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勇者候補たちの想い
76.大富豪イースタン
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■皇都セントレア イースタン屋敷
~第6次派遣3日目~
イースタンの屋敷は大教会から歩いて15分ほどの町の中心にあった。
周囲には大きな建物が通り沿いに並んでいるが、「屋敷」は一箇所だけまったく異なるたたずまいだ。
ほぼワンブロックが敷地だ。
門には門番小屋があり、そこから屋敷までは綺麗に刈り込まれた芝の中を石畳の道が続いている。
庭の面積だけで、他の建物が30ぐらいは建つ広さだろう。
門番は招待状を見せると、門の中へ通したタケル達を馬車に乗せた。
(いやいや、ここまで歩いてきているから)
白馬に引かれた豪奢な馬車は4人を乗せてゆったりと屋敷へ向かう。
庭には綺麗に整備された花壇が並んでいる。
(この世界で初めて見る『贅沢』ってやつだな)
使用人が扉を開けてくれた石造りの屋敷も巨大だった。
中は二階まで吹き抜けのエントランスになっていて、床には絨毯が敷かれている。
タケル達は絨毯が敷かれた廊下をすすみ、突き当たりにあるダイニングルームへ通された。
部屋へ入ると、膝まであるジャケットを来た背の高いがっしりした男が待っていた。
「ようこそ、勇者様方! 当家の主、イースタンでございます。息子を助けていただき、本当に感謝いたします」
「いえ、たまたま通りかかっただけです。助けたのはこちらのマリンダさんです」
「そのたまたまが無ければ、うちの息子は死んでおりました。このご恩はなんとしてもお返しさせていただきます。まずは、精一杯振舞わせていただきますので、お口に合えば良いのですが」
タケル達は使用人が椅子を引いてくれた、大きなテーブルに4人並んで腰掛けた。
酒と料理が次々と運ばれてくる。
乾杯のしきたりは飛ばして、イースタンに勧められるままに料理を食べていく。
さすがにどれも美味い、肉の素材も良いようだが、味付けもしっかりしている。
「このお肉は美味しいですね」
「これは野生の牛が手に入ったので、料理人自慢のソースを使ったものですな。お口にあったなら、何よりです」
「この国では牛は育てないんですか?」
「乳をとるために、飼育するものもおりますが、手も掛りますので飼うならヤギの方が多いでしょう。なぜ、そのようなご質問を?」
イースタンの目が鋭くなった気がする。
「私達の国では、野生の牛や豚を食べることはありません。人が食べる為に育てたものを食するのですよ」
イースタンは使用人に目配せして、紙とペンを持ってこさせた。
「なるほど、ですが牛は育てるのに時間が掛ります。せっかく育った牛を食べてしまうと、乳が採れなくなりますが」
「そうですね、ですから乳用の牛と食用の牛は別けて育てるのが普通ですね」
「食用に育てる・・・、どのような利点があるのでしょう?」
「そうですね・・・」
(利点? その方が安いから?)
「幾つかありますけど、安定的に肉を供給することが出来ますから、結果的に肉の値段が下がることになるはずです」
「値段が下がれば食べる人も増える。食べる人が増えれば沢山売れる。そうなれば、牛を育てる人も儲かるんじゃないでしょうか?」
ダイスケが代わって答えてくれた。
イースタンは聞きながら、黙々とペンを動かしている。
「なるほど、大変勉強になりました。牛を育てるとしたら、何が必要になるのでしょうか?」
「場所とエサでしょうけど、いわゆる牧草という牛用のエサを作る土地が必要になると思います」
「ですけど、最初にやるなら豚のほうが良いと思いますよ」
「豚ですか? 何故なのでしょう?」
「豚の方が子供を生む数が多く、短い時間で大きくなるので、牛より早く出荷できるようになるはずです」
ダイスケが丁寧に説明を続けてくれた
「なるほど、牛は採算が合うまでに時間が掛ると言うことですか・・・、失礼ですが、皆さんの国ではこういったことは当たり前の知識なのでしょうか?」
「そうですね、我々も専門家では無いので、詳しいことを知っているわけではありませんから」
日本なら大学生ぐらいの知識ということだろう。
「イースタンさんは飼育に興味があるのですか?」
「ええ、さっそく明日にでも準備を始めさせるつもりです」
(明日って・・・)
「私は聞いてみて面白とい思ったことは、誰よりも先にやることにしています。幸い多少の失敗で困らないだけの財もありますので。それで、今教えていただいた情報には対価をお支払いしたいのですが、お幾らが妥当とお考えでしょうか?」
「ダイスケ、お金いる?」
「そんなもん、いらないっスよ。世間話みたいなもんですから」
(だよな、お金はもらえないし、特にいらない)
「ということで、お金は要りません。美味しい豚肉が出来たら食べさせていただければ結構です」
「本当によろしいのですか? 勿論息子を助けていただいたお礼は別にご用意しておりますが」
「そちらも不要ですよ、我々はお金に困っていないのと、使い道もあまり無いので」
「・・・しかし、何か恩返しをさせていただかないと」
(何してもらおうかな・・・)
「ダイスケ、この間。小麦の製粉について話したじゃない」
「ええ、ネットで調べて来てますよ」
