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勇者候補たちの想い
46.ゴッドブロー開発計画
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■スタートス聖教会裏 空き地 ~第4次派遣1日目~
ムーアの町から戻ってきたタケルは弓の修練のために林に向かった。
1時間ほどショット&ダッシュを繰り返した。
50歩の距離から、10回に5回は当たるようになった。
8倍効果でかなり成長していると自分を褒める。
別の修練をすると弓の師匠に伝えてから、泉の先にある丘へ向かった。
タケルの中ではこの丘は風の神様と対話する丘になっている。
丘の頂(いただだき)には、今日も良い風が吹いている。
何本か生えている楡の木の枝が揺れる。
そういえば、こちらに来てから一度も雨が降っていないことに気がついた。
空気も乾いているし、高温多湿の日本とは異なる大陸内部の気候なのだろう。
両手を広げ、目を閉じて、全身で風を感じながら神との対話を行う。
(風の神 ウィン様 いつもお力を貸してくださりありがとうございます。)
(ですが、私達はもっと強くなる必要があります)
楡の木の前まで歩いていき、祈りを込めた風の聖教石を右手に握る。
右足を半歩引いて、腰の位置に右拳の甲を下にして構える。
ゆっくり上半身を左回転させながら、右拳を木の幹へ突き出す。
限界まで伸ばして、木の幹に届かない位置へ足のポジションを下げた。
何度か拳を幹の前にゆっくり突き出した後に構えに戻る。
目をつぶり呼吸を整えて神に祈りを捧げた。
(この拳の先に突き抜ける風の力を与えてください)
頭の中で素早い正拳突きと、その先の木を突きぬく風を描く。
(行きます、ウィン様)
「ゴッドブロー!」
掛け声とともに左足へ体重を移動させながら、右拳を木に向かって素早く突き出す。
タケルの右ひじあたりから突風が吹き、加速する拳に乗った風が激しく幹にぶつかる!
「バシーィーン!!」
「メキィッ!」
激しい音とともに拳の先の幹が後へかしぐ、地に張ったタケルの足元の根が切れて、白い根元が向きだしになった。
(ありがとうございます、ウィン様)
突き出した手を下ろして神に感謝した。
横から見ると木が大きく斜めになっている。
タケルの居た側の根は2本以上ちぎれていた。
(木に悪いことした、ごめんなさい)
(木も治せるかな?)
切れた根に手を当て、アシーネ様に祈りを捧げる。
(アシーネ様 いたらぬ私に力をお貸しください)
(この木の根を切れる前の状態にお戻しください)
「癒しの光を!!」
目をつぶったまま、5秒ほど祈る。
神への祈りは通じた、目の前の根はつながっている。
(「どう言う理屈か?」は考えないようにしよう。科学じゃないから)
(アシーネ様 ありがとうございました)
少し体がだるくなったので、左拳で行うテストは見送って、丘を下りることにした。
ゴッドブローのイメージは完璧にできた。
■スタートス聖教会 宿舎食堂
夕食は豪勢かつ華やかだった。
タケルが買ってきたソーセージは不要になった。
ギレンが送ってきた加工肉には何種類ものソーセージ、ハム、ベーコンが入っていたようだ。
テーブルの上の野菜や卵と一緒に出された焼ベーコンが食欲をそそる。
テーブルは2チームになっている。
教会士トリオは分割させてもらい、タケルの席にはマリアを指名した。
(いや、そういう意味ではなく)
ナカジーとアキラさんも一緒にいる。
もう1つのテーブルはダイスケに任せた。
ちょっとしたハーレムだ、若い美女3人に囲まれて平静を装おうのが難しそう。
ダイスケは少し格好をつけたがるところがある気がする。
素直な意思表示が大事なのにね。
(自分もそうかもしれないけど)
乾杯のしきたり説明と発声もダイスケに仕切ってもらう。
「そ、それでは、この世界での、す、素敵な出会いに乾杯~!!」
噛みまくった発声だったが、教会士トリオもカップをぶつけてくれた。
ガンバレ、ダイスケ。
マリアには、現世の画期的調味料のマヨネーズを勧めてみた。
野菜にちょっとつけて食べていたが、気に入っていただいたようだ。
「美味しいです! 勇者様!」
潤んだ瞳で見つめてくれるので、思わずニヤケる。
マリアの横に座ったナカジーが俺を冷ややかな目で見る。
(いいじゃん、ちょっとぐらい)
そろそろ質問タイムだ。
「マリアさんは、何歳なの?」
「私は19歳になります。」
(あれ? 未成年? まずい?)
