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勇者候補たちの想い
49.水の恩恵
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■西方州 ムーア近郊 シモーヌ大橋 ~第4次派遣2日目~
ダイスケの手元地図によると川の名前はシモーヌ川だそうだ。
「アラン、あそこに見える船はひょっとしてレンブラントさんのところの船ですか?」
「はい、皇都の近くまで荷を運ぶ船です。」
「船を見せていただくことは出来るでしょうか?」
「もちろんです。私がご案内します。」
川に近づくとその大きさが良くわかる。
橋の辺りの川幅は狭くなっているが、それでも100メートル以上はあるはずだ。
ちょうど橋の辺りで上流からの傾斜が緩やかになっていて、橋から下流は一気に川幅が広がっている。
荷下ろし場所に馬をつなぐ場所があったので、そこで馬にも休憩をさせる。
みんなも荷馬車から降りて体のコリをほぐしていた。
アランは顔見知りのようで、船の男たちと笑顔で挨拶をしてから、タケルを船に乗せてくれた。
全長は20メートルぐらいだろうか?
幅は5メートルたらずで、横幅が広いように感じた。
甲板には帆柱以外の装備はほとんど無い。
帆や荷を結びつける金具が何箇所かに見える程度だ。
左右の舷側にはオールを取り付ける金属の輪があって、その下に長いオールが置かれている。
向かい風ならあれを皆で漕ぐのだろう。
「アランさん、この船は何人ぐらい乗るんですか?」
「5人から8人ぐらいでしょうか? 荷卸しもやりますので。」
(4人のオールで川をのぼるのはかなり厳しいだろう。)
船体後部に行くと後ろに木の棒が突き出している。
棒は舵と直結されていて、メリー号のような舵輪(だりん)ではなかった。
最後部から帆柱を見るとタケルが事前にイメージしていたサイズよりは一回り小さい。
今は帆が降ろされているが、頭の中に帆柱と帆の大きさを描きながら、リュックから聖教石を取り出す。
甲板に片膝をつき、聖教石を右手に握って、目を閉じる。
(ウィン様 あの帆を満たす強い風をこの石にお与えください)
5秒ほど祈って目を開ける。
神はいつもタケルに優しい。
目の前の聖教石は綺麗な白に変わった。
同じ要領で残り6本の聖教石を作って船を下りた。
■西方州 アイン村
川をこえて一つ目の分かれ道を左へ進んだ。
右に行くとスタートスより大きな町が二つあり、その先を十日ほど馬車で進むと北方州都のクラウスへ着くらしい。
川を越えると麦畑が急になくなり、あたりは雑木林や草原に変わった。
一つ目の村ルッツで休憩して、今日の目的地であるアイン村へは夕方前に到着した。
どちらの村も20軒程度の集落だ。
近くには野菜の畑がたくさんあるようだ。
馬をつなぐ場所と水をわけてもらうために、アランと一緒に一番大きな家へ向かった。
「我々は旅のものでタケルと言います。馬をつなぐ場所と馬の水、それから近くで野宿しますので、野菜があれば、お金かベーコンと交換してもらえませんか?」
タケルは大きな葉に包んだベーコンの固まりを見せながら微笑んだ。
「わしは、この村の村長のシムラです。馬は好きなところへどうぞ。ただ、申し訳ないが、水はお分けすることが出来ません。少し前から村の井戸が枯れてしまい、わしらも半日かけて水を汲みに行っておりますので。」
村長は伏し目がちにタケル達を見た。
「野菜の方はお好きなものをどうぞ、できればベーコンがありがたいです。」
そういって、村長は家の外の小屋へタケル達を連れて行ってくれた。
小屋の中には、かぼちゃ、いも、たまねぎ、キャベツ、後は見たことの無い野菜がたくさんあったので、ベーコンを村長に渡す。
「いくつもらって良いですか?」
「このベーコンの量でしたら、全部お持ちいただいて結構です。それでも足りんとは思いますが。」
アランをみると頷いている。
(持って来すぎたか?)
