反射させていた。
-綺麗だ。
手に持った刀は素人のサトルが見ても美しく、そして切れそうに見える。
数百年前に作られたと言う年月の経過は感じられない。
「それは、魔法武具でしょう。おそらく炎の刀と言われた物です」
ハンスは地面に膝を突いたまま、刀の刀身を見上げていた。
「炎の刀? どんな風に使うの?」
ハンスに刀を渡すと俺たちから少し離れて片手で正眼に構えた。
少し目を細めたと思った瞬間に刀身の半分ぐらいが炎に包まれた!
振り上げて刀を振って行くと、刀身から炎が伸びて行くように見える。
回転して横に振れば綺麗な炎の円弧が空を切り裂いていく。
「炎の刀は魔法力が弱い者でも魔法剣が使えるように作られたと聞いています。集中しなくとも、刀身からは炎が消えません」
ハンスが話しているあいだも右手に持った刀身は炎をまとったままだった。
-炎の魔法剣、リッグスが刃先も伸びると言っていた。
「じゃあ、その刀はハンスさんが持って置いてくださいよ。片手だから不自由だとは思いますけど」
ハンスは炎を消した刀を俺が持つ鞘に収めてから左腰のベルトに刀を差した。
今は使える方の右手に盾を持っているから、使うときには盾を投げ捨てなければならないことになる。
左手に盾を装着できるように考えてやる方が良いかもしれない。
隠し穴の奥に他には何も無いことを確認して部屋から撤収することにした。
念のために刀が入っていた木箱もストレージに入れておいた。
「サトル!」
準備が整った俺をミーシャが鋭い声で呼んだ。
入り口手前で待っていたミーシャは地上に戻るための洞窟を指差している。
近づいて洞窟の奥にライトの光を当てると、床がうねっているように見えた。
よく見ると・・・蛇だ!
ウネウネしたのが大量にこちらに向かってきていて、まるで床全体が進んできているようだ。
俺はショットガンをフルオートで連射して、先頭集団を何度も弾き飛ばした。
だが、屍を乗り越えてくる数の方が圧倒的に多い。
どんどんこっちに近づいてくる。ミーシャも弓を放つが数が多すぎて全然追いつかない。
「サリナ! 洞窟いっぱいの大きさの炎であの蛇を焼き続けろ!」
「わかった!」
サリナがロッドを洞窟に向けた瞬間に洞窟の穴全体が紅蓮の炎に包まれた。
蛇どもは火の中でのた打ち回っている。
30秒ほどそのままにしてからサリナに炎を止めさせた。
炎の跡からは焼け焦げた匂いが漂い、カリカリになった蛇たちの死骸が見えた。
それでも、焼け焦げの向こうから蛇の行軍がまだ続いている。
「もう少し先の地面に炎を出してくれ!」
「わかった!」
いつも、返事が素直でわかりやすい。後で褒めてやろう。
放たれた炎はさっきより小さかったが、床一面に広がって後続の蛇を焼いていく。
炎のタイミングがずれて通り抜けてくるヤツはショットガンで吹き飛ばす。
俺達はサリナの炎で蛇を焼き払いながら洞窟を戻って行き始めた。
蛇がどこから沸いてきたのか疑問だったが、炎を床に放ちながら歩いていくと洞窟の壁には下の方に何箇所か穴が開いているのが見つかった。
穴の先に蛇どものねぐらがあったのかもしれない。
蛇はそんなに大きくは無かったが毒を持っている可能性がある。
焼かれたはずの蛇が動いていないか、慎重に足元を見ながら洞窟の外に出た。
階段まで戻って太陽の光が見えると安心する。
その場でペットボトルの水と栄養ゼリーで少し休憩を取ってから迷路の探索に戻った。
大きな階段を登る途中で上から1頭の虎が飛び出してきたがミーシャが瞬殺してくれた。
地上に戻ってからも出てくる魔獣は殆どがサンドティーガーだったが、俺が銃を撃つことは一度も無かった。
前回ミーシャが退屈にしていた気持ちがわかってきた。
敵は沢山いるのに全部ミーシャ様がやっつけてくれるのだから。
迷路にもう一つあった天井は単なる天井で俺たちは無事に迷路の中心と思われる場所へたどり着いた。
洞窟で時間を取られたがそれでもトータル3時間ぐらいだ。
迷路も答えを見ながら進めば迷路の役目を果たせていないが、全てはドローンあってのことだ。もし、偵察をしてなければ1日で攻略できなかった可能性もある。