「ドリーミアでは、お酒は何歳から飲んでいいことになってるの?」
「教会の教えでは、子供は飲んではいけないこととなっております。」
「いくつまでが子供なんだろう?」
「子供は子供で、決まりは無いと思いますが、、、15歳で洗礼をおこない、教会で働けるようになりますので14歳まででしょうか?」
(うん、ここの教えに反さないなら良いことにしよう)
「ねえ、向こうの教会では、勇者の言うことは何でも聞くようにって言われたの?」ナカジー参入。
「はい、スタートスの勇者様は真の勇者に違いないから、その身の全てを捧げられることを光栄に思うようにと言われております。」
「身を捧げるって!・・・」
(お怒りでこちらを見ていますが、俺は悪くないよね)
「ところで、教会士の給料は良いの?」
「そんなに高くは無いと思いますが、決まった額を決まったときにいただけますので、生活に不自由はございません。」
「そうなんだ、他の仕事をしたいとか思ったことは無いの?」
「手に技術もございませんので、教会のお仕事に感謝をしております。」
一旦ここまで、そう思ったが。ナカジー再参入。
「もし教会を辞めたらどうなるの? おうちの人は何の仕事をしてるの?」
「うちは3年前に母が亡くなり・・・、父が病気ですので、小さい弟たちが食べるためには、私が働く必要があるのです。教会だと施し(ほどこし)も受けられますし・・・」
マリアは俯いてしまった。
(そこまで、聞いちゃダメだっつうのに)
「ごめんなさい、立ち入ったこと聞いちゃったわね。」
ナカジーは逃げるようにお替りを求めて厨房へ向かった。
(どうフォローするかな・・・)
ムーアの町から戻ってきたタケルは弓の修練のために林に向かった。
1時間ほどショット&ダッシュを繰り返した。
50歩の距離から、10回に5回は当たるようになった。
8倍効果でかなり成長していると自分を褒める。
別の修練をすると弓の師匠に伝えてから、泉の先にある丘へ向かった。
タケルの中ではこの丘は風の神様と対話する丘になっている。
丘の頂(いただだき)には、今日も良い風が吹いている。
何本か生えている楡の木の枝が揺れる。
そういえば、こちらに来てから一度も雨が降っていないことに気がついた。
空気も乾いているし、高温多湿の日本とは異なる大陸内部の気候なのだろう。
両手を広げ、目を閉じて、全身で風を感じながら神との対話を行う。
(風の神 ウィン様 いつもお力を貸してくださりありがとうございます。)
(ですが、私達はもっと強くなる必要があります)
楡の木の前まで歩いていき、祈りを込めた風の聖教石を右手に握る。
右足を半歩引いて、腰の位置に右拳の甲を下にして構える。
ゆっくり上半身を左回転させながら、右拳を木の幹へ突き出す。
限界まで伸ばして、木の幹に届かない位置へ足のポジションを下げた。
何度か拳を幹の前にゆっくり突き出した後に構えに戻る。
目をつぶり呼吸を整えて神に祈りを捧げた。
(この拳の先に突き抜ける風の力を与えてください)
頭の中で素早い正拳突きと、その先の木を突きぬく風を描く。
(行きます、ウィン様)
「ゴッドブロー!」
掛け声とともに左足へ体重を移動させながら、右拳を木に向かって素早く突き出す。
タケルの右ひじあたりから突風が吹き、加速する拳に乗った風が激しく幹にぶつかる!