「じゃあ、イースタンさんに協力してもらって、小麦の製粉をやってみようよ」
(白いパンをスタートスの人にも食べて欲しいしね)
~第6次派遣3日目~
イースタンの屋敷は大教会から歩いて15分ほどの町の中心にあった。
周囲には大きな建物が通り沿いに並んでいるが、「屋敷」は一箇所だけまったく異なるたたずまいだ。
ほぼワンブロックが敷地だ。
門には門番小屋があり、そこから屋敷までは綺麗に刈り込まれた芝の中を石畳の道が続いている。
庭の面積だけで、他の建物が30ぐらいは建つ広さだろう。
門番は招待状を見せると、門の中へ通したタケル達を馬車に乗せた。
(いやいや、ここまで歩いてきているから)
白馬に引かれた豪奢な馬車は4人を乗せてゆったりと屋敷へ向かう。
庭には綺麗に整備された花壇が並んでいる。
(この世界で初めて見る『贅沢』ってやつだな)
使用人が扉を開けてくれた石造りの屋敷も巨大だった。
中は二階まで吹き抜けのエントランスになっていて、床には絨毯が敷かれている。
タケル達は絨毯が敷かれた廊下をすすみ、突き当たりにあるダイニングルームへ通された。
部屋へ入ると、膝まであるジャケットを来た背の高いがっしりした男が待っていた。
「ようこそ、勇者様方! 当家の主、イースタンでございます。息子を助けていただき、本当に感謝いたします」
「いえ、たまたま通りかかっただけです。助けたのはこちらのマリンダさんです」
「そのたまたまが無ければ、うちの息子は死んでおりました。このご恩はなんとしてもお返しさせていただきます。まずは、精一杯振舞わせていただきますので、お口に合えば良いのですが」
タケル達は使用人が椅子を引いてくれた、大きなテーブルに4人並んで腰掛けた。
酒と料理が次々と運ばれてくる。
乾杯のしきたりは飛ばして、イースタンに勧められるままに料理を食べていく。
さすがにどれも美味い、肉の素材も良いようだが、味付けもしっかりしている。
「このお肉は美味しいですね」
「これは野生の牛が手に入ったので、料理人自慢のソースを使ったものですな。お口にあったなら、何よりです」
「この国では牛は育てないんですか?」
「乳をとるために、飼育するものもおりますが、手も掛りますので飼うならヤギの方が多いでしょう。なぜ、そのようなご質問を?」
イースタンの目が鋭くなった気がする。
「私達の国では、野生の牛や豚を食べることはありません。人が食べる為に育てたものを食するのですよ」
イースタンは使用人に目配せして、紙とペンを持ってこさせた。
「なるほど、ですが牛は育てるのに時間が掛ります。せっかく育った牛を食べてしまうと、乳が採れなくなりますが」
「そうですね、ですから乳用の牛と食用の牛は別けて育てるのが普通ですね」
「食用に育てる・・・、どのような利点があるのでしょう?」
「そうですね・・・」
(利点? その方が安いから?)
「幾つかありますけど、安定的に肉を供給することが出来ますから、結果的に肉の値段が下がることになるはずです」
「値段が下がれば食べる人も増える。食べる人が増えれば沢山売れる。そうなれば、牛を育てる人も儲かるんじゃないでしょうか?」
ダイスケが代わって答えてくれた。
イースタンは聞きながら、黙々とペンを動かしている。
「なるほど、大変勉強になりました。牛を育てるとしたら、何が必要になるのでしょうか?」
「場所とエサでしょうけど、いわゆる牧草という牛用のエサを作る土地が必要になると思います」
「ですけど、最初にやるなら豚のほうが良いと思いますよ」
「豚ですか? 何故なのでしょう?」
「豚の方が子供を生む数が多く、短い時間で大きくなるので、牛より早く出荷できるようになるはずです」
ダイスケが丁寧に説明を続けてくれた
「なるほど、牛は採算が合うまでに時間が掛ると言うことですか・・・、失礼ですが、皆さんの国ではこういったことは当たり前の知識なのでしょうか?」
「そうですね、我々も専門家では無いので、詳しいことを知っているわけではありませんから」
日本なら大学生ぐらいの知識ということだろう。
「イースタンさんは飼育に興味があるのですか?」
「ええ、さっそく明日にでも準備を始めさせるつもりです」
(明日って・・・)
「私は聞いてみて面白とい思ったことは、誰よりも先にやることにしています。幸い多少の失敗で困らないだけの財もありますので。それで、今教えていただいた情報には対価をお支払いしたいのですが、お幾らが妥当とお考えでしょうか?」
「ダイスケ、お金いる?」
「そんなもん、いらないっスよ。世間話みたいなもんですから」
(だよな、お金はもらえないし、特にいらない)
「ということで、お金は要りません。美味しい豚肉が出来たら食べさせていただければ結構です」
「本当によろしいのですか? 勿論息子を助けていただいたお礼は別にご用意しておりますが」
「そちらも不要ですよ、我々はお金に困っていないのと、使い道もあまり無いので」
「・・・しかし、何か恩返しをさせていただかないと」
(何してもらおうかな・・・)
「ダイスケ、この間。小麦の製粉について話したじゃない」
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(白いパンをスタートスの人にも食べて欲しいしね)
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