たどり着いた中心の建物は土で作られた円柱のようなものだった。
高さは5メートルほど、直径も同じぐらいに見える。
周りから観察すると出入り口は2箇所あるが、中に壁などは無いからどちらから入っても同じように思えた。
床の中心に直径1メートルぐらいの穴が開いているようだが、離れて見ていても良くわからない。
近づいて中を覗いてみると、建物の中には外から見えた穴しかなかった。
サリナに天井付近に炎を出させて壁をみると・・・、絵が書いてあるのを見つけた。
この迷宮を作ったやつはしゃれっ気がある、それに俺と同じ地球から来たやつに違いない。
絵は4コマ漫画のようになっていた。
1コマ目は集落の井戸の周りに大人達が集まってなにやら話し合っている。
2コマ目は川まで子供たちが大きな瓶をもって水を汲みに行っている。
3コマ目は誰かがが井戸に水を満たしていた。
4コマ目は井戸の周りでその誰かを大勢の人間が拝んでいる。
井戸に水を満たしている人間は周りと服装が少し違うから旅人なのかもしれない。
絵が下手くそだが、どうやら枯れた井戸を旅人が満たしたという事が言いたいのだろう。
だったら、目の前に開いている穴は井戸なのか?
穴の底を覗いてみるがライトの光では見えない深さがある。
ケミカルライトを発光させて下まで落としてみた。
3秒ぐらい落下して着地した、30メートル、いや50メートルはあるのかもしれない。
ロープを使って降りたほうが良いのか?
しかし、ここに絵があるということはヒントをくれたつもりなのだろう。
せっかくだ、先人のヒントに乗っかることにしよう。
開けた木箱の中にもボロボロになった布切れしか見えなかった。
だが、何かがこの布に包まれているはずだ・・・、剣? いや、刀か?
埃まみれの布をめくると日本刀のように反りのある剣が出て来た。
サトルは刀剣には詳しくないので良くわからないが、柄と鍔は西洋の剣みたいなこしらえになっている。和洋折衷?
木製の鞘は革で巻いて補強してあるようだが、ところどころにひびが入っている。
手に持つとずっしりとした重量感がある。
立ち上がって鞘から抜いてみた。
驚くほど滑らかに鞘から抜けてきた刀身は投光器の光を受けて刃先から鋭い光を反射させていた。
-綺麗だ。
手に持った刀は素人のサトルが見ても美しく、そして切れそうに見える。
数百年前に作られたと言う年月の経過は感じられない。
「それは、魔法武具でしょう。おそらく炎の刀と言われた物です」
ハンスは地面に膝を突いたまま、刀の刀身を見上げていた。
「炎の刀? どんな風に使うの?」
ハンスに刀を渡すと俺たちから少し離れて片手で正眼に構えた。
少し目を細めたと思った瞬間に刀身の半分ぐらいが炎に包まれた!
振り上げて刀を振って行くと、刀身から炎が伸びて行くように見える。
回転して横に振れば綺麗な炎の円弧が空を切り裂いていく。
「炎の刀は魔法力が弱い者でも魔法剣が使えるように作られたと聞いています。集中しなくとも、刀身からは炎が消えません」
ハンスが話しているあいだも右手に持った刀身は炎をまとったままだった。
-炎の魔法剣、リッグスが刃先も伸びると言っていた。
「じゃあ、その刀はハンスさんが持って置いてくださいよ。片手だから不自由だとは思いますけど」
ハンスは炎を消した刀を俺が持つ鞘に収めてから左腰のベルトに刀を差した。
今は使える方の右手に盾を持っているから、使うときには盾を投げ捨てなければならないことになる。
左手に盾を装着できるように考えてやる方が良いかもしれない。
隠し穴の奥に他には何も無いことを確認して部屋から撤収することにした。
念のために刀が入っていた木箱もストレージに入れておいた。
「サトル!」
準備が整った俺をミーシャが鋭い声で呼んだ。
入り口手前で待っていたミーシャは地上に戻るための洞窟を指差している。
近づいて洞窟の奥にライトの光を当てると、床がうねっているように見えた。
よく見ると・・・蛇だ!