「バシーィーン!!」
「メキィッ!」
激しい音とともに拳の先の幹が後へかしぐ、地に張ったタケルの足元の根が切れて、白い根元が向きだしになった。
(ありがとうございます、ウィン様)
突き出した手を下ろして神に感謝した。
横から見ると木が大きく斜めになっている。
タケルの居た側の根は2本以上ちぎれていた。
(木に悪いことした、ごめんなさい)
(木も治せるかな?)
切れた根に手を当て、アシーネ様に祈りを捧げる。
(アシーネ様 いたらぬ私に力をお貸しください)
(この木の根を切れる前の状態にお戻しください)
「癒しの光を!!」
目をつぶったまま、5秒ほど祈る。
神への祈りは通じた、目の前の根はつながっている。
(「どう言う理屈か?」は考えないようにしよう。科学じゃないから)
(アシーネ様 ありがとうございました)
少し体がだるくなったので、左拳で行うテストは見送って、丘を下りることにした。
ゴッドブローのイメージは完璧にできた。
■スタートス聖教会 宿舎食堂
夕食は豪勢かつ華やかだった。
タケルが買ってきたソーセージは不要になった。
ギレンが送ってきた加工肉には何種類ものソーセージ、ハム、ベーコンが入っていたようだ。
テーブルの上の野菜や卵と一緒に出された焼ベーコンが食欲をそそる。
テーブルは2チームになっている。
教会士トリオは分割させてもらい、タケルの席にはマリアを指名した。
(いや、そういう意味ではなく)
ナカジーとアキラさんも一緒にいる。
もう1つのテーブルはダイスケに任せた。
ちょっとしたハーレムだ、若い美女3人に囲まれて平静を装おうのが難しそう。
ダイスケは少し格好をつけたがるところがある気がする。
素直な意思表示が大事なのにね。
(自分もそうかもしれないけど)
乾杯のしきたり説明と発声もダイスケに仕切ってもらう。
「そ、それでは、この世界での、す、素敵な出会いに乾杯~!!」
噛みまくった発声だったが、教会士トリオもカップをぶつけてくれた。
ガンバレ、ダイスケ。
マリアには、現世の画期的調味料のマヨネーズを勧めてみた。
野菜にちょっとつけて食べていたが、気に入っていただいたようだ。
「美味しいです! 勇者様!」
潤んだ瞳で見つめてくれるので、思わずニヤケる。
マリアの横に座ったナカジーが俺を冷ややかな目で見る。
(いいじゃん、ちょっとぐらい)
そろそろ質問タイムだ。
「マリアさんは、何歳なの?」
「私は19歳になります。」
(あれ? 未成年? まずい?)
「ドリーミアでは、お酒は何歳から飲んでいいことになってるの?」
「教会の教えでは、子供は飲んではいけないこととなっております。」
「いくつまでが子供なんだろう?」
「子供は子供で、決まりは無いと思いますが、、、15歳で洗礼をおこない、教会で働けるようになりますので14歳まででしょうか?」
(うん、ここの教えに反さないなら良いことにしよう)
「ねえ、向こうの教会では、勇者の言うことは何でも聞くようにって言われたの?」ナカジー参入。
「はい、スタートスの勇者様は真の勇者に違いないから、その身の全てを捧げられることを光栄に思うようにと言われております。」
「身を捧げるって!・・・」
(お怒りでこちらを見ていますが、俺は悪くないよね)
「ところで、教会士の給料は良いの?」
「そんなに高くは無いと思いますが、決まった額を決まったときにいただけますので、生活に不自由はございません。」
「そうなんだ、他の仕事をしたいとか思ったことは無いの?」
「手に技術もございませんので、教会のお仕事に感謝をしております。」
一旦ここまで、そう思ったが。ナカジー再参入。
「もし教会を辞めたらどうなるの? おうちの人は何の仕事をしてるの?」
「うちは3年前に母が亡くなり・・・、父が病気ですので、小さい弟たちが食べるためには、私が働く必要があるのです。教会だと施し(ほどこし)も受けられますし・・・」
マリアは俯いてしまった。
(そこまで、聞いちゃダメだっつうのに)
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