野菜をそれぞれ3個ほどもらうことにした。
汲んできた水をどうしてるのか聞くと、それぞれ家の瓶(かめ)にいれて大事に使っているらしい。
「瓶を見せてもらって良いですか?」
「かまいませんが、お水はお渡しできませんので・・・」
「いえいえ、まずは水を入れましょう。」
村長の家に入ると、土間に高さ1メートルぐらいの大きな瓶がある。
(ワテル様 人助けです お力をお貸しください)
右手を瓶の上に差し出して、つぶやく。
「ウォーター」
音もせずに、亀のふちまで水で満たされた。
「なんと!!」
村長は満たされた瓶をみて、言葉を失っている。
(他の家も回っても良いけど、面倒だな)
「村長さん、井戸の場所まで連れて行ってもらえますか?」
「はい、喜んで。ところで、あなた様は聖教会の魔法士様ですか?」
「教会の魔法士ではありません、私はスタートスの勇者です。」
井戸は村長の家の裏だった、他の家も井戸を囲むように立っている。
井戸にはつるべが無く、ロープがついた桶を井戸のそこに落として引き上げるようだ。
タケルが桶を井戸の中に落とすと、土の上に落ちる音しか聞こえない。
覗き込んでみたが、暗い底には水の反射は無い。
リュックから、水の聖教石を取り出す。
(ワテル様 大きな力をお貸しください。)
(この井戸にもう一度水脈を与えてください)
頭の中で、地下水脈が井戸に流れ込む画を描く。
目をつぶり、聖教石を握ったまま、片膝をついて地面に祈りを捧げた
「ウォーター!!」
タケルの叫びとともに、足元に鈍い振動が伝わった。
目を開けると、何軒かの家から人が出てきた。
井戸をのぞくと、音がしている。
「サァー、プシュッ プシュ」
井戸の底にゆれる水面が光を反射して、徐々に上方にきている。
「勇者様!! ありがとうございます。そのようなお力を使っていただきどのように感謝をすれば良いことか・・・」
井戸を見た村長は涙を流して、タケルを拝んでいる。
後ろの人たちも井戸にあつまり、歓声をあげた。
「水が戻った!!」
「水だー!!
(ワテル様 ありがとうございます)
(水のありがたみが心に沁みます)
ダイスケの手元地図によると川の名前はシモーヌ川だそうだ。
「アラン、あそこに見える船はひょっとしてレンブラントさんのところの船ですか?」
「はい、皇都の近くまで荷を運ぶ船です。」
「船を見せていただくことは出来るでしょうか?」
「もちろんです。私がご案内します。」
川に近づくとその大きさが良くわかる。
橋の辺りの川幅は狭くなっているが、それでも100メートル以上はあるはずだ。
ちょうど橋の辺りで上流からの傾斜が緩やかになっていて、橋から下流は一気に川幅が広がっている。
荷下ろし場所に馬をつなぐ場所があったので、そこで馬にも休憩をさせる。
みんなも荷馬車から降りて体のコリをほぐしていた。
アランは顔見知りのようで、船の男たちと笑顔で挨拶をしてから、タケルを船に乗せてくれた。
全長は20メートルぐらいだろうか?