ウネウネしたのが大量にこちらに向かってきていて、まるで床全体が進んできているようだ。
俺はショットガンをフルオートで連射して、先頭集団を何度も弾き飛ばした。
だが、屍を乗り越えてくる数の方が圧倒的に多い。
どんどんこっちに近づいてくる。ミーシャも弓を放つが数が多すぎて全然追いつかない。
「サリナ! 洞窟いっぱいの大きさの炎であの蛇を焼き続けろ!」
「わかった!」
サリナがロッドを洞窟に向けた瞬間に洞窟の穴全体が紅蓮の炎に包まれた。
蛇どもは火の中でのた打ち回っている。
30秒ほどそのままにしてからサリナに炎を止めさせた。
炎の跡からは焼け焦げた匂いが漂い、カリカリになった蛇たちの死骸が見えた。
それでも、焼け焦げの向こうから蛇の行軍がまだ続いている。
「もう少し先の地面に炎を出してくれ!」
「わかった!」
いつも、返事が素直でわかりやすい。後で褒めてやろう。
放たれた炎はさっきより小さかったが、床一面に広がって後続の蛇を焼いていく。
炎のタイミングがずれて通り抜けてくるヤツはショットガンで吹き飛ばす。
俺達はサリナの炎で蛇を焼き払いながら洞窟を戻って行き始めた。
蛇がどこから沸いてきたのか疑問だったが、炎を床に放ちながら歩いていくと洞窟の壁には下の方に何箇所か穴が開いているのが見つかった。
穴の先に蛇どものねぐらがあったのかもしれない。
蛇はそんなに大きくは無かったが毒を持っている可能性がある。
焼かれたはずの蛇が動いていないか、慎重に足元を見ながら洞窟の外に出た。
階段まで戻って太陽の光が見えると安心する。
その場でペットボトルの水と栄養ゼリーで少し休憩を取ってから迷路の探索に戻った。
大きな階段を登る途中で上から1頭の虎が飛び出してきたがミーシャが瞬殺してくれた。
地上に戻ってからも出てくる魔獣は殆どがサンドティーガーだったが、俺が銃を撃つことは一度も無かった。
前回ミーシャが退屈にしていた気持ちがわかってきた。
敵は沢山いるのに全部ミーシャ様がやっつけてくれるのだから。
迷路にもう一つあった天井は単なる天井で俺たちは無事に迷路の中心と思われる場所へたどり着いた。
洞窟で時間を取られたがそれでもトータル3時間ぐらいだ。
迷路も答えを見ながら進めば迷路の役目を果たせていないが、全てはドローンあってのことだ。もし、偵察をしてなければ1日で攻略できなかった可能性もある。
たどり着いた中心の建物は土で作られた円柱のようなものだった。
高さは5メートルほど、直径も同じぐらいに見える。
周りから観察すると出入り口は2箇所あるが、中に壁などは無いからどちらから入っても同じように思えた。
床の中心に直径1メートルぐらいの穴が開いているようだが、離れて見ていても良くわからない。
近づいて中を覗いてみると、建物の中には外から見えた穴しかなかった。
サリナに天井付近に炎を出させて壁をみると・・・、絵が書いてあるのを見つけた。
この迷宮を作ったやつはしゃれっ気がある、それに俺と同じ地球から来たやつに違いない。
絵は4コマ漫画のようになっていた。
1コマ目は集落の井戸の周りに大人達が集まってなにやら話し合っている。
2コマ目は川まで子供たちが大きな瓶をもって水を汲みに行っている。
3コマ目は誰かがが井戸に水を満たしていた。
4コマ目は井戸の周りでその誰かを大勢の人間が拝んでいる。
井戸に水を満たしている人間は周りと服装が少し違うから旅人なのかもしれない。
絵が下手くそだが、どうやら枯れた井戸を旅人が満たしたという事が言いたいのだろう。
だったら、目の前に開いている穴は井戸なのか?
穴の底を覗いてみるがライトの光では見えない深さがある。
ケミカルライトを発光させて下まで落としてみた。
3秒ぐらい落下して着地した、30メートル、いや50メートルはあるのかもしれない。
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