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勇者を目指して
12.魔法士の力と聖教石
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■スタートス聖教会裏
「勇者様!!」
駆け寄ってきたノックスが息を切らして、タケルの聖教石を指差している。
ノックスも自分の聖教石を胸から取り出した。
マリンダとブラックモアも同じように取り出している。
ノックスの聖教石を見ると、タケルと同じ青色に見えたがタケルの青よりも更に濃い色のようだ。
マリンダとノックスは緑色だが、少しマリンダの聖教石のほうが色は濃い気がする。
(色が変化するのかな?)と怪訝な顔でタケルは3人を見つめた。
「この聖教石は神への祈りの強さ、すなわち魔法の強さにより、色が変化いたします。最初は無色に近い水色ですが、強さに応じて黄、緑、青、赤、そして黄金色に変わるのです。」
「聖教会の教会魔法士は緑以上、そして司祭は青以上の強さを持つのが普通ですが、初めて魔法を使って、聖教石が青になったと言うのは、この世界では存在しえない力の強さです。」ノックスは、興奮しながらタケルにまくし立てた。
「私の場合は教会武術士ですが、やはり神への祈りを武術に活用しております。魔法士と同じく、教会武術士は緑以上と定められておりますが、緑には魔法力の強いものでも早くて5年、青にいたっては、限られた人間しかたどり着けないものです。」ブラックモアも自分の聖教石を持ち上げる。
「私も、青色に変化をするまでには20年以上の歳月が掛かっております。無論、勇者様とお比べしてよいものではないでしょうが、我々は改めて勇者様の魔法適正に感動いたしております。是非、引き続きお力を鍛錬くださいませ。」ノックスはそう言って、タケルに頭を垂れた。
タケルには、そのすごさはあまり解らなかったが、素直に喜ぶことにした。
「ありがとうございます。魔法が向いていると言うなら、がんばります。皆さんも引き続きご助力ください。」あえてマリンダを見て、タケルはにっこり笑ってみた。
ミレーヌが、昼食ができたと、空き地まで呼びにきてくれたので、ノックス達と別れて4人で食堂へ向かった。
■ 聖教会 食堂
昼食はパンとスープと干し肉を焼いたものだった。
スープを持ってきてくれたミレーヌにタケルは気になっていたことを聞いた。
「この料理って、ミレーヌも毎日食べてるような料理? それとも、勇者用にぜいたくなものだったりする?」
「ぜいたくって事はないけど、私たちはそもそも1日に2食が普通だからね。食べる回数は勇者様達とは違うわね。」
「このあたりは、食べ物が不足したりはしない場所?」
「スタートスは小さな田舎町だけど、水や食べ物はたっぷりあるわよ、麦や野菜もたくさん取れるし、森には食べられるお肉の元がドッサリいるしね。今晩もご馳走作るから楽しみにしてね。」そういって、ミレーヌは厨房へ戻っていった。
(言葉通りなら良いけど)と考えながら、タケルはパンと干し肉を口に放りこんだ。
「タケル君はいろんなことが気になるタイプなのねぇ。」とナカジーがスプーンを片手にタケルを見る。
「そうっスよね。今までのリーダーとはチョット違うって言うか・・・。」とダイスケも首を捻っている。
「性格的に『自分だけ良ければ』ってあまり思えなくてね、『この町の人が無理してないか?』が気になっちゃって。損な性分かもね。」肩をすくめてタケルは応じた。
「いや、全然そのほうがいいと思いますよ。」予想外にダイスケが強めに肯定してくれたので、少し驚いた。
ナカジーとアキラさんも強く頷いている。
「じゃあ、引き続きその方向で行きますかね。」とタケルは照れ隠しに笑顔をうかべて皆を見た。
「とはいえ、正反対のことをこの町の人に相談したいんだよね~。みんなお風呂が欲しくない?」
「欲しーい!」
ナカジーが手を上げている。あとの二人も手を上げた。
「だよねぇ。お願いしたら、とりあえずはお湯を沸かす仕組みと衝立(ついたて)に囲まれた場所を作ってくれないかなぁと思ってさ。浴槽はあとで考えるとして、お湯で体を洗えるプライベート空間があるだけで、全然違うと思うんだけど。」
「だから、今日の夜にでも、スティンに相談しようと思ってるんだ。まずは、この町の技術だと何ができそうかをね。」と自分の考えていたことを伝えた。
3人から拍手で同意をもらえたので、次の話を相談する。
「ところで、日本での明日は3人とも、この2泊3日の派遣シフトに入ってもらうって事でいいのかな?」とタケルが3人に確認すると、大丈夫と返事が返って来た。
「だったら、風呂もそうだけど、やっぱり衛生環境とか居心地って、この先も長くこの町にいるなら大事だよね? そこで、向こうから何を持ってくると便利かをそれぞれ考えて欲しいんだよね。」
「個人的に一番欲しいのは、歯ブラシだけどチョット難しそう。それ以外で持ってこようと思ってるのは「塩」「紙」「鉛筆」「タオル」「わりばし」「下着類」ぐらいかな?」
「何とか天然素材だけで運べないかを考えて持ってくるつもり。次は洞窟じゃなくてこの町に着くんだよね?」タケルはナカジーに確認する。
「そうそう、教会の奥の部屋に水晶の柱がある部屋があるから、そこに「ポン」って出てくる。そういう点では、食べ物とかでも手で持てるものは大丈夫じゃないかな?私も考えてみるわ。」ナカジーもかなり乗り気になっている。
タケルは教会に戻る前に厨房のミレーヌさんにスティンに今夜会いたいことを伝えた。
ミレーヌさんから聞くところによれば、スティンはこの町のリーダー役だそうで、普段の畑仕事以外に大工仕事を得意としているらしい。
タケル達の宿舎部分もスティン達が勇者のために増築したものだそうだ。
(お風呂作ってくれるかな~?)
スティンの体格を思い浮かべながら、タケルは教会へ向かった。
「勇者様!!」
駆け寄ってきたノックスが息を切らして、タケルの聖教石を指差している。
ノックスも自分の聖教石を胸から取り出した。
マリンダとブラックモアも同じように取り出している。
ノックスの聖教石を見ると、タケルと同じ青色に見えたがタケルの青よりも更に濃い色のようだ。
マリンダとノックスは緑色だが、少しマリンダの聖教石のほうが色は濃い気がする。
(色が変化するのかな?)と怪訝な顔でタケルは3人を見つめた。
「この聖教石は神への祈りの強さ、すなわち魔法の強さにより、色が変化いたします。最初は無色に近い水色ですが、強さに応じて黄、緑、青、赤、そして黄金色に変わるのです。」
「聖教会の教会魔法士は緑以上、そして司祭は青以上の強さを持つのが普通ですが、初めて魔法を使って、聖教石が青になったと言うのは、この世界では存在しえない力の強さです。」ノックスは、興奮しながらタケルにまくし立てた。
「私の場合は教会武術士ですが、やはり神への祈りを武術に活用しております。魔法士と同じく、教会武術士は緑以上と定められておりますが、緑には魔法力の強いものでも早くて5年、青にいたっては、限られた人間しかたどり着けないものです。」ブラックモアも自分の聖教石を持ち上げる。
「私も、青色に変化をするまでには20年以上の歳月が掛かっております。無論、勇者様とお比べしてよいものではないでしょうが、我々は改めて勇者様の魔法適正に感動いたしております。是非、引き続きお力を鍛錬くださいませ。」ノックスはそう言って、タケルに頭を垂れた。
タケルには、そのすごさはあまり解らなかったが、素直に喜ぶことにした。
「ありがとうございます。魔法が向いていると言うなら、がんばります。皆さんも引き続きご助力ください。」あえてマリンダを見て、タケルはにっこり笑ってみた。
ミレーヌが、昼食ができたと、空き地まで呼びにきてくれたので、ノックス達と別れて4人で食堂へ向かった。
■ 聖教会 食堂
昼食はパンとスープと干し肉を焼いたものだった。
スープを持ってきてくれたミレーヌにタケルは気になっていたことを聞いた。
「この料理って、ミレーヌも毎日食べてるような料理? それとも、勇者用にぜいたくなものだったりする?」
「ぜいたくって事はないけど、私たちはそもそも1日に2食が普通だからね。食べる回数は勇者様達とは違うわね。」
「このあたりは、食べ物が不足したりはしない場所?」
「スタートスは小さな田舎町だけど、水や食べ物はたっぷりあるわよ、麦や野菜もたくさん取れるし、森には食べられるお肉の元がドッサリいるしね。今晩もご馳走作るから楽しみにしてね。」そういって、ミレーヌは厨房へ戻っていった。
(言葉通りなら良いけど)と考えながら、タケルはパンと干し肉を口に放りこんだ。
「タケル君はいろんなことが気になるタイプなのねぇ。」とナカジーがスプーンを片手にタケルを見る。
「そうっスよね。今までのリーダーとはチョット違うって言うか・・・。」とダイスケも首を捻っている。
「性格的に『自分だけ良ければ』ってあまり思えなくてね、『この町の人が無理してないか?』が気になっちゃって。損な性分かもね。」肩をすくめてタケルは応じた。
「いや、全然そのほうがいいと思いますよ。」予想外にダイスケが強めに肯定してくれたので、少し驚いた。
ナカジーとアキラさんも強く頷いている。
「じゃあ、引き続きその方向で行きますかね。」とタケルは照れ隠しに笑顔をうかべて皆を見た。
「とはいえ、正反対のことをこの町の人に相談したいんだよね~。みんなお風呂が欲しくない?」
「欲しーい!」
ナカジーが手を上げている。あとの二人も手を上げた。
「だよねぇ。お願いしたら、とりあえずはお湯を沸かす仕組みと衝立(ついたて)に囲まれた場所を作ってくれないかなぁと思ってさ。浴槽はあとで考えるとして、お湯で体を洗えるプライベート空間があるだけで、全然違うと思うんだけど。」
「だから、今日の夜にでも、スティンに相談しようと思ってるんだ。まずは、この町の技術だと何ができそうかをね。」と自分の考えていたことを伝えた。
3人から拍手で同意をもらえたので、次の話を相談する。
「ところで、日本での明日は3人とも、この2泊3日の派遣シフトに入ってもらうって事でいいのかな?」とタケルが3人に確認すると、大丈夫と返事が返って来た。
「だったら、風呂もそうだけど、やっぱり衛生環境とか居心地って、この先も長くこの町にいるなら大事だよね? そこで、向こうから何を持ってくると便利かをそれぞれ考えて欲しいんだよね。」
「個人的に一番欲しいのは、歯ブラシだけどチョット難しそう。それ以外で持ってこようと思ってるのは「塩」「紙」「鉛筆」「タオル」「わりばし」「下着類」ぐらいかな?」
「何とか天然素材だけで運べないかを考えて持ってくるつもり。次は洞窟じゃなくてこの町に着くんだよね?」タケルはナカジーに確認する。
「そうそう、教会の奥の部屋に水晶の柱がある部屋があるから、そこに「ポン」って出てくる。そういう点では、食べ物とかでも手で持てるものは大丈夫じゃないかな?私も考えてみるわ。」ナカジーもかなり乗り気になっている。
タケルは教会に戻る前に厨房のミレーヌさんにスティンに今夜会いたいことを伝えた。
ミレーヌさんから聞くところによれば、スティンはこの町のリーダー役だそうで、普段の畑仕事以外に大工仕事を得意としているらしい。
タケル達の宿舎部分もスティン達が勇者のために増築したものだそうだ。
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スティンの体格を思い浮かべながら、タケルは教会へ向かった。
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