幅は5メートルたらずで、横幅が広いように感じた。
甲板には帆柱以外の装備はほとんど無い。
帆や荷を結びつける金具が何箇所かに見える程度だ。
左右の舷側にはオールを取り付ける金属の輪があって、その下に長いオールが置かれている。
向かい風ならあれを皆で漕ぐのだろう。
「アランさん、この船は何人ぐらい乗るんですか?」
「5人から8人ぐらいでしょうか? 荷卸しもやりますので。」
(4人のオールで川をのぼるのはかなり厳しいだろう。)
船体後部に行くと後ろに木の棒が突き出している。
棒は舵と直結されていて、メリー号のような舵輪(だりん)ではなかった。
最後部から帆柱を見るとタケルが事前にイメージしていたサイズよりは一回り小さい。
今は帆が降ろされているが、頭の中に帆柱と帆の大きさを描きながら、リュックから聖教石を取り出す。
甲板に片膝をつき、聖教石を右手に握って、目を閉じる。
(ウィン様 あの帆を満たす強い風をこの石にお与えください)
5秒ほど祈って目を開ける。
神はいつもタケルに優しい。
目の前の聖教石は綺麗な白に変わった。
同じ要領で残り6本の聖教石を作って船を下りた。
■西方州 アイン村
川をこえて一つ目の分かれ道を左へ進んだ。
右に行くとスタートスより大きな町が二つあり、その先を十日ほど馬車で進むと北方州都のクラウスへ着くらしい。
川を越えると麦畑が急になくなり、あたりは雑木林や草原に変わった。
一つ目の村ルッツで休憩して、今日の目的地であるアイン村へは夕方前に到着した。
どちらの村も20軒程度の集落だ。
近くには野菜の畑がたくさんあるようだ。
馬をつなぐ場所と水をわけてもらうために、アランと一緒に一番大きな家へ向かった。
「我々は旅のものでタケルと言います。馬をつなぐ場所と馬の水、それから近くで野宿しますので、野菜があれば、お金かベーコンと交換してもらえませんか?」
タケルは大きな葉に包んだベーコンの固まりを見せながら微笑んだ。
「わしは、この村の村長のシムラです。馬は好きなところへどうぞ。ただ、申し訳ないが、水はお分けすることが出来ません。少し前から村の井戸が枯れてしまい、わしらも半日かけて水を汲みに行っておりますので。」
村長は伏し目がちにタケル達を見た。
「野菜の方はお好きなものをどうぞ、できればベーコンがありがたいです。」
そういって、村長は家の外の小屋へタケル達を連れて行ってくれた。
小屋の中には、かぼちゃ、いも、たまねぎ、キャベツ、後は見たことの無い野菜がたくさんあったので、ベーコンを村長に渡す。
「いくつもらって良いですか?」
「このベーコンの量でしたら、全部お持ちいただいて結構です。それでも足りんとは思いますが。」
アランをみると頷いている。
(持って来すぎたか?)
野菜をそれぞれ3個ほどもらうことにした。
汲んできた水をどうしてるのか聞くと、それぞれ家の瓶(かめ)にいれて大事に使っているらしい。
「瓶を見せてもらって良いですか?」
「かまいませんが、お水はお渡しできませんので・・・」
「いえいえ、まずは水を入れましょう。」
村長の家に入ると、土間に高さ1メートルぐらいの大きな瓶がある。
(ワテル様 人助けです お力をお貸しください)
右手を瓶の上に差し出して、つぶやく。
「ウォーター」
音もせずに、亀のふちまで水で満たされた。
「なんと!!」
村長は満たされた瓶をみて、言葉を失っている。
(他の家も回っても良いけど、面倒だな)
「村長さん、井戸の場所まで連れて行ってもらえますか?」
「はい、喜んで。ところで、あなた様は聖教会の魔法士様ですか?」
「教会の魔法士ではありません、私はスタートスの勇者です。」
井戸は村長の家の裏だった、他の家も井戸を囲むように立っている。
井戸にはつるべが無く、ロープがついた桶を井戸のそこに落として引き上げるようだ。
タケルが桶を井戸の中に落とすと、土の上に落ちる音しか聞こえない。
覗き込んでみたが、暗い底には水の反射は無い。
リュックから、水の聖教石を取り出す。
(ワテル様 大きな力をお貸しください。)
(この井戸にもう一度水脈を与えてください)
頭の中で、地下水脈が井戸に流れ込む画を描く。
目をつぶり、聖教石を握ったまま、片膝をついて地面に祈りを捧げた
「ウォーター!!」
タケルの叫びとともに、足元に鈍い振動が伝わった。
目を開けると、何軒かの家から人が出てきた。
井戸をのぞくと、音がしている。
「サァー、プシュッ プシュ」
井戸の底にゆれる水面が光を反射して、徐々に上方にきている。
「勇者様!! ありがとうございます。そのようなお力を使っていただきどのように感謝をすれば良いことか・・・」
井戸を見た村長は涙を流して、タケルを拝んでいる。
後ろの人たちも井戸にあつまり、歓声をあげた。
「水が戻った!!」
「水だー!!
(ワテル様 ありがとうございます)
(水のありがたみが心に沁みます